去年の冬、きみと別れ
原作の小説を読んだときは、描写されている情景のイメージがわかずに何の感慨も抱かずに読了しちゃったが、こうして映画作品として鑑賞したら、なるほどこういう話だったのかと楽しめた俺は、かなりのアホだ(笑)。ネタバレなし。
―2018年公開 日 118分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:芥川賞作家・中村文則のベストセラー小説を「グラスホッパー」の瀧本智行監督が映画化したサスペンス。盲目の美女が巻き込まれた謎の焼死事件。新進気鋭のルポライター耶雲恭介は、その真相を追ううちに、いつしか抜けることの出来ない深みにのみ込まれていく。EXILE、三代目J Soul Brothersのメンバーで、「植物図鑑運命の恋、ひろいました」「HiGH&LOW」シリーズなど俳優としても精力的に活動する岩田剛典が主人公・耶雲恭介を演じる。共演は「ピーチガール」の山本美月、「昼顔」の斎藤工、「サイドライン」の浅見れいな、「劇場霊」の土村芳、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の北村一輝。脚本を「無限の住人」の大石哲也、音楽を「マエストロ!」の上野耕路が務める。(KINENOTE)
あらすじ:婚約者・松田百合子(山本美月)との結婚を間近に控えた新進気鋭のルポライター耶雲恭介(岩田剛典)。本の出版を目指す彼が目を付けたのは、盲目の美女が巻き込まれた未解決焼死事件と、その事件の元容疑者である世界的フォトグラファー・木原坂雄大(斎藤工)だった。だがその真相に近づくにつれ、木原坂の危険な罠は百合子にまで及び、いつしか耶雲は抜けることのできない深みにはまっていくのだった……。(KINENOTE)
監督:瀧本智行
原作:中村文則:(『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎文庫))
出演:岩田剛典/山本美月/斎藤工/浅見れいな/土村芳/北村一輝
感想
映像で見るとわかりやすい話だ
冒頭にも書いたように、原作にあまりのめりこめなかったので、軽い気持ちで本作を鑑賞したら楽しめたし、設定は多少違うようだが、どういう作品だったのかがよくわかった。要するに、映像化されないと物語内の描写をイメージできず、内容を把握できなかった俺がアホであることを再認識させてくれた作品であった(笑)。
全然内容に触れていないこんな感想でいいのかと思うものの、細部についてどうこう言いたいことはあまりない。普通な人があることをきっかけに、人としての一線を越えていこうとする、越えていく過程を描いたような話とでもいおうか。
斎藤工という役者の演技をほぼ初めて観たんだけど、彼はセクシーだし、イケメンですなぁ。きっとモテモテなんだろうね。羨ましい(笑)。
ちなみに、『銃』も映画化されるみたいだし、『悪と仮面のルール』も昨年だか今年だかに上映してたよね。あと、中村氏の作品で初めて映画化された『最後の命』は柳楽優弥主演で数年前に公開されている。あんまり評価高くないみたいだけど、俺は原作に忠実につくられていて、あの作品はけっこう好き。
中村文則氏の初期作品が好き
原作者の中村文則氏は同い年ということもあり、デビュー当時からのファン。実は、あることをきっかけに本人からデビュー作の初版本にサインをもらったこともある。その当時の彼は芥川賞を受賞し、さらに三島由紀夫賞もゲットした頃であっただろうか。
で、俺が好きな彼の作品はデビュー作の『銃』、次作の『遮光』、少し飛んで『最後の命』、そして『何もかも憂鬱な夜に』――である。芥川賞受賞作や、広く名が売れるきっかけになる『掏摸』とかにはさほど思い入れはない。さらに、その後から現在に至るまでのミステリー色の強い作品や、社会派な感じになった作品群にもさほど面白味を感じていない。
個人的には初期作品群の感じでさらに深度を増した作品を書いてほしいんだけど、本人はもしかしたらそのつもりで今も書き続けているのかもしれないし、意識的に今のような作品を創作しているかもしれんし、その辺はよくわからん。
ともかく、俺は初期の作品たちのほうが好きなんである。
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