バスタブで死んだ私
若くて美人なパラリーガルの女性。上司と付き合ったり、不倫したり、元恋人とも薄い関係を保ってるビッチで、性格も悪そうに見える。そんな彼女が上司の家のバスタブで死んでいた。果たして彼女の身に何があったのか。ネタバレあり。
―2018年製作 米 86分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:あらすじ:恋人である上司の家で、若きパラリーガルが遺体となって発見される。捜査が進むにつれて見えてきたのは、思いもよらぬ真実だった。実際の事件に基づくドラマ。(Netflix)
監督・脚本:カレン・モンクリーフ
出演:ケイトリン・ステイシー/ケイト・アイザック/ワーレン・アボット/ベサニー・ブラウン/ポール・キャンベル/ジェイソン・パトリック
ネタバレ感想
ネットフリックスで見つけて鑑賞。何見ようかと探してたところ、サムネの女性が美人だったので、これに決めた。この女優はケイトリン・ステイシーと言って、調べてみたらこのブログでも紹介したことのある、『フィアーインク』とか、『エビデンス全滅』とかに出てた人だね。
ということで、彼女が演じるジュリア(確か)は冒頭に書いたようにパラリーガルとして弁護士事務所で働いてて、そこの上司と恋人関係にある。とはいえ彼女は彼のことはそんなに愛してなくて、元恋人のポールからも復縁を迫られてるけど、都合よく利用するだけ。本命と思われるのは不倫相手のニールってなふうに見えて、2股+アルファをしてるような奴だ。
で、ジュリアのそれぞれの男たちとの付き合い方を見ていると、ポールを除くと男たちもしょうもない奴らなんだが、ジュリアもけっこう面倒くさそうなタイプの子だし、情緒不安定になってるようなときもあって、付き合うのが大変そうな感じ。
彼女が薬を盛られてレイプされちゃうとこなんて、気の毒だし悲惨。しかし、その犯人を見つけた時の反応や、それを動画に投稿しちゃうとこなんかは、ドン引き。もう少し別のやり方でとっちめたほうがよさそうなのに…。ネットで拡散なんかしたら、自分にも被害が及ぶだろ。そんな感じで、何とも感情移入しにくい主人公だなと思って鑑賞してた。
で、この物語の焦点は謎の死を遂げた彼女の身に何が起こったのかーーというところで、それを犯人捜しのミステリー仕立てにした話なんかと思っていたら、そうではないのだ。
鑑賞後に知ったんだけど、これって実話を基にした話なんだそうで、話が進むにつれて彼女が摂食障害とパニック障害を抱えていて、しかもアルコール依存症であることが判明する。
彼女はアルコール依存を止めたいんだけども、依存症は自分の意志だけではどうにもなるものではないらしく、依存から抜け出すには他人の力を借りなきゃなんだけど、母や姉や友人には素直に助けてと言えないし、恋人たちはそれぞれの理由からいつも彼女のそばにいるわけでもなく、けっきょくはアルコールや安定剤を摂取しすぎて幻覚症状みたいのが出始めて、バスタブの中で死んでまうのである。
つまり、殺人でもなんでもなく事故死みたいな結末を迎えるのだ。さっきも書いたけど俺はミステリー仕立ての殺人ものなんだと思ってたので、途中からのこの展開に驚いた。なんと、依存症や摂食障害の恐ろしさを伝える作品だったのである(たぶんだけど)。
では、彼女がなぜそういう障害や依存症を抱えるようになってしまったのかは作中では触れられていない。おそらく、孤独感の強い女性だったのかなと想像はしうるが、それも想像に過ぎない。
しかし、俺もアル中でニコチン中毒のケがあるし、ストレスやら憂さ晴らしやら何やらを理由にして酒を飲んじゃうこともあって、タバコは完全に依存しているような気もするので、その辺も考慮してみると、彼女が気の毒に思えてきたのである。
依存症からの脱却ってのは意志の力だけではどうにもならないこともあるようで、その辺のことは、前にもなんかの投稿記事で書いたけども、國分功一郎氏の『中動態の世界』で知った。非常に面白い書物なので、おすすめ。
ともかくケイトリンステイシーが美人なので、それだけでも見てよかったかな。
この作品はネットフリックスで鑑賞できます。
コメント