ランボー 最後の戦場
前作からおよそ20年の時を経た続編。だいぶ肥えてしまったランボーが、今度はミャンマーの軍事政権に喧嘩を売り、虐殺野郎どもを相手に大量虐殺を仕掛ける話。ネタバレあり。
―2008年公開 米 90分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:“怒れる孤独な戦士”として80年代に世界中で大ヒットした人気シリーズが、20年ぶりに復活。内戦が続くミャンマーを舞台に、凄惨なバイオレンス描写も満載のハード・アクション。「ロッキー」でアカデミー脚本賞にもノミネートされたシルヴェスター・スタローンが、主演と脚本はもちろん、シリーズ初の監督も兼ねる。他の出演者に、「ハード・キャンディ」のジュリー・ベンツ、「バイオハザードIII」のマシュー・マースデンら。(KINENOTE)
あらすじ:元グリーンベレーであり、ベトナム戦争の帰還兵であるジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)。これまで、数々の伝説を生み出したきた彼だが、現在はタイ北部の小さな村で孤独に暮らしていた。故郷のアメリカに背を向けるかのように…。タイの隣国であるミャンマーでは、軍隊による武力弾圧の内戦が長期化して泥沼状態に陥っていた。独立を勝ち取ろうとするカレン族は、情け容赦のないミャンマー軍から迫害を受け、その殺戮ゲームは女性や子供たちにも及んでいた。そんなカレン族に医療品を届けようとするボランティアグループが、ランボーにボートでの道案内を依頼する。メンバーのひとりであるサラ・ミラー(ジュリー・ベンツ)の真摯な眼差しに心を動かされたランボーは、その仕事を引き受ける。ミャンマーの海賊からの襲撃も切り抜け、ランボーはグループを目的地へと届けた。数日後、サラたちがミャンマー軍によって拉致されたとの知らせが届く。救出のため雇われた5人の傭兵を同じ場所に送り届けるランボー。しかし、ミャンマーの惨状は傭兵たちの想像を超えるものだった。地雷を沈めた水田に村人たちを走らせて、誰が生き残るかを賭けるゲームに耽るミャンマー軍の残虐さは、傭兵たちを恐れさせるのに充分だった。彼らが撤退しようとしたとき、ミャンマーの兵士の頭部を矢が貫き、次々と射殺していく。それは、20年ぶりに戦士となったランボーの仕業だった。臆病風に吹かれた傭兵たちに、ランボーが叫ぶ。「ムダに生きるか、何かのために死ぬか、お前が決めろ!」夜の闇にまぎれてサラたちの救出に成功するランボーだが、そんな彼らをミャンマー軍が追いかける。激闘が始まった。その末に、苦い勝利を噛み締めるランボー。そしてランボーは、数十年ぶりに生まれ故郷へと帰る。しかし、老いた父が暮らす生家のドアを叩くことなく、去っていくのだった……。(KINENOTE)
監督・脚本:シルヴェスター・スタローン
出演:シルヴェスター・スタローン/ジュリー・ベンツ
ネタバレ感想
スタローンは最高だ!
久しぶりに鑑賞した。最近一作目から順番に再鑑賞をしてこの作品を観たら、より面白さがアップして、最高の映画だなと思った(笑)。最近になって、俺はランボー…、ではなくて、スタローンが大好きなんだなと気付いたのである。このブログを始めて丸3年が経とうとするが、振り返ってみると、主に80~90年代にくらいに活躍したアクション俳優の中で、スタローンの映画の紹介本数が他の役者と比して、圧倒的に多いのだ。
要するに、最近気付いただけで、俺は昔からスタローンが大好きだったんだろう。今作は3度目くらいの鑑賞なんだが、俺はそれを認めることにした。ランボー最高。スタローン最高だ(笑)。
ランボーは根っからの戦闘マシーン
何がいいって、ランボーが軍事政権に拉致されたサラたちを助けにいく決意をして、ナイフをつくるシーン。これから鉄を打ってナイフつくるのかよ、間に合うのか!? と思わなくもないが(笑)、そのときに彼は、自分が繰り広げてきた過去の闘争がフラッシュバックし、トラウトマン大佐から言われた「お前は本質的に戦闘マシーンなのだ」という言葉を思い出すのだ。このセリフは3作目で、大佐からランボー本人にハッキリと告げるシーンがある。
そしてランボーは鉄を打ちながら、自分が本質的に戦いを欲している人間であることを認めるのである。今までそういうことを認めてこなかった彼が、認めたのである(1~3作目も本当は戦いたくて仕方がなかったという見方もあるかもしれんが、俺にはあまりそういう風には見えない)。そして、戦いを求める自分を認めるこの描写は、歳月を経てスタローンが監督・脚本を務めた今作だからこそできたことなのかもしれない。
美女の誘いにホイホイ乗っちゃう色ボケ乱暴者
笑えるのは、ボランティアにボートでミャンマー入りを依頼されるくだり。最初はリーダーの男の誘いを冷淡に断っておきながら、美人な女性が再度頼みに来ると、心が揺れてしまうランボー(笑)。最終的には彼女の頼みを聞くことにしてやるんだが、これでは単なる女日照りのダメ中年が美女に篭絡されたようにしか見えない。しかも、ボートをミャンマー国境に向けてからの、女性への贔屓ぶりはあからさま過ぎて、なにを色ボケしてんだ、このオッサンがーーと思わなくもない(笑)。
さらに笑えるのは、その後、川の途中で海賊(吹替えでは盗賊)に襲われて、隙をついて拳銃だけで奴らを沈黙させると、ボランティアのリーダーが「殺さなくてもいいだろ!」とランボーを非難する。するとランボーは乱暴者に覚醒し、リーダーの胸倉をつかんで「女は犯され、お前たちは首を切られてた。平和ボケどもが!」と凄んでから、ボートを引き返そうとするのだ。
そらそうだな。あんだけの目にあわされて人殺しするなとか偉そうにのたまう平和ボケどもとは付き合ってられんからな。と思っていたら、またもや美女に説得されて、引き返すことを止めるランボー。なんなんだよ、メロメロなのかよ。相手を平和ボケ扱いしといて、おまんは完全に色ボケ確定だろ(笑)。そういえば2作目のベトナム人女性に対しても、そんな感じあったよなぁということを思い出しちゃうね。
軍事政権の兵どもを虐殺しろ!
まぁそんな感じの珍道中の前後で、軍事政権の兵たちの極悪非道さがこれでもかと描写される。かなりひどい。武装も何もしてない村民たちを遊びかのように虐殺し続ける鬼畜ぶりには、目を覆うほどだ。いろいろあってランボーと傭兵たちが逆襲に転じるにいたってからは、血みどろの銃撃戦と殺戮ショーが行われる。
マジでサイコー! 話の筋とか細部の適当さとか、そんなもんどうでもいい。いいぞもっとやれ! 殺せ! と思っちゃうのである。ミャンマー軍の村民イジメが酷すぎるからだ。で、やけくそ気味に機関銃を乱射するランボーを応援せずにはいられなくなる。
このシーンを見て、鑑賞者の中には、仮に自分も酷い仕打ちを受けて親しい人間が虐げられたとしたら、恨みを持つ相手に対して、目には目をで復讐を果たしたいと思わずにはいられなくなるかもしれない、と感じる人もいるだろう。それをやるかどうかは別問題としても、そういう気持ちになってもおかしくないような場面だ。
ランボーの諦念は実はそういうところにあるのだろう。彼が言うように、争いは終わらないのだ。人間の本質には、争いを避けることのできない本能があるのだと言っているように思える。その一方で、ボランティアで村民を助けにいくような人たちもいるのではあるが、ランボーの乱暴と、ボランティアたちの自愛の精神の、どっちが正しいのか何なのか、さっぱりよくわからんくなるのである。
ということで、ギネスにも載ったと言われる3作目よりもさらに敵を殺戮している乱暴者の暴れっぷりが、最高にカッコいい作品である。
なんと、ランボー5があるらしい
ちなみに、邦題では最後の戦場となってるけども、すでに続編が海外では公開済みらしい(2019年11月現在)。日本では公開されるのだろうか。まだ乱暴を続けるランボーが、今度はどんな乱暴を働くのか鑑賞したくて仕方がない(笑)。←2020年6月27日に鑑賞した。
善悪を超えた言葉を獲得するために、みんな人間であることをやめよう
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