アジャストメント
―2011年公開 米 106分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:フィリップ・K・ディックの短編小説を「ヒアアフター」のマット・デイモン、「ウルフマン」のエミリー・ブラント共演で映画化したSFサスペンス。謎の組織が密かに人々の運命を支配する世界で、その事実に気付いた男が、自らの未来を賭けて組織と戦う。「ボーン・アルティメイタム」の脚本家ジョージ・ノルフィが監督デビュー。(KINENOTE)
あらすじ:選挙で敗れた上院議員候補デヴィッド・ノリス(マット・デイモン)。敗戦会見の準備をしていた彼は、見知らぬ女性エリース(エミリー・ブラント)と出会い、たちまち意気投合する。さらに、会見を無事に切り抜けたデヴィッドは全米一のベンチャー企業に役員として迎えられ、次回上院選の有力候補として再浮上する。だが、そんな彼の行動を逐一モニターする謎の集団があった。社会の裏で超人的な能力を駆使して、人間の運命を操作する運命調整局のエージェントたちだった。その1人、ハリー(アンソニー・マッキー)は、出勤するデヴィッドがバスを乗り過ごすように操作を試みるが、手違いから失敗。バスに乗り込んだデヴィッドは車内でエリースと再会し、彼女の携帯番号が書かれたメモを手に入れる。出社したデヴィッドは、調整局から派遣された干渉班が社員の意識改変を実施する現場に遭遇し、捕えられてしまう。エリースとは2度と会わないようデヴィッドに忠告したエージェントたちは、携帯番号のメモを燃やす。さらに、調整局の背後にはすべての運命を司る“チェアマン”の存在が……。それから3年。デヴィッドはエリースと偶然再会。それを知って2人を引き離そうと様々な策を講じる調整局。繰り返し再会する彼らに疑問を持ったリチャードソン(ジョン・スラッテリー)は、2人を調査。過去に2度も結ばれる運命にあった2人が、その運命に引きずられて互いに呼び合っていたことが明らかになる。一方、デヴィッドの元には調整局が派遣した“ハンマー”の異名を持つトンプソン(テレンス・スタンプ)が現れ、彼が政治家になった理由は真のリーダーとして人類を統率させるためだったと説明。さらに、これ以上エリースと接触すると、彼女のダンサーとしての夢も消えると告げる。選択を迫られたデヴィッド。果たして彼はどのような決断を下すのか……?(KINENOTE)
監督・脚本:ジョージ・ノルフィ
原作:フィリップ・K・ディック
出演:マット・デイモン/エミリー・ブラント/アンソニー・マッキー
ネタバレ感想
ディックの原作は未読。ずいぶん前に鑑賞したけど内容忘れてて、今回、アマゾンプライムで見つけたので鑑賞。忘れても仕方ないなぁという感じの作品だったってのが正直なところ(笑)。
この作品世界では、神=議長と天使=調整官が存在していて、こいつらが実は、人間の運命をある程度コントロールしているのだ。であるから、人間は自身の運命を自分の意志や行動でもって切り開いているように感じていながら、本当は裏にいる神と、そのしもべたる天使に操られているという。乱暴にいうと、そういう世界での話が描かれている。ちなみに、議長は1人。つまり神は1人、一神教だ。
で、物語の主人公であるノリス(マッドデイモン)は将来、アメリカの大統領になって世界の歴史を左右する運命にあるらしく、しかし、彼が運命の女として惚れていたエリース(エミリーブラント)と将来を共にすると、どうやらその歴史が変わってしまうみたい。であるから天使たちは何とかその間を裂こうとしてジタバタするわけだ。
であるが、そもそもこの話の発端はアンソニーマッキー扮する調整官(天使)が居眠りという、あまりにも間抜けなミスをしたことによるもので、それ以外の天使も結局は失敗ばっかしてて、単なる間抜け野郎どもがジタバタしているようにしか見えないのである。
でまぁ、最終的にはノリスはエリースと結ばれる道を選んで、それ以降の運命をなきものとして自分でそこを何とか切り開いていくことを選ぶ。運命だの、それを司る神や天使だのと大きな話を盛り込みながら、単なる一個人のラブストーリーとしてラストを迎える。
その結末についてはどうでもいいんだけど、この調整局の奴らって、人間が未熟だから破滅しないように導いてやっているとか抜かしておきながら、ぜんぜん人類の歴史ってよくなってないじゃん。何千年導き続けるつもりなんだよ。
調整局には確固とした倫理観、道徳観があって、それに則って人類を導いてきたんであるなら、しかも運命操れちゃうんだから、こいつらの望む世界なんてすぐにつくれそうなもんなんだけど、なんでそれができてないか意味不明。偉そうに人類をバカにしておきながら、そのバカさを是正できないのは、おまんらがバカだからだろ。本当に独善的な奴らだ。
そもそも、米大統領が世界の歴史の変革に大きな権限を持つだろうことはわからんくもないけども、そんなことよりも、戦争で儲けてる奴らとか、糞みたいな権力者は無数に、吐いて捨てるほどいるんだし、そういう奴らの運命を変えていけば世の中よくなるんじゃないの? むしろそういう物語として、調整局が活躍する物語だったら面白かったんじゃないかと思ってしまった。
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