ザ・シークレットマン
FBI副長官のマーク・フェルト氏が、時のニクソン政権の不正を告発するまでを描いた実話を基にした物語。細部の説明はあまりないので、予備知識がないと何が起こってるかよくわからんかも。ネタバレあり。
―2018年公開 米 103分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:リーアム・ニーソンがウォーターゲート事件の内部告発者“ディープ・スロート”こと元FBI副長官マーク・フェルトを演じたサスペンス。FBI長官代理グレイからウォーターゲート事件の早期解決を命じられたフェルトは、マスコミを利用しようとするが……。共演は「ボンジュール、アン」のダイアン・レイン、「ラビング 愛という名のふたり」のマートン・ソーカス。監督は「コンカッション」のピーター・ランデズマン。(KINENOTE)
あらすじ:1972年4月11日。大統領選挙203日前。FBI副長官マーク・フェルト(リーアム・ニーソン)は、ディーン大統領顧問(マイケル・C・ホール)から、40年間、FBIに君臨し続けるフーバー長官の退任について相談を受ける。だが、フーバーに忠誠を誓うフェルトは、FBIに集まるあらゆる情報を記した極秘の“メモ”の存在を仄めかし、逆に顧問たちをけん制。やがて、フーバー長官が死亡すると、司法次官のパトリック・グレイ(マートン・ソーカス)が長官代理に抜擢される。自分が次期長官だと信じていたフェルトはその事実に愕然とする。大統領選挙133日前。ウォーターゲート・ホテルの民主党本部に侵入した男たちが逮捕される事件が発生。捜査を開始したフェルトは、グレイから48時間以内の解決を命じられる。マスコミを利用して捜査継続を目論むフェルトは、TIME誌の記者サンディ・スミス(ブルース・グリーンウッド)と接触し、捜査情報をリーク。さらに、ワシントン・ポストにも電話を入れる……。やがてワシントン・ポスト紙に、ウォーターゲート事件は元CIA職員による盗聴事件だとの記事が掲載される。TIME誌でもFBIが真相隠蔽を画策したとの記事が出るという情報が。捜査情報のリークを巡って混乱するFBI。捜査を巡ってディーン大統領顧問と対立したフェルトは、例え相手が大統領であったとしても、犯罪を放置することは出来ないと決意を固める。だが、CIAの捜査は中止され、FBIにも捜査打ち切りが命じられる。それでも、真実を突き止めるまでの捜査は止めないと捜査官たちに熱く語るフェルト。そして、大統領選挙直前になって、“ディープ・スロート”と名付けた謎の情報提供者から得た情報に基づき、“ウォーターゲート事件は政権によるスパイ工作だった”との記事がワシントン・ポスト紙に掲載されるが……。(KINENOTE)
監督・脚本:ピーター・ランデズマン
出演:リーアム・ニーソン/ダイアン・レイン/マートン・ソーカス/マイカ・モンロー/トム・サイズモア
ネタバレ感想
先日、『ペンタゴンペーパーズ』を鑑賞したこともあって、その後のニクソン政権の末路が拝める今作品もレンタルして観てみた。
ウォーターゲート事件が発端となって行われるFBIの捜査やそれを妨害しようとする別の権力者たちの権謀術数が描かれるんだけども、ウォーターゲート事件の規模がでかすぎるので、内部告発者となるに至ったフェルト氏の行動に焦点を当てた本作の内容だけでは事件の全容がよくわからず、何が起こっているかよくわからん人もいるだろう。
とか言ってる俺も『ペンタゴンペーパーズ』を鑑賞するにあたって、ほとんど知識がないので事前に調べておいたけども、それほど興味がある出来事でもないので頭に入って来ず、細部は何だか未だによくわかっていない(笑)。
まぁそれでも本作が楽しめるのは、灰色の権力の世界でできるだけ己の信念というか、職責を貫こうとして生きたフェルト氏のカッコよさが伝わってくる作品だからだろう。
けっきょくフェルト氏も後に有罪になるように、フーバー長官時代にいろいろと不正に目をつむって仕事をこなしていたようなので、内部告発者となるのもなかなか勇気がいることだったはず。
こういう大きな権力の世界で生きる人たちって、白黒で片付けられない灰色の仕事をしているわけだから清廉潔白でいることなんて、ほぼできないんだろうね。大きな権力に関係ないところでも、社会で群れて生きるには、グレーゾーンが必要なんである。完全な独裁国家で、しかもその独裁者が神様レベルの有能さを持たないかぎり、人間のつくる社会ってのは、グレーで動かざるを得ないんだろうな。
事件後、心労などがたたって自殺してしまったフェルトの奥さんは気の毒。今でも美人なダイアン・レインが演じてたので余計にそう思う(笑)。
コメント