聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
外科医のスティーブンは眼科医で美人な奥さんとの間に娘と息子を授かり、一家4人で豪邸で裕福な生活を送っている。彼はある患者の手術をきっかけに16歳の少年と知り合うことになり、彼との関わりの中で過去の罪を償うために、強引にある選択を迫られるようになる。ネタバレあり。
―2018年公開 英=愛 121分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:第70回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した、「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス監督によるサイコホラー。ある少年を家に招き入れて以来、心臓外科医スティーブンの特権的生活は一変。子どもたちに異変が起こり、スティーブンは容赦ない選択を迫られる。「ロブスター」に続きコリン・ファレルが再びヨルゴス・ランティモス監督と組んだほか、「LION/ライオン 25年目のただいま」のニコール・キッドマン、「ダンケルク」のバリー・コーガンらが出演。第70回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞(KINENOTE)
あらすじ:美しい妻と健やかに育つ二人の子に囲まれ郊外の豪邸に暮らす心臓外科医スティーブン。ある少年を家に招き入れて以来、その恵まれた生活の中で奇妙な出来事が起こりはじめる。突然歩けなくなり、目から赤い血を流す子どもたち。そしてスティーブンは容赦ない選択を迫られる。(KINENOTE)
監督・脚本:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル/ニコール・キッドマン/バリー・コーガン/アリシア・シルヴァーストーン
ネタバレ感想
タイトルは「聖なる鹿殺し」とあるけども、どこから着想を得てつけられているのかは、全然わからん。作品内からもそれを考えるヒントになるようなものは見つけられなかった。まぁでも、別にそんなんわからんくても、それなりに楽しめたのでかまわんのだけど。
2018年公開作品の中でけっこう評判よかったみたいなんだけどスルーしてたので、レンタルで鑑賞。円満家庭と思われていた一家が、ある少年の呪い? みたいのにかけられて、崩壊していく話。
主人公の外科医は、ある患者の心臓手術中にアルコールを摂取してて、手術に失敗して患者を殺してしまっている。で、良心の呵責もあって残されたその患者の息子に優しくしてやるんだけども、この少年がけっこうサイコな奴で、付き合いが深まるうちにその異常性が垣間見られるようになる。
で、少年はなんと自分の親を殺した罪を外科医に償わせるために、外科医の妻子に呪いみたいのをかけたらしい。その呪いにかかると、まずは体がマヒして歩けなくなる。そして物が食べられなくなって餓死寸前になる。目から血を流し始めたら死ぬ。それを防ぐためには、少年の親の命と引き換えに、外科医の妻子のうち誰か一人を、外科医が殺さねばならぬ――らしい。
外科医は息子が歩けなくなった当初は医学的見地から原因を探る。で、それは心理的な面からくる疾患らしいと突き止めるが、どうにも対処できる療法がなくて途方に暮れる。
そのうちに娘も動けなくなり、やけになった外科医は少年を拉致監禁してなんとかさせようとするものの、少年は何だか抽象的な言葉しか吐かないのでどうすればいいかよく分らなくなってまう。
けっきょく外科医は自分の妻子をしばりつけて椅子に座らせて、自分は猟銃みたいなのを構えて目隠しをし、スイカ割りするみたいに自分の体をぐるぐる回して、体が止まったときに正面にいる誰かを射殺しようとするアホな行動を取る。
で、けっきょく射殺されたのは息子。呪いは無事とけたようだが、残された妻子には笑顔はなかった――というのが適当なあらすじ。
何なんだろうね、このお話。楽しめるのは楽しめるんだけど。奥さんは息子より娘に死んでほしかったんだろうなと思う。でも、何で少年の足をなめたりしてたのかはよくわからない。
外科医は息子を殺すことになった。あれは娘のほうをより愛してたからなのだろうか。その辺の心理がさほど詳細には描かれないので、あの射殺が外科医の故意なのか、単なる偶然なのか、よくわからんかった。
ただ、外科医は少年になじられていたように、決断力のない人間であったようだ。と考えるにあのゲームは決断力のなさによる選択なのだから、息子を狙ってのものではなかったと思うんだが、まぁどっちでもいいかなというくらいに、細部に考えをめぐらせたくなるような作品ではなかった。
この作品の面白みは、少年が終始、胸糞悪いガキであることと、外科医の人間味のない人との接し方が嫌な感じがするところだろうか。あとは、奥さんを演じたニコール・キッドマンが相変わらず美人だなと思った。全身麻痺セックス、楽しそうだったなぁ(笑)。
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