マッドボンバー
娘が麻薬で中毒死したのは社会のせいだという結論に達したオッサンが、ダイナマイトでLAのさまざまな施設を爆破してまわるお話。やり場のない怒りをダイナマイトに託したオッサンの運命やいかに。ネタバレあり。
―1974年公開 米 91分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:世の中からはじき出された2人の男が演じる犯行を描く。製作・監督・脚本・撮影は「魔法の剣」のバート・I・ゴードン、原作はマーク・ベーム、音楽はマイケル・メンションが各々担当。出演はチャック・コナーズ、ヴィンス・エドワーズ、ネヴィル・ブランド、ナンシー・ホンノルドなど。(KINENOTE)
あらすじ:ロサンゼルスの通りに面した女学校がダイナマイトで吹き飛ばされ、女子学生数人がその犠牲になった。これがロスの町を恐怖に陥れた連続爆破事件の幕開けとなった。犯人はウィリアム・ドーン(チャック・コナーズ)だった。この男、女房と離婚し、かわいい1人娘のアンの成長を楽しみに生きていたのだが、あろうことか娘は麻薬のトリコになって死亡してしまったのだ。この事件以来、彼の精神は少しおかしくなった。娘が死んだのは社会が悪いからだという結論を引き出した彼は、軍隊勤務時代に習得した爆破技術を駆使して社会に復讐しようと考えたのである。彼は次々に病院を始めとして娘が係わった施設を爆破していった。ここにもう1人のオトコジョージ・フロマリイ(ネヴィル・ブランド)が登場する。彼はいい腕を持つ職工で暮らしむきも悪くはないが、性的コンプレックスの持主であり、正常な性生活では満足できなかった。彼は、そのために強姦することで性的カタルシスを味わおうとしていた。1方、ロサンゼルスの警察は爆破事件と強姦事件が併発し、きりきりまいしていた。ロス警察の敏腕刑事、ジェロニモと呼ばれるミネリ(ヴィンス・エドワーズ)は性犯罪と爆破事件が病院で同時に起こったことから、何かのつながりあるとにらみ、ファイルの中からフロマリイを捜し出した。例によって強引なやり方で拘引したジェロニモは、フロマリイの口からドーンのモンタージュ写真を作成する。それを知ったドーンは、釈放されて自宅で自分の女房のポルノ映画を上映しつつ満足げなフロマリイを爆破させてしまう。今や訳のわからない怒りにかられたドーンは、数トンのダイナマイトをトラックに積んで町を走る。それを追跡するロス警察。町は不気味な不安に包まれていた。しかし、パトロール・カーに追いつめられた彼は、トラックに積まれたダイナマイトと共に自爆してしまった。(KINENOTE)
監督・脚本・製作・撮影:バート・I・ゴードン
出演:チャック・コナーズ/ヴィンス・エドワーズ/ネヴィル・ブランド/ナンシー・ホンノルド
ネタバレ感想
何だかすごい話だ。主役格がダイナマイト爆破親父とそれを追う暴力刑事と、事件に絡んでくるレイプ魔というクズ人間たちだから、話が暴力的にならざるを得ない。
笑っちゃうのは、レイプ魔を捕えようとした暴力刑事が採用した作戦。なんと、婦人警官をおとりにしてレイプ魔を現行犯で捕まえちゃおうというんである。で、実際にやってみたら、入れ食い状態でたくさんのレイプ魔予備軍が街にいることがわかる。あんなにたくさん猿みたいな雄が徘徊しているんじゃ、女の人は誰も夜道歩けないと思うんだけど。恐ろしすぎ(笑)。
世の中に対して怒りを感じちゃって暴れる男の話といえば、『フォーリング・ダウン』がある。俺はあっちのほうが好きだな。あの作品ではマイケル・ダグラス扮する主人公が「私だけじゃなくて、普通のツラした異常者があちこちにいるじゃないか」というようなセリフがあったが、この作品においても、おかしな異常者が(主に男)が街にウヨウヨしている。
主人公のダイナマイト親父はかなり正しい道徳観の持ち主で、路上にゴミ捨てしちゃう人とかに対して怒りを露わにして抗議する男だ。こういう神経質な男だからこそ、逸脱し始めるとトンデモない行動に出てしまうもんなのかもしれない。
最後、図らずも自分を爆殺することになるのは物語的には必然であるわな。なかなか派手なぶっ飛び方で笑えた。
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