超感染ファイナル・デッド 末世人間道
―2019年公開 中 86分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ゾンビの巣と化した高級ホテルから脱出を図る人々の恐怖を映し出すスリラー。運転手ジャックがホテルで会食中のボスを待っていると、突如人食いゾンビが出現。逃げ惑う市民が次々と襲われるなか、ボスから救助要請を受けたジャックはホテルの最上階を目指す。中国系アメリカ人、スカイ・ワン監督による長編デビュー作。シネマート新宿・シネマート心斎橋で開催される特集企画『のむコレ3』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:明るい性格だけが取り柄の、冴えない運転手ジャック(マーティン・ヤン)は、高級ホテルの駐車場で、会食中のボスを待っていた。その時、ホテルの中で大量の人喰いゾンビが出現。逃げ惑う人々が次々と餌食になっていくなか、ジャックはホテル最上階のスイートルームに閉じ込められたボスから救助要請の電話を受ける。車のトランクから1本の金属バットを手に、無我夢中で最上階へと向かうジャック。やがて、“感染者”に占領されたホテルで生き残った5名は、安全な軍事基地への脱出を試みるが……。(KINENOTE)
監督・脚本:スカイ・ワン
出演:マーティン・ヤン/ミンイー・ヤン/イーナン・ジャン/レイ・ワン/フェンジュー・ジアチャンフア・チェン
ネタバレ感想
邦題は明らかに韓国のゾンビ映画『新感染ファイナルエクスプレス』を意識している。パッケージも似たようなデザインにして鑑賞者のミスリードを誘おうという魂胆だろう。これってライトなユーザーには非常に不親切で、逆に映画に対する興味を失わせちゃうんじゃないかと思うんだけど、こういう商法はどうにもならんのだろうか。こういう便乗型は局地的には利益になるのかもだけど、大局的に見ると損になるんじゃねぇかな。
まぁ確かに、原題の「末世人間道」のまんまじゃゾンビ作品だなんてわかんないだろうから、上記のような結果になったんだろうというのはあるが。
てなことで、この作品はゾンビが群がりはじめた世界で、あるグループの人間たちがどういう振る舞いをするのかってことに焦点があてられた内容で、いうなればゾンビ世界の人間ドラマ。それを短い尺でまとめたらこういう作品になりましたって感じであった。
そういうゾンビ作品ってのは別に珍しくなくて、『新感染ファイナルエクスプレス』もそういう要素はあった。しかも、あっちの作品はゾンビとの死闘というか、生き残りのためにジタバタする要素も満載で、要するにハラハラとスリルを楽しめるのである。あれと比較してしまうとこの作品は非常に小粒だ。それは否めない。
とはいえ、俺はゾンビ映画マニアでは全然ないけども、それなりに駄作も含めたゾンビ作品を観ているし、その中のいくつかを紹介していて、その観点から言うと、けっこう観るに耐えうる内容だったなぁというのが率直な感想。
世間の評価はかなり低いけども、俺はそこまで腐すほどではないのではと思った。こういうのは『Zアイランド』を観たとき以来かも。そこまで腐すほどがないと思ったのは、今回登場する中心物たちの人となりや、彼らがゾンビ騒ぎを通じてどういう選択をしてどういう末路を遂げるか、もしくは生き残って成長していくかが、きちんと描かれているからだ。だから、一応人間ドラマになっている。
ただ、そのために人間関係を描写するために、作品のテンポが悪くなっている感もある。また、ウー書記と工場の人間の関係がけっきょく何だったのかがわからないのは少し不満。さらに、ゾンビがどういう経路で感染したのかとか、その感染規模がどのくらいなのかがわからないところも物足りない。
決しておススメするような作品ではないが、個人的には予想外にそれなりに楽しめた。
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