侵入する男
都会から離れた豪邸を購入した夫妻。しかし、その豪邸の前の所有者の男がいろいろと干渉してきて、面倒くさいながらも付き合ってるうちに、男の異常性に気付き始めて…。デニスクエイドがイカれ親父として怖がらせてくるが、奥さんが無警戒過ぎてイラつくスリラー作品。ネタバレあり。
―2019年製作 米 102分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:怒れる男が無関係な夫婦を恐怖に陥れていくサイコスリラー。広大な土地に建つ理想的なマイホームを手に入れたハワード夫婦。しかし、前の住人であるチャーリーがその家に異常な執着を見せ、夫婦の生活に干渉してくる。デニス・クエイドが出演(KINENOTE)
あらすじ:アメリカ、カリフォルニア州ナパ郊外、広大な土地に建つ理想的なマイホームを購入したハワード夫婦。そこで誰もがうらやむ幸せな生活を過ごすはずだった。しかし、前住人のチャーリーはその家に異常な執着をみせ、夫婦の生活に何かにつけて干渉してくる。やがて、チャーリーの恐るべき秘密が暴かれる・・・。(Amazon)
監督:デオン・テイラー
出演:デニス・クエイド/マイケル・イーリー/ミーガン・グッド/ジョセフ・シコラ/エリカ・セラ
ネタバレ感想
デニスクエイドが怖い
ネットフリックスで鑑賞。イカれ男のチャーリーを演じたデニスクエイド以外は知っている人はいなかった。が、この映画はデニスクエイドの異常性が見所と言えば見所。夫婦が気付かないうちに家の中にいたりして、そういう驚かせシーンの演出はなかなかドキッとさせられて楽しめる。
こういう類の、親切な隣人が実は…的な作品ってそれなりにいっぱいあって、今作もその一つに挙げられそう。そうした作品に出てくる狂人ってのは、最初はそれなりに好い人っぽく描写されてることが多いように感じる。だが、この作品のデニスクエイド演じるチャーリーは最初っからけっこう怪しさ爆発してる。彼の表情がそう感じさせるという意味では、そこは役者ですな。
チャーリーはソシオパスなのかサイコパスなのか、なんとなく前者に感じるんだけども、感情をうまくコントロールできない部分があるみたい。この作品時点の彼は、経営していた会社が借金抱えて苦しんでたみたいだけども、そういう状況になっちゃうのも、彼の狂的な部分が影響してたんだろうねぇ。表向きには亡くなった妻や、遠くに暮らす娘のことも愛しているように振る舞っていたが、その生活を壊したのは彼であることが後に分かるわけだし。
アニーの警戒心のなさにイラつく
で、そんな男を相手にすることになるスコットとアニー夫妻。スコットは最初からチャーリーに好い印象を抱いてなくて、それは最後まで変わることがない。つまり、彼の勘は当たっているのだ。
とは言え、アニーはチャーリーが売りに出した家を気に入ったようで、スコットは彼女のために家の購入を決意するのだ。で、その売り主のチャーリーは何かの理由をつけて二人の新居に訪問してきて、スコットは嫌になってくるんだけども、アニーはそんなチャーリーに対して無警戒。なんでこんな無警戒なのか意味がわからなくて、そこがこの作品のイライラポイントだ。
スコットは過去に浮気をしちゃったことがあって、そこから復縁してくれたアニーに対して後ろめたさがある。さらに、彼は仕事大好きなので、アニーをないがしろにしてた時期もあったのではないかと思わせる人間。であるから、罪滅ぼしも含めてあの豪邸を購入したんだろうと察せられる。
それに対して、アニーはチャーリーのことをいい人だと思い続けてて、彼の訪問を拒否しない。
スコットは、アニーがチャーリーの異常性に気付いてくれないことにイラついてるのに、1時間以上かけて都会の仕事場から帰宅してみたらチャーリーがいることにストレスが溜まってきて、「君のために面倒くさい通勤も辞さずにこの家を買ってやったのに、チャーリーの存在で気が休まることがない」ってなことをほのめかすなど、アニーに嫌な態度を取っちゃう。まぁ後ろめたさがあるにせよ、彼がそういう気分になっちゃうのはよくわかる。俺だって彼の立場になったらアニーにそんくらいの嫌味は言いたくなっちゃうだろう。
一方のアニーは、どうしてチャーリーが怪しいと思えないのか、意味がわからない。しかもこの人、女性の社会進出に関するメディアで仕事をしてるようなことを言ってたが、全然仕事をしてるシーンがなくて、専業主婦に見えちゃうところが謎。こんな描写しかしないなら、女性の社会進出云々ーーみたいな設定いらなかったように思っちゃう。
ラストはあれでいいのかね
でまぁ、そのアニーがようやくチャーリーの異常性に気付くのはだいぶラストに近くなってから。最終的に、夫妻はチャーリーを射殺することになるんだが、あそこまでする必要あったかね。普通に警察に突き出せばいいだけだと思うのに、あろうことかアニーは、911に電話した際、「侵入者を射殺した」と告げるのだ。それを聞いたスコットはためらうことなくチャーリーを撃つ。すげぇ度胸だな。
そもそもスコットは兄が銃で殺されてるから、銃が大嫌いだったはずなのに。その辺のトラウマを乗り越えて銃を使っちゃうところが意外。しかも、そのあと何の余韻もなく劇終を迎える本作は、やっぱりデニスクエイドの異常性を楽しむ以外には、あまり見所はなかったかな。
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