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映画 リービングラスベガス ネタバレ感想 アル中男と孤独な娼婦

リービングラスベガス
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リービング・ラスベガス

洒落た音楽に合わせて、アル中の元脚本家とベガスで身を立てる高級娼婦の短い蜜月の時が描かれる。ネタバレあり。

―1996年公開 米 111分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:大都会ラスベガスで出会ったアルコール依存性の男と娼婦の束の間の恋を描いた、異色のラブ・ストーリー。自らもアルコール依存症で、映画化決定後に自殺した作家ジョン・オブライエンの同名の自伝的小説(邦訳・角川文庫)を、「背徳の囁き」「心のままに」のマイク・フィッギスの監督・脚本・音楽(演奏も)で映画化。製作は「ロスト・チルドレン」「シクロ」などを放ったフランスの映画製作会社リュミエールの代表の一人、リラ・カゼスと「心のままに」のアニー・スチュアート。エグゼクティヴ・プロデューサーは、ペイジ・シンプソンとスチュアート・リージェン、撮影は「エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア」のデクラン・クイン、美術は「背徳の囁き」「心のままに」のワルデマール・カリノフスキ、編集はジョン・スミス。衣裳はローラ・ゴールドスミスが担当し、英国を代表する個性派デザイナーのヴィヴィアン・ウェストウッドがヒロインのワードローブを提供。主演は「ザ・ロック」のニコラス・ケイジと「蒼い記憶」のエリザベス・シュー。共演は「裸のランチ」のジュリアン・サンズほか。「セブン」の個性派俳優R・リー・アーメイ、監督のボブ・ラフェルソン、歌手のジュリアン・レノンら多彩なメンバーがカメオ出演している。95年度(第68回)アカデミー賞最優秀主演男優賞(ニコラス・ケイジ)、ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞ほか数々の賞を受賞。(KINENOTE)

あらすじ:ベン(ニコラス・ケイジ)はハリウッドの脚本家だったが、酒浸りの生活でクビになった。妻子も家を出て、彼はラスベガスで死ぬまで酒を飲み続けようと決める。ベガスに着いたベンは、さびれたモーテルの一室に滞在し、ある夜、街で娼婦のサラ(エリザベス・シュー)と出会う。サラには暴力的なロシア系ギャングのヒモのユーリ(ジュリアン・サンズ)がいて、日々脅えながら暮らしていた。孤独な彼女は、どこか優しいベンの眼差しに引かれるものを感じ、心安らぐ一夜を過ごした。ネオンの街で再会したベンは、彼女を食事に誘う。ギャング仲間に追われているユーリは、自分の身に危険が迫ったことを知り、サラに別れの言葉を言う。晴れて自由の身になった彼女は、ベンのモーテルに向かい、レストランで食事をした後、サラのフラットに落ち着く。ベンはそこを「天使の家」と呼び、サラはベンといる時、本当の自分に戻れる気がした。一緒に暮らそうと言うサラに、ベンは「絶対に酒をよせ」と言うなと、きっぱり言い放つ。彼もサラの仕事には口を出さず、お互いの立場を納得した上での同居生活が始まった。だが、幸せも束の間。一緒に行ったカジノでベンは泥酔して荒れるが、家に戻ると何も覚えていなかった。バーでも、リゾート・ホテルでも出ていくように命じられ、次々に行き場を失う2人。ベンの体調は悪化する一方で、そんな彼を見るのがサラは辛かった。ある日、サラが仕事から帰ると、意識朦朧のベンがカジノで知り合った娼婦をベッドに連れ込んでいた。激怒したサラは彼に出ていくように言う。失意のサラは追い打ちをかけられるように3人組の若者の客に暴行を受け、帰宅すると大家が立ち退けと言われた。カジノに足を踏み入れれば、娼婦と気づいたホディガードからゴミのように追い払われる。意気消沈する彼女に、ベンから電話がかかってきた。急いで彼のモーテルを訪ねると、そこには衰弱しきったベンかいた。二人がその夜、初めて本当の愛を確かめ合った後、ベンは静かに息を引き取る。サラはベンとの不思議な出会いと別れを振り返った……。(KINENOTE)

監督・脚本:マイク・フィギス
出演:ニコラス・ケイジ/エリザベス・シュー/ジュリアン・サンズ/リチャード・ルイス/R・リー・アーメイ

ネタバレ感想

超適当なあらすじ

ニコケイ扮するベンはハリウッドでそこそこ有名な脚本家だったが、酒におぼれるようになって妻子からも友人からも見放されたうえ、会社をクビになる。

退職金代わりの小切手をもらった彼は、自宅を捨ててラスベガスへ。安いモーテルに滞在しながら残りの金を酒とギャンブルで使い果たし、人生の幕を閉じようとしていたのだ。そこで偶然出会ったのが、同じく少し前からベガスで娼婦として働き出していたサラ(エリザベスシュー)。

彼女はロシア系マフィアのヒモがいて、彼のあっせんする客と寝ては大金を稼いでいたが、その金はヒモにかなりの額を献上しなければならなかった。それでも寂しさもあって彼と一緒にいるしかないサラ。暴力を振るわれても離れることができない。

しかし、ちょっとしたきっかけで、ベンと出会って一夜を過ごす。お互いにひかれあう二人。サラのヒモはギャングから命を狙われているようで、逃げ切ることを諦めたのか、あっさりとサラから身を引いた。いっぽうのベンはサラとの一夜が忘れられず、彼女を街で見つけると食事に誘う。

サラはベンといることを望むようになり、一緒に暮らすことを提案。ベンはこの街で死ぬことにしているので、彼女に条件を出した。「酒を飲むことを止めるな」。サラはそれに唯々諾々と従う。ベンがカジノで荒れ狂って出入り禁止にされても、プールの椅子を破壊して店員から「二度と来るな」と言われても、ベンに「酒を止めて」とは言えない。

そんな日々が続く中で、ベンは泥酔して二人の住居に娼婦を連れ込み、交接をしていた。怒ったサラは彼を家から追い出す。夜、彼女は筆おろしを望む3人組の若者を客としたが、横暴な扱いをされてボロボロになって帰宅。しかし、家主から家を追い出されてしまう。

いよいよ行き場を失っていたサラのもとに、電話がかかってくる。それはベンからだった。彼のもとへ駆けつけると、衰弱しきっている。その時にベンは初めて、サラの存在の必要性と彼女に対する愛の言葉を告げた。そして死んだ。

サラはそうしたベンとの出来事を振り返りつつ、目の前の誰かに彼との思い出を語るのであったーーというのが超適当なあらすじ。

孤独な女とアル中の男

俺の好きなニコケイが今みたいにB級ばっかに出るようになる前の作品。彼の相手役であるエリザベスシューは『ベスト・キッド』や『バックトゥザフューチャー』シリーズの頃よりも大人になってあか抜けた感じがして美人。

ということで、上に書いたようなあらすじが、洒落た音楽で演出されつつ展開される。ベンも、サラも、サラのヒモも、それぞれの背景はそれほど多くは語られない、それなりにどのような人間たちなのかわかるように最低限の描写がされるのみ。

サラはヒモとも離れられないくらいに孤独な女性で、ヒモと別れてからはベンに依存するようになる。彼女は非常に献身的で、酒で荒れ狂った彼のせいで行き場を失っていくのに、彼の世話をすることにある種の喜びを感じているようだ。それくらい、相手にのめり込んで身を捧げてしまうような人らしい。

一方のベンは、そうしたサラの存在にある程度は救われているものの、彼女の存在を大事に思って酒を断つようなことをしない。未来を生きる志向はないのだ。だから、酒は止めない。最終的に、最期の一夜で彼は、サラに愛の告白をするのだが、時すでに遅し。息を引き取ってしまうのだ。

物語としてはただこれだけ。アル中と娼婦がしばらくの間共同生活をして、そして一人が死ぬことで別れたという。

娼婦の扱いが酷い

個人的にこの作品から感じ取ったのは、娼婦を虫けらのように。ダッチワイフのように扱うオスたちの薄汚い暴力性だ。娼婦という職業は古くからあるもので、それは男にとって必要欠くべからざるものであるのに、底辺の存在として扱われるのはなぜか。男娼という存在はいつからあるかは知らぬが、それもまた同じ。古くは武家の小姓として従事しているものの中にそういう扱いをされていたものと言われているので、それなりの歴史もある。ところが、職業としてのその社会的地位は低い。

個人的にはこうした職業はエッセンシャルワーカーと言ってもいいくらいにリスペクトされるべきと考えるが、やはりそういう意識が広く一般のものとなるのは難しいようだ。こういう職業に就くことになるのはもともと生活に困っている人が多いだろうから、そういう出自が底辺であることも手伝っているかもしれない。

アルコール依存は怖い。

もう一つ感じたのは、アルコール依存症の恐ろしさである。このブログではアルコールなど依存症に関して何度か言及したことがあるけども、依存症というのは本人の力では脱却できるものではなく、周囲のサポートが必要なものらしい。しかし、本作においてのベンは行きつくところまで飲もうというスタンスなので、そもそも依存症から脱却する意思がない。俺もアル中の気があるんだけども、ベンのような飲み方はさすがに無理。あの飲みっぷりは、さすがに見てるだけで気持ち悪くなっちゃう。とかはどうでもいいとして、いろいろの依存症について考えるまえに、一度読んでみておくとよいと思うのが、國分浩一郎の『中動態の世界』だ。おススメ。

ぜんぜん作品の内容についての感想とは言えないが、これで終わる。

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