ブラック・フォン
フィニー少年が暮らすデンバーのある街ではグラバーと呼ばれる誘拐犯による少年の誘拐事件が頻発していた。ある日フィニーもその犠牲になり地下に監禁される。果たしてフィニーは脱出できるのか。サスペンスものかと思いきや超能力や霊みたいなんが登場するホラー。イーサンホークが悪者役。ネタバレあり。
―2022年公開 米 107分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ゲット・アウト」の映画製作集団ブラムハウス・プロダクションズと「ドクター・ストレンジ」のスコット・デリクソンがタッグを組んだサイコ・スリラー。少年フィニーは連続誘拐犯によって地下室に閉じ込められてしまう。そこには、断線した黒電話があった。原作は、スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒルの短編小説『黒電話』。出演は、「テスラ エジソンが恐れた天才」のイーサン・ホーク。(KINENOTE)
あらすじ:コロラド州のとある町。この町では、子どもの連続失踪事件が起きていた。ある日、気が小さく独り立ちできない少年フィニー(メイソン・テムズ)は学校から帰る途中、黒い風船を持つマジシャンだという男(イーサン・ホーク)に出くわす。男が「マジック見るかい?」と一言発したかと思うと、フィニーは無理やり黒いバンに押し込まれ、気づいたときには地下室に閉じ込められていた。その部屋は壁に囲まれ、鍵のかかった扉と鉄格子の窓、そして断線している黒電話があった。すると、その断線しているはずの電話のベルが突然鳴り響く。それは、この部屋の恐怖と真実を知る死者からのメッセージだった。一方、兄の失踪に関する不思議な予知夢を見た妹グウェン(マデリーン・マックグロウ)は、夢の記憶を頼りに兄の行方を探し始める……。(KINENOTE)
監督・脚本:スコット・デリクソン
原作:ジョー・ヒル:(「黒電話」)
出演:イーサン・ホーク/メイソン・テムズ/マデリーン・マックグロウ
ネタバレ感想
レンタルで鑑賞。イーサンホークが変な仮面かぶっているという情報以外は内容をよく知らずに借りてきてみたら、超能力や霊みたいなのが登場するホラーだった。
妻が自殺してしまったせいか、息子フィニーと娘グウェンの兄妹を虐待している親父。フィニーはいじめられてて、友だちも少なく。クラスでも影が薄い。グウェンはそんな兄を守るために喧嘩に参加したり強気な性格だが、親父の激しい虐待にまいっており、兄を頼るときもある。
という意味で、この兄妹には連帯感と絆みたいなのがある。どうして親父が虐待と思えるほどグウェンをベルトで折檻するのかというと、母親に似た不思議な能力を持つ彼女に、その力を使ってほしくないから。なぜなら、母はその能力がゆえに自分を自殺に追い込んでしまったかららしい。
でまぁ、フィニーが誘拐されて以降、グウェンはその力を父に内緒で使うことで、フィニーの居場所を特定するべくジタバタする。その過程の中で、父にも自分の力を使うことを許されるようになっていく。という意味では、ある意味、父の虐待に対して自分の意志で向き合い、父の呪縛から解放されるようになっていく。
一方のフィニーも死者と電話を通じて会話ができるので、これも恐らく母の力を受け継いでいるのだと考えられる。フィニーは何とか脱出を試みる中で、過去の犠牲者が脱出のために試みた作戦を伝授され、最終的にはグラバーの犠牲となった全員の作戦を総合的に駆使することで、グラバーを殺害。脱出に成功するのだ。
そういう意味では、犠牲者全員によるグラバーに対するリベンジムービーという見方もできそう。とはいえ、ラスト、フィニーはグラバー殺しちゃってる展開には驚いた。あの年で正当防衛的とは言え、殺しを体験しちゃった彼、しかもそこにあんまりトラウマ的な傷を受けてないように見えちゃうラストは、あれでいいのかなーなんて思ったな。
フィニーはこの事件を通じて強い男へと成長、自分を縛り付け、出し抜こうとするとベルトで折檻されるかもしれないという、疑似的父親とも言えるグラバーを殺害しているわけだから、この時点で実の親父のことも乗り越えてしまっている。序盤とラストではフィニーの表情に成長が観られるのは、役者さんの演技の妙であろう。
それにしても、学内で噂になるほど目立つ人間になり、しかもいじめっ子よりも上位の人間になり、最初から彼に興味を持ってくれていた少女とも恋仲になれそうなこの終わり方。承認欲求をかなり満たされたあの少年、しかも殺人すら経験しちゃっててあのメンタルを保ててる彼の将来が、どんなふうになるのかは興味深いところでありんすな。
イーサンホークはほぼ仮面をしてて、素顔が見えないのでイーサンホーク観たさで鑑賞した人には物足りなかったかもね。
コメント