ノウイング
ある少女が描いた数字を羅列した紙が予言書だと気付いたニコケイが、人類を襲う惨事を未然に防ごうとジタバタするんだけども、無力な話。ネタバレあり。
―2009年公開 米 121分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ナショナル・トレジャー」シリーズのニコラス・ケイジと「アイ,ロボット」のアレックス・プロヤス監督がタッグを組んだ、超大作ディザスター・ムービー。大惨事の発生日と犠牲者数を予告するメモを手に入れた科学者が、次々と起こる悲劇と地球滅亡を阻止するために立ち上がる。共演は「サンシャイン2057」のローズ・バーン。(KINENOTE)
あらすじ:ジョン・ケストラー(ニコラス・ケイジ)はMITの宇宙物理学者。あるとき、息子のケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が通う学校で、タイムカプセルを掘り出す記念行事が行われる。カプセルの中には、50年前の生徒たちが作った未来想像図が収められていた。生徒一人一人にその中身が配られるが、ケイレブが手にしたのは一見不規則に数字が羅列された一枚の紙だった。子どもが書いたとは思えないその内容に興味を持ったジョンは、数列には意味があるではないかと、検証を行う。そして、彼が目に止めたのは”299691101”という数字。それは、米国に同時多発テロが起きた日付、そして2996人という犠牲者の数と一致していた。慌てて他の数列も確認すると、過去に起きたあらゆる大惨事の日付、犠牲者数と一致していることが判明。その中には、ジョンが妻を亡くした2年前のホテル火災も含まれていた。愕然とするジョンだったが、そこには過去だけでなく、未来の大惨事も予告されていた。それらを未然に防げないかと、81人が死亡すると予告されている場所へ向かう。そこでは、既に自動車による玉突き事故が発生していたが、死者はゼロ。自分の思い過ごしかと安心したその瞬間。頭上を通過した旅客機がすぐそばに墜落する……。仮説が確信へと変わり、ジョンは数列の解読を進めていく。だがその結果、彼が導き出した答えは“地球消滅”。未来のために、息子のために彼はどう行動するのか?そして、避けることのできない“地球消滅”のXデーに向けて、人類は一体何を残せるのだろうか……?(KINENOTE)
監督・脚本:アレックス・プロヤス
出演:ニコラス・ケイジ/チャンドラー・カンタベリー/ローズ・バーン
ネタバレ感想
ニコケイ好きなので鑑賞。前にも一度、地上波で鑑賞したことがあったので、二度目だな。ラストの展開などは覚えてたんだけども、あらためて見てみた。はっきり言って、話自体はさして面白くもないんだけども、この当時のニコケイはまだ大作感ある映画に出てたんだなぁって感じ。これが2010年代に入ると、だんだんクソ映画にばかりに出るようになり、俺のハートを鷲掴みしちゃうことになるなんて、この頃には予想してなかったなぁ(笑)。
ちなみに、このネタバレ感想は、内容を考察したりするものではないので、いろいろ謎に思える部分があって、それを知りたい人にはほとんど役に立たない記事なので、ご了承ください。
ということで、今回あらためて鑑賞してみると、この作品はけっこう細部がしっかり作られてて、実はそんなに突っ込みどころがなかったりするのである。例えば、どうしようもない作品だったら、ニコケイ扮するジョンの家族のくだり、妹の扱いとかいい加減だし、親父と確執があった細部には全然触れないで、そのままその話がフェードアウトしていきそうなもんだが、この作品では一応、ラストで家族の絆みたいなんを回収してくれるからね。親父が聖職者だったってのも、物語的には意味があることなんだと思われる。
異星人に会うたびに残されていく黒い石については謎だが、まぁその辺はこの手のSF作品においては許容範囲っていう感じ。ニコケイが謎の数字について調べていくうちに起こる飛行機事故とか、地下鉄の事故とか、ラストのカタストロフシーンなんかは、けっこうスペクタクル感がある描写に仕上がってて、この辺にもなかなか驚かされた。
で、さっき、話自体は面白くないと言ったが、ニコケイ好きとしては、彼が謎の数字の秘密を知って、犠牲者が出るであろう事故を未然に防ごうと、たった一人でジタバタするシーンはけっこうな見どころ。
飛行機が墜落した現場に走って駆け寄り、火にまみれてる生存者を助けようとアタフタするニコケイ。都市部でテロの恐れありという報道を聞きつけ、それを防がんと、関係ない万引き犯を必死で追っかけるニコケイ。
しかし、それは単なる自分の勘違いであったと気付いた瞬間に、大規模な地下鉄事故に巻き込まれるニコケイ。
あとあと振り返ればどれも無駄なジタバタ劇だったことがわかるんだが、それがわかった上であらためて見ると、さらに必死に頑張っているニコケイを応援したくなってくるのである(笑)。
また、途中で出会う、ニコケイの息子と同じく、謎の囁き声を聞く力のある娘、アビーとその母との出会いのシーンなんかは、かなり無理のある近づき方なんだけど、そこが笑える。この2人は物語のキーマンであって、普通の作品ならこの2組の親子が疑似家族のようになっていく様が描かれそうだが、本作では、そうはならない。
アビーの母親はニコケイの作戦をいちいち邪魔してくるし、結果としてそのせいで死んじまう。この展開もまたよし。さらに、母親を亡くしたアビーも息子ともども助けたる! と頑張るニコケイであったが、それも成就しないとこが、さらによし。
物事にはすべて決まりがあるという決定論か、意味はなく偶然であるというランダム論のうち、後者を採用していたニコケイ教授だが、最後の異星人との邂逅を通じて、決定論者になる。もうどうしようもないのだ。彼がこれまでジタバタしてきたことも、すべては起こるべくして起こったのであり、彼がいくら努力したって犠牲者は犠牲になるし、太陽フレアによる災害も、防ぐことはできないのである。
それを悟り、息子を異星人に託したニコケイは、地面に大の字になって眠ってしまうのであった(笑)。その後、さっきも書いたように、彼は実家に戻って家族たちとともに最期を迎えるのである。
一方、ニコケイの息子とアビーは、エイリアンによってどこかの惑星に導かれる。そこには地球の世界各地からエイリアンによってえらばれた子どもたちが集められたようだ。息子とアビーはここに連れてこられた人間たちと、またあらたに文明を築いていくんだろうーーと匂わせておいて物語はおわる。
このラストは、なかなか希望が感じられる描写になってるけども、よくよく考えてみると、あの状態から、あらたに文明社会を構築してくのってけっこう過酷だろ。数はそれなりにいるようだが、全員子どもだからね。異星人はサッサと惑星から去っていっちゃうし。けっこう鬼畜なことする奴らだよなぁ(笑)。
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