ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
実話を基にした社会派ドラマ。報道の自由vs政府という構図で描かれる本作は、娯楽作品としても非常に楽しめる内容に仕上がっている。ネタバレあり。
―2018年公開 米 116分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:スティーヴン・スピルバーグ監督×メリル・ストリープ&トム・ハンクス初共演による社会派ドラマ。ベトナム戦争に関するアメリカ最高機密文書の存在を知った実在のジャーナリストたちをモデルに、政府の圧力に屈することなく世に出そうと奔走する姿を活写する。脚本は、本作で共同製作を務めるリズ・ハンナと「スポットライト 世紀のスクープ」のジョシュ・シンガー。撮影を「プライベート・ライアン」「ブリッジ・オブ・スパイ」のヤヌス・カミンスキー、音楽を「スター・ウォーズ」「シンドラーのリスト」のジョン・ウィリアムズが担当する。2018年3月29日、特別先行上映。(KINENOTE)
あらすじ:1971年。ベトナム戦争が泥沼化、アメリカ国民の間には疑問や反戦の気運が高まっていた。そんななか、アメリカ国防総省がベトナム戦争に関する経過や分析を記録したトップシークレットである文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をNYタイムズがスクープ。しかし、その後の記事は政府の圧力で差し止められてしまう。アメリカ初の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたワシントン・ポストのキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、同紙の編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)らとともに、真実を明らかにすべく奔走。ライバル紙であるNYタイムズと時に争いながらも連携、団結していくが、政府からの圧力はますます強くなり……。(KINENOTE)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:メリル・ストリープ/トム・ハンクス
ネタバレ感想
実際に起きた出来事を題材にしているので結末はわかっている内容でも、脚本や演出や演技が素晴らしいと、娯楽として楽しめるということがよくわかる作品。
終盤、ワシントン・ポストの社主であるキャサリンが、政府の圧力で会社が潰されるかもしれない、さらには自分が犯罪者として投獄されるかもしれないことを覚悟のうえでペンタゴンペーパーズに触れた記事を掲載することを決意して以降は、感動的で泣けてくるのである。
監督のスピルバーグは現トランプ政権に対して及び腰になっているメディアに対して発破をかける意味で今作品を製作したらしい。鑑賞すればよくわかるけど、本当にそういう内容になっているし、ある意味では現代のマスコミに対する風刺になっているとも言えそうだ。
俺もそういう業界の末端で10年以上仕事をしてきているので、身につまされる部分も多々ある。この作品のキャサリンやベンがすごいのは、新聞がすべきこと、つまり会社の理念みたいのを貫こうとする姿勢にある。
キャサリンの追従者やサポート役のやつらは、保身や会社を守ることが主目的になっており、新聞社としての存在意義というか、理念にまったく目がいかなくなっている。
しかし、キャサリンとベンは違うのだ。理念に従って行動を起こすのである。そして、その行動が他紙も巻き込んで大きな動きとなるわけだ。
自分の身になぞらえるにいろいろ触れたいことはあるけども、それはおいておいて、ともかく、どんな職業についていようとも、キャサリンやベンのように、本来守るべき本分にしたがって働くことの大切さを教えてくれる作品だ。
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