スリーデイズ
無実の罪で刑務所にぶちこまれた妻を救うべく、大学教授の主人公が人生を賭けて奔走する話。単なる一般市民だった男が、愛する家族のためにぶっ飛んだ行動力を見せる姿は狂気の沙汰にも思える。ネタバレあり。
―2011年公開 米 133分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:無実の罪で投獄された妻を救うため、命懸けの脱獄計画に挑む男の姿を描く「告発のとき」のポール・ハギス監督作。出演は「ロビン・フッド」のラッセル・クロウ、「やさしい嘘と贈り物」のエリザベス・バンクス、「ボーダー」のブライアン・デネヒー、「24アワー・パーティ・ピープル」のレニー・ジェームズ、「トロン:レガシー」のオリヴィア・ワイルド。(KINENOTE)
あらすじ:ある朝、愛する妻子とともに幸せな毎日を過ごしていた大学教授のジョン(ラッセル・クロウ)の家に警察が突入、殺人の容疑で妻のララ(エリザベス・バンクス)が逮捕されてしまう。それから3年。ジョンは一人で息子を育てながら、妻の無実を証明するため懸命に奔走していた。だが、裁判では彼女に不利な証拠が提出され、覆ることなく遂に殺人罪は確定。絶望し、獄中で自殺未遂を起こした妻をみてジョンはある決断を下す。「彼女の人生と家族の幸せを取り戻す」それは命を懸けた決断だった。ジョンは生活の全てを犠牲にし、孤独や恐怖に苛まれながら、綿密な脱獄計画を練り上げていく。チャンスは1度。ララ移送までのわずか3日。しかし、脱獄計画を嗅ぎつけた警察はジョンの周囲にも捜査の手を伸ばしていた。果たしてジョンは警察の追及をかわし。計画通りに難攻不落の刑務所から妻を救い出すことができるのか……。(KINENOTE)
監督・脚本:ポール・ハギス
出演:ラッセル・クロウ/エリザベス・バンクス/ブライアン・デネヒー/リーアム・ニーソン
ネタバレ感想
奥さんが無実の罪で刑務所送りになってもうた。しかも殺人罪で20年もぶちこまれることに。殺人現場には奥さんに不利な証拠しか残ってない。なので、罪が覆ることはなさそう。このままではいかんと思った主人公の大学教授は、いろいろ頑張って金を工面しつつ、なんと奥さんを脱獄させてベネズエラにトンズラこくために奔走する。果たして計画は成功するのかーーというのが適当なあらすじ。
主人公のおっさん、ジョーはなかなかすごいやつだ。妻が無実であることを信じ続けられるだけでなく、なんと脱獄までさせちゃうんだから。彼は大学教授だからインテリなわけで、頭脳を駆使して妻を脱出させる戦略を練る。
しかも、脱獄経験のある人間に金を払って情報収集するし、撃ったこともないくせに拳銃を手に入れて使えるようになるし、偽造パスポートをつくってくれる犯罪者たちと接触するし、そいつらに騙されてぼこられて金を過剰に搾取されたのにめげず、最終的にそいつらぶっ殺して強盗までしちゃっているのだ。マジですごい。
なんでそこまでできるのかというと、息子と奥さんを愛しているからだろう。幸せな生活を取り戻したかったんだろう。とはいえ、狂気の沙汰である。それが狂気の沙汰であることは、彼が決意をする前に、セルバンテスの『ドン・キホーテ』を授業の題材にとりあげ、そのテーマについて語っているシーンでもわかる。彼は一線を越える覚悟をしたのだ。
てなことで最終的に、奥さんの容疑は社会的には晴れてはいないっぽいものの、真犯人が誰かはわかる。そして、うまく一家はベネズエラに逃げおおせる。よかったよかったハッピーエンド。なかなかスリリングな展開もあって楽しめる、悪くない作品である。
そして何より、ジョーの親父がかっこいい。寡黙な男でありながら、息子のことをよく知っていて、彼を励ましてやる別れのシーンはとても渋いでありました。
しかしだ、しかしながら、妻の無実を証明する話かと思いきや、脱獄させること、つまり一蓮托生の犯罪者になる道を選んじゃうってのは、やはりどうなんだろうか。つかまらなかったからよかったものの、つかまってたら息子の人生は目も当てられないことになってただろう。
そして何より、ジョーは相手が犯罪者だということを差し引いても、殺人を犯しちゃっているのである。もともとは悪の道を知らないで生きてきた人間がそんなことをしでかしておいて、ベネズエラで幸せな気持ちで暮らせるんだろうかね。
まぁ、作品としては楽しめたからいいんだけど。
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