シンクロニック
薬物を摂取することでタイムトラベルをする男の活躍を描いた時間移動系作品。なかなかユニークなトラベル法ではあるが、話としては別に面白くない。ネタバレあり。
―2019年製作 米 102分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「アルカディア」を監督したアーロン・ムーアヘッドとジャスティン・ベンソンのコンビによるSFスリラー。デニスの長女が姿を消し、非合法ドラッグ・シンクロニックが関係していると気付いた親友スティーブが試しに服用すると、7分間だけタイムトラベルする。出演は、「アベンジャーズ」シリーズのアンソニー・マッキー、「フィフティ・シェイズ」シリーズのジェイミー・ドーナンほか。「ブレードランナー 2049」などを手がけるBUFカンパニーがVFX制作に参加した。特集『未体験ゾーンの映画たち2021』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:ニューオーリンズの救急隊員スティーブ(アンソニー・マッキー)とデニス(ジェイミー・ドーナン)は、長年の親友同士でもあった。奇妙で陰惨な事故が連続して発生し、二人は現場に到着。現場からはシンクロニックと呼ばれる非合法の謎のドラッグが発見され、それがもたらす幻覚作用が原因だと判断された。そんなある日、デニスの長女が忽然と姿を消す。その失踪にシンクロニックが関係していると気付いたスティーブは、効果を試すために自ら服用。すると、幻覚が現れるのではなく、7分間だけ別の時代へタイムトラベルしていた……。(KINENOTE)
監督:アーロン・ムーアヘッド/ジャスティン・ベンソン
出演:アンソニー・マッキー/ジェイミー・ドーナン
ネタバレ感想
Amazonプライムで見つけて鑑賞。時間移動系はけっこう好きな作品なので鑑賞したわけだが、薬物の力を借りてタイムトラベルする作品って他にあったっけ(思い出した作品は記事末にリンクしといた)? あったような気もするんだけど、思い出せない。
タイムトラベルものって、主人公たちが何を利用して時間移動するのか、いろいろな設定があるよね。オーソドックスなもので言うと、やっぱり科学の力によるタイムマシンだろうか。あとは、どっかの洞窟とかに時空の歪みみたいなのがあるとかね。時間移動を何でするかってのの設定によって、物語の説得力ってけっこう変わると思う。
で、今作のような薬物による時間移動ってのは、個人的にはどうも納得がいかないんだよなぁ。移動した先の別の時間軸って幻覚が見せてるんじゃないかと思っちゃうんだよね。でも、この作品ではきちんと客観的世界を移動しているように見えるからそうじゃないんだろうけど、そこに荒唐無稽さを感じてしまうのだ。
だがしかし、時間移動なんてものがそもそも荒唐無稽なわけだから、移動方法なんてどうでもいいちゃっいいーーという考え方もできるし、要は楽しめればいいのだ。
じゃあこの作品が楽しめたかというと、移動するまでのエピソードが退屈。まず、主人公は重い病を抱えているし、彼の親友は娘が懐いてくれないらしく、いつも愚痴ばかり言っててダルい。まぁその辺の背景が、物語展開に大きく影響してくるんだからいいんだけどね。で、そこら辺のダルさを耐えると、いよいよ主人公の時間移動の旅が始まるわけだ。ここでポイントなのは、主人公を演じるアンソニーマッキーが黒人さんであることだ。彼が時間移動する過去のニューオーリンズは黒人差別の酷い地域だったらしく、彼は移動先で、黒人であるがゆえにいろいろなトラブルに見舞われる。
もちろん、別のトラブルもあるんだけど、その辺の移動先での描写はそこそこ楽しめるシーンではあった。で、最終的に彼は、どこかの時代に消えてしまった、親友の娘を助けることに成功する。だが、黒人であるが故の不運で、彼自身は現代に帰ってくることができずに物語は終わる。
あんな不良娘のために自己犠牲をするなんて、なかなかできた男だとは思うものの、ツッコミどころは多い。そもそも、タイムトラベルできる薬物をつくった化学者の男が、その辺のドラッグストアみたいなところに商品を卸してるってのがメチャクチャだし、なんだかよくわからんものを売ってるほうも売ってるほうだし、その薬が若者にけっこう人気で流行ってるのが世間に知られてるんだから、警察は何で取り締まらないのか意味不明。
んで、主人公は偶然にこの化学者と出会うわけだが、彼の個人情報とかちゃんと入手しとけよと。彼が自殺する前にコンタクトとっておけば、予備の薬をいっぱいつくらせることができたと思うんだが、何にもせずに自殺させちゃうのがどうにももったいない。もう少し頭使えば、愛犬だって助けられたと思うんだけどなぁ。
とか、そんなツッコミは野暮なんだけども、気になっちまったんだから仕方ない。ともかく、いろいろ勿体ない普通作品でありました。
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