デッド・ハンティング
理不尽な暴力にさらされた主人公が反撃に出る、リベンジ系作品。引用したAmazonの内容紹介とあらすじ、ハードル上げすぎだろ(笑)。書いてある通りの内容だったらすげー面白そうだぞ。この煽り文句を真に受けて鑑賞した人から、苦情が来てもおかしくないレベルだ。ネタバレあり
―2014年製作 米 89分―
内容紹介とあらすじ・スタッフとキャスト
内容紹介:愛する夫を惨殺された女の決死の反撃を描く、衝撃のヒロイン・リベンジ・アクション!憎き奴らに復讐を!新たなるヒロイン・リベンジ・スリラーの傑作が誕生!人里離れた山中で“人狩り”を楽しむ謎のハンターたちに夫を惨殺された女。敵の正体も目的も分からない中、生存本能だけを武器に反撃を開始する!徹底的に虐げられた女性が壮絶な逆襲に転じる展開、そしてハードなアクションの連続にカタルシスMAXになること間違い無し!さらに主人公を追いつめるハンターの不気味さや山という閉鎖空間が作品に極限の緊迫感をプラス!狩る者と狩られる者の壮絶な戦いを描き、リベンジ・アクションの新境地を切り開く一作がここに誕生した!(Amazon)
あらすじ:狩られる前に狩れ。夫マイク・義理の兄ショーンと共に人里離れた自然公園へ狩りに訪れたウィトは、お腹の中の子供を気遣いながらも大自然を満喫していた。しかしテントで一夜を明かし翌朝目を覚ますと、テントや荷物は消え失せ、なぜか額には×印が。不可解な状況にパニックに陥った3人は来た道を戻ろうとするが、道中マスクを被った謎のハンターたちが彼らに襲いかかる。不条理にも彼らの “人狩り”のターゲットとなり、惨殺されてしまうマイクとショーン。一人残されたウィトは決死の反撃を試みるのだったが……(Amazon)
監督・脚本:クリストファー・デナム
出演:レン・シュミット/パブロ・シュレイバー/アーロン・ステイトン/コディ・サンヌー
感想
この作品は全然面白くないでありました。ラストまで鑑賞には耐えられる内容ではあったが、ハラハラドキドキ的な何かを求めて鑑賞すると、がっかりしちゃうかも。
最近、狙ったわけでもないのに立て続けにリベンジ系の作品ばかり観てしまっている。その中でも本作が、一番つまらない内容であった。記事は一番長文だが(笑)。
適当にあらすじ紹介
登場人物は6人と犬のみ。主人公側がマイクとウィトの夫婦。そしてマイクの兄貴であるショーンと犬。3人は自然公園に鹿狩りに出かける。冒頭の車でドライブしているシーンから推測するに、なかなか奥深い山の中にある公園らしい。
ところが到着してみると、公園は一般開放を中止しているらしく、立ち入り禁止になっている。3人はそれにかまわず園内に侵入。山林に分け入っていく。広大な敷地のようなので、迷わないために目印をつけながら進んでいくのであった。
ちなみに、マイクは金融系の仕事をしている。そのせいか休日なのにひっきりなしにスマホで通話相手と株式の話。最近コミュニケーションが取れていないウィトは、そんなマイクに対して言いたいことがいろいろあるらしい。
兄貴のショーンは退役軍人だ。国に帰ってきたけども、工場の仕事などが長続きせず、現在は無職のようだ。彼はアナログ人間で、今回の狩りのように自然の中でサバイヴする生活だとイキイキとしてくるみたい。なので、スマホを使って山の中でも仕事の話をしているマイクをからかう。
ウィトにとってショーンは扱いづらい男のようだが、彼女もマイクが仕事をしていることに不満があるので、会話を通じて少しずつショーンと打ち解けていっている。マイクはそういうシーンを何度が目撃してしまい、面白くなさそうにしている。
――という退屈なシーンが序盤は続く。しかし、3人が一夜を明かすと事態は急変。目覚めてみると、なぜかテントや荷物が全て盗まれており、3人とも素足にされていて、額には×印が描かれている。犬の姿はない。
マイクはショーンがふざけているのだと思い、激怒。兄弟の間に不穏な空気が流れる。ところがショーンは冷静に周囲の状況を調べて分析し、自分たち以外の3人の人間の足跡を見つける。ショーンが言うには、この3人が荷物を奪った犯人だと言う。
仕方なく3人は、車を駐車しているところまで戻ることにした。しかし、事はそう簡単には運ばない。彼らは謎の3人組のハンティングのターゲットにされていたのだ!
で、彼らはいったいどうなってしまうのか!?
という話である。
繰り返すが、ここに至るまでが非常に退屈。そして、この後の展開も別に面白くはない。ただし、ツッコミどころが満載すぎるので、そこを楽しめる人ならラストまで鑑賞できるだろう。そういう類の作品である。
ということで、以下はツッコミたいところ。
ツッコミどころ満載です
なぜ道に迷うんだ?
車に戻ることになった3人。兄貴は犬を探しに行くので、「おまんらは先に戻れ」とマイクとウィトに言う。しかし、帰り道が分からないという2人。ショーンは、あっちのほうにいけば、来るときにつけてきた目印があるから、それを見つけろという。そして1人、愛犬の捜索に出かける。
そんで夫婦は半信半疑で戻ってみたら、なぜか全然違う場所に出てまう。目印っぽいものはあるのだが、それは自分たちがつけたものではない。愕然とする2人。
なんなんこれ? おかしくないか? さぞ広大な公園なんだろうなってのはわかるよ。でも、そんな広大なら逐一つけた目印の一番最後のものは、キャンプをしていた付近につけるべきだろ。なんでないんだよ。アホか。てことはこのボンクラども、帰り道もわからぬ状態でのんびりキャンプしてたのかよ。なんなんそれ。
元軍人弱すぎ
で、その後、ショーンは犬を発見するのだが、無残にも殺されていた。しかも、どこからかライフルで狙い撃ちしてくる奴がいる。木に隠れて周囲を見回すと、狙撃手を発見! 元軍人かつサバイヴ術に長けた彼は、木の枝をナイフのように削り、相手の背後まで接近することに成功。ナイフで攻撃して相手を倒すのである。お見事! と思わせておきながら、致命傷を与えてないくせに、いきなり相手に背を向けちゃうのだ。で、気付かぬうちに復活した敵に絶命させられてまう。
おいおいおいぃ
弱すぎだろ、あんた。今までの「俺様強いんだぜ」みたいなフリは何だったの? 敵がそれを上回るくらい強大だったと表現したいの? とてもそうは見えない。単にショーンがあほすぎるだけ。単なる無駄死にしか見えないし、間抜けすぎて同情できぬ。
もう一度言う、なんで公園で迷うんだよ
弟も弟で、兄と同じようなことをする。その前に別のツッコミを入れておくと、ウィトとマイクは公園内の小屋で地図を発見する。さらにウィトはそこで都合よく、自分にぴったりの靴とズボンを見つけ(笑)、それを身に着ける。
すると、小屋の外から人の気配が。どうやらハンターらしい。そこでマイクは地図を見て、「僕が敵をひきつけるから、君は崖を上って車のところに逃げろ」という。彼は足を負傷しているので、同行はできない。
ていうことで、ウィトは崖へ。マイクは敵をひきつけるために公園の敷地内にあった、簡易トイレに逃げ込む…
っておいおいおいおぃぃ
簡易トイレがあるんですよ。さっきは近くに小屋があったでしょ? で、あんたら地図みたやんけ。何でそんなところで迷うんだよ。わけがわからねー。
兄弟そろって背後が隙だらけ
で、弟も兄貴と同じような行動しちゃう話。簡易トイレに逃げ込んだマイク。ハンターは外からナイフをぶっさしてくる。「黒ひげ危機一髪」状態のマイクは必死こいて天井をぶち破って外へ、そのまま敵にタックルをかまし、もみ合いながら、別の簡易トイレにお二人様で入っちゃう。
そこで何とか敵を引き剥がし、張り倒し、便器をなめさせることに成功した! と思ったら、こいつも兄貴と同じく、生死を確かめずに敵に背を向けてトイレを出ちゃうのだ、そうしたら、トイレの上にもう一人のハンターがいて、やられてまうマイク。あほすぎだろ。
というわけで、ボンクラ兄弟2人は、あっさりと敵に狩られてしまうのであった。1人は元軍人なんだから、ハンターたちもさぞツワモノなんだろうなと無理やり納得しようとしていたら、なんとこのハンター3人組。地元の中学生か高校生くらいの年齢の奴らなのだ。つまり、兄弟からみれば、子どもですよ。ショーンは何で負けてんのよ(笑)。
殺すことをためらったのだ
そこで、何とか自分で納得するために俺は、想像をめぐらせてみた。この兄弟はもみ合っているうちに、相手が子どもだとわかってしまったのではないか? 仮にそうだとしたら、彼らは優勢になった時点で、それ以上暴力を振るうのをためらってしまい、そこを突かれて逆にやられてしまったのではないか。
なるほど。なかなかいい解釈かもしらぬ(笑)。なぜなら、平和にキャンプをしていた頃、ショーンはウィトに、ハンティングでは相手をためらわずに殺す覚悟が必要――というようなセリフを何度か言うのだ。
で、この兄弟、特に兄貴は鹿にはそれができても、人間にはできなかった。対して、その言を忠実に遂行しようとしたウィトが生き残ることになるわけだ。
さらに、惨事が始まる前、ショーンは軍にいた頃に何かをやらかして除隊させられていることがわかる。しかし、なぜ除隊したのかの詳しい説明がない。申し訳程度に、ウィトとのゲームの中で匂わせるだけである。
仮に上記の推測が正しいのなら、彼は戦地で子どもを殺めてしまっているのかもしらん。それが除隊のきっかけなのかもしらん――と思った。
なかなかいい線いっている気がする。けど、なんで鑑賞している側が、こんな糞映画のためにそこまで想像で補完してやらないかんのじゃ。
ウィトの奮闘が始まるが…
てなことで、ダメ兄弟は大人の貫禄を見せつけることなく少年らに淘汰され、最後に残されたのはウィト。彼女は崖をなんとか登りきった。しかし、遠くのほうに3つの人影が見える。なんと、ハンターたちが、マウンテンバイクでこちらに向かってくるではないか!
なんなんそれ?
崖を登らざるを得なかったんじゃないんかい! チャリンコをこげちゃうくらい走りやすい道あるんなら、そこから逃げればよかったと思うんだが。というか、何でそんな道がある山で、迷ってたの? ホントわけがわからない。
てなことで、絶望しつつも走って逃げるウィト。しかし、チャリンコ族のスピードにはかなわない。彼女は哀れ、追いつかれそうになってまう。だが、いろいろあって、彼女は身を隠す排水溝みたいなトンネルを発見し、泥まみれになりつつ奴らの捜索を撒くことに成功した。
で、彼女はそのトンネルをさらに奥に進んでいく。トンネルを出ると、そこには車があった!
やったぞ、ウィト!
て、おかしいだろ!
どういうことなんだよ。何で都合よく車の前に出てこれるんだ? めちゃくちゃすぎだろ。
という俺のツッコミをよそに、ウィトはマイクに教えられたとおり、車のエンジンを始動しようとする。ちなみに、鍵を盗まれているので、配線をいじってエンジンかける、映画でよくみるアレである。…だが、ハンターに細工されたのか、エンジンはかからない(笑)。
で、彼女は確か、引き返して3人と戦う決意をするんだったと思う。実は、あまりの適当さに呆れてしまって、この辺から少しの間、俺の意識がぼんやりしていてよく覚えておらぬ(笑)。
ともかく、そのあたりで、ハンターである3人がどんな奴らかわかるシーンがある。一人は恐らくショーンと戦った奴なのか、右足首あたりを激しく負傷しているのがわかる。よくこんな状態で歩いたり、自転車こいだりできるなと思う傷だ。だが、表情はさほど痛そうに見えない。
で、こいつら3人並んで座っているのに、スマホ使ってラインみたいので会話してるのだ。コミュ障かよ(笑)。恐らくこの若者たちの異常性を表現したいんだろうね。まぁ確かにサイコではあると思いました。おっかない人たちだと思いました。一人はその後、愛しのママンと連絡するシーンもある。ちなみに、ママンとはちゃんと声で会話する。マザコンかよ(笑)。
いろいろあって、ウィトはこいつらの撃退に成功します。よく頑張りました。ただし、ここまでの過程が酷すぎるので、全くスッキリもしないし、ウィトを賞賛したい気持ちは起きない。
そして、子どもたちの携帯で助け呼ばずに、チャリだけ奪って、ゆるゆると下山を始めるウィト。
おいおいおいおぃ
オープニングであれだけ長いこと山道走る描写があったんだけど、その体で帰れるのかね? 頭大丈夫なの? と思ってたら、すぐに街に戻ってこれちゃう。そして劇終だ。めでたしめでたし。
全然めでたくねぇよ、ちくしょう。
デッド・ハンティングはネットフリックスで鑑賞できます。
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