NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム
ラスト近くで主人公が大衆に語りかけるシーンがあるけど、現在はそういう言葉が通用しそうもない世の中なんではないか。そういうことを描いているのかと思いきや、この作品では、最終的に生(ナマ)の言葉が人の心を動かしている。それが表すものとは何か。ネタバレなし。
―2017年 米 96分―
解説とあらすじ
解説:「パラノーマル・アクティビティ3」のヘンリー・ジュースト&アリエル・シュルマンが、ネット社会を舞台に繰り広げる青春スリラー。裏オンラインゲームに参加した女子高生ヴィーは、そこで知り合ったイアンとコンビを組み、多額の賞金を手にするが……。出演は「なんちゃって家族」のエマ・ロバーツ、「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」のデイヴ・フランコ。(KINENOTE)
あらすじ:女子高生ヴィー(エマ・ロバーツ)は、親友シドニーのお節介に苛立ったことがきっかけで、裏オンラインゲームに参戦。視聴者が指令した“見知らぬ人に5秒間キス”という挑戦を達成して賞金100ドルを手にした彼女は、実は挑戦者でもあったキスの相手男性イアン(デイヴ・フランコ)とコンビを組んで、次々に挑戦をこなしていく。やがて、多額の賞金を手にした彼女は、瞬く間に人気プレイヤーの仲間入りを果たす。ところが、ライブストリーミングを見ているとも知らず、ヴィーがイアン相手にシドニーの欠点をもらしたことから、2人は大ゲンカに。さらに、イアンが実はゲームのリピーターと知り、彼への不信感も募っていく。スリリングで楽しく、引っ込み思案な自分を変えてくれるはずのゲームは、次第に危険なものに変わっていき……。(KINENOTE)
予告・スタッフとキャスト
(株式会社プレシディオ)
監督:ヘンリー・ジュースト・アリエル・シュルマン
出演:エマ・ロバーツ/デイヴ・フランコ/ジュリエット・ルイス
ネット社会を風刺している
SNSとか動画サイトは、その面白さが過剰になると、この映画で描かれているような事態を引き起こす。そして、それは今、現実に起こっていることでもあるのだろう。
そういう意味では、本作品は現在のネット社会を風刺しているようだ――。
最後に主人公が大衆に語りかけるシーンがあるけど、そういうものが通用しそうもない世の中が現在なんではないかと思う。そこを描いているのかと思いきや、この作品は最終的に生の言葉で人の心を動かそうとする。それが通用する世の中であるなら、それはよいことなんだが、現実はどうなんだろうか。
テーマそのものは古典的ではないか
いずれにしても本作品では、何かに目覚めた主人公が言葉によって大衆に語りかけることで、物語を結末に導く。つまり、今の世の中の一面を表していながら、昔からある道徳観・倫理観みたいなものの大切さを訴えているわけである。
しかも物語の骨子は、昔からあるアメリカの若者を描いた作品の形式が用いられており、そのベースの上に現代の若者の生活実態を表すものとして製作しているように感じる。
なぜそう思うのかというと、本作は主人公と関わりのある異性がいて、主人公はその異性を好いている。物語が続くにつれて、それぞれがそれぞれの行動において成長して、別の異性と関わる中で、ラストは違う相手と恋仲になる、あるいは恋仲になることを予想させて落ち着くのだ。これは既存のホラーやパニック映画によくあるパターンで、例えば『パラサイト』はそれに近い。
時代が変わっても若者の道徳や倫理観は変わらないのか
ともかく、若い人がこれを観て何かを感じて面白いと思うのであれば、それはすごくいいことだ。俺が若い頃に楽しんでいた娯楽作が、こういう形で残っているのだということだから。そして、描かれる内容に共感したのだとしたら、俺が子どもの頃から常識とされている道徳や倫理観が今も世の中に息づいているということにもなる。ただ、個人的には全然面白くない作品であった。これは自分がオッサンになったからなのかも。
SNSや動画をツールにすれば、誰でも有名で人気者になれる。でも、人気者になるのって本当に大変というか、それって単なる玩具にされてるだけなんではないかと思わされる。人気者は常にそうした宿命を背負わざるを得ないので、その地位を目指すには、ある程度の覚悟は必要ということだろう。
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