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映画『ロード・オブ・ウォー』ネタバレ感想 死の商人は儲かるし捕まらない

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ロード・オブ・ウォー

軍事兵器を斡旋する、死の商人の暗躍を描いた作品。コミカルに感じる部分もあるけど内容はハード。ニコラス・ケイジ扮する武器商人のユーリーの存在も恐ろしいが、結局の黒幕は各国の政治を司る権力者であるという、当たり前の事実に愕然とする。ネタバレなし。

―2005年公開 米 122分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:国際的な闇の武器商人の半生を描く社会派エンタテインメント。監督・製作・脚本は「シモーヌ」のアンドリュー・ニコル。撮影は「テイキング・ライブス」のアミール・モクリ。美術は「ブロンドと柩の謎」のジャン・ヴァンサン・プゾス。編集は「マトリックス」シリーズのザック・ステーンバーグ。衣裳は「シモーヌ」のエリザベッタ・ベラルド。出演は「ナショナル・トレジャー」のニコラス・ケイジ、「テイキング・ライブス」のイーサン・ホーク、「アレキサンダー」のジャレッド・レト、「アイ,ロボット」のブリジット・モイナハン、「デイ・アフター・トゥモロー」のイアン・ホルムほか。 (KINENOTE)

あらすじ:ソ連崩壊前のウクライナに生まれたユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)は、少年時代にユダヤ系と偽ってアメリカに家族で移住。両親がNYに開いたレストランを手伝う中、客の美女エヴァ(ブリジット・モイナハン)に一目惚れするものの、彼女はユーリーに気づかない。いつしかユーリーは、弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)と組んで、武器売買事業を始めるようになった。刑事ジャック・ヴァレンタイン(イーサン・ホーク)に目をつけられながらも、天性の才を発揮するユーリー。一方、繊細なヴィタリーは、自分がこのビジネスに向いていないことに気づき、ドラッグに溺れ始める。やがて彼はリハビリ施設に入り、ユーリーは一人で商売をすることに。荒んだ気持ちのユーリーは、忘れられずにいた初恋の人、エヴァとの出会いを自ら仕組む。彼女に国際輸送会社のオーナーだと信じ込ませたユーリーは、エヴァと結婚。だがそのせいで破産寸前になってしまい、金策の必要が出てきた。そんな1991年、ソ連崩壊のニュースが飛び込み、ユーリーは元ソ連の武器の備蓄をアフリカの戦時下の国々に売りさばく作戦を実行して巨万の富を築く。だがリハビリ施設から出てきたヴィタリーが、ユーリーの商売交渉の時に、西アフリカの民衆の虐殺を阻止しようとして、射殺されてしまう。ビジネスが破綻したユーリーは、ついにジャックに逮捕される。ユーリーの家族は崩壊するが、しかし国の裏事情に通じている彼は、結局釈放されて元の商売に戻るのだった。 (KINENOTE)

監督・脚本:アンドリュー・ニコル
主演:ニコラス・ケイジ/イーサン・ホーク/ジャレッド・レト/ブリジット・モイナハン/イアン・ホルム

ネタバレ感想

家族に嘘をつき続ける

作品の中心となる人物はユーリー(ニコラス・ケイジ)。彼は自分の才が銃器にはじまり装甲車やロケットランチャーや戦闘ヘリなどの軍事用品を仕入れ、それを必要とする組織に売りさばくことであることに気付く。そして、それを実行に移して巨万の富を築き、意中の女性と幸せな家庭を持つ夢を実現する。

彼は自分の才覚が武器を斡旋する仕事にあると信じ、家族に対しては嘘で塗り固めた人生を送り、最後にはその嘘が発覚して妻と息子と別れざるを得なくなる。それに対して、同情の余地はない。むしろ、彼に裏の顔があることを薄々感じていながらも、ついてきていた妻にも非難される要素は多分にある。

インターポールの仕事は徒労

個人的にこの作品に嫌さを感じるのは、彼のような武器商人を摘発しようと頑張るインターポールの労力の不毛さだ。

具体的に言うと、ユーリーがアフリカ諸国に売っている武器の一部は、アメリカが軍事介入した戦争で派遣した、アメリカ兵が使っていた銃器である。俺はこの作品で初めて知ったのだが、アメリカ軍が戦地で使用した銃器は、任務終了後、その地に置き去りにされるらしい。

で、倉庫のようなところに積み上げられたそれらの銃器を、ユーリーのような武器商人が買い取って、それらを必要とする別の地域にばらまいているのだ。ということは、アメリカの介入した戦争や紛争とは別のところでも新たな血を流すきっかけをつくる一翼をになっているのが、当のアメリカだということである。

それらの銃器を売りさばくユーリーを摘発したインターポールのバレンタイン(イーサン・ホーク)は、最終的に彼を犯罪者として逮捕できない。なぜなら、彼の行為を罪に問うとしたら、彼がなぜ商売をできているのかというアメリカ政府の行いをも明るみにしなければならないから。そんなことは、政府が許さない。だからバレンタインたちの努力は、徒労に終わるのである。…ちくしょう。

彼らの働きは、世界の大局の中にあっては小さな歯車にすぎず、その上にいる権力者のさじ加減で、労力が全て徒労にもなり得るということだ。いっぽうのユーリーは、裏の事情を知るものとして釈放され、武器を売り続ける。要は、売ったもん勝ちなんである。…あほらしいね。ユーリーは仕事が仕事なだけに命の危険は常にあるけども、捕まることがないという意味では、ホワイトな仕事をしているとも言える。ぼろ儲けできるみたいだし。

世界は何も変わっていないのだ

こうした武器の輸出量が最も多い国は、国連の安全保障理事会の常任理事国、すなわち、米・露・英・仏・中だと紹介して、本作は終わる。中国を除くと、かつて軍事力を背景にアジアやアフリカに植民地を拡大していた国々ですな。

そんな国々が武器を輸出する先がアフリカ諸国なわけで、21世紀になっても帝国主義時代の爪あとが、世界中を覆っていることを実感させてくれる作品であった。単に中国が台頭してきただけで、世界の仕組みは19世紀頃からさほど変わってないように思われる。

つい先日(2017年12月末)、作品内でユーリーが武器を頻繁に売っていたリベリアで新たな大統領が誕生したことがニュースになっていた。それがなんと、元サッカー選手のジョージ・ウェア氏であるそうだ。「リベリアの怪人」と呼ばれ、イタリア・セリエAのACミランで一時代を築いた彼は、いかなる政治手腕を発揮するのであろうか。なかなか興味深いであります。

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