ブラックサイト
人殺しの様子をネットでライブ配信する殺人犯。サイトのPVが多ければ多いほど、被害者の死は早まる。事件を追うFBI捜査官のジェニファーは、殺人犯を追いつけることができるのか。ネタバレあり。
―2008年公開 米 100分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:殺人映像を中継するウェブサイトとFBI捜査官の攻防を描くサイバースリラー。出演は「運命の女」のダイアン・レイン、「炎のメモリアル」のビリー・バーク、「キングコング」のコリン・ハンクス、「父親たちの星条旗」のジョセフ・クロスほか。「ジャスティス」のグレゴリー・ホブリットが監督を担当した。(KINENOTE)
あらすじ:FBI特別捜査官ジェニファー・マーシュ(ダイアン・レイン)は、オレゴン州ポートランドの事務所で若い相棒グリフィン(コリン・ハンクス)とともに、インターネット上の犯罪を取り締まっている。警官だった夫が殉職し、母親ステラ(メリー・ベス・ハート)、8歳になる娘アニー(パーラ・ヘイニー=ジャーディン)と暮らしているジェニファーは、育児のために夜勤シフトに入っていた。ある日、彼女のもとに「killwithme.com」という不審なサイトの情報が舞い込む。そこにアクセスすると、身動きがとれなくなった猫が衰弱していく様子がライヴ中継されていた。発信源が地元であることは判明したが、それ以上の情報はつかめず、ジェニファーはサイトの強制閉鎖を試みる。しかし、すぐにそのサイトのコピーが現れる手の込んだ仕掛けが施されていた。一週間後、そのサイトに、縛り付けられた裸の胸に血文字が刻まれている中年男の映像が映し出される。しかも、彼には出血を早める薬物が投与されており、サイトへのアクセス数が上がるほど投与量も増える仕掛けになっていた。ジェニファーは地元の刑事ボックス(ビリー・バーク)と協力して捜査を進めるが、噂が噂を呼びアクセスは飛躍的に増加、男は息絶える。その後、再びサイトに新たな映像がアップされ、FBIはサイトを見ないように訴えるが、ケーブルテレビ局のレポーターが数時間で命を絶たれてしまう。ジェニファーの家の前の車の中からレポーターの遺体が見つかり、さらに、ジェニファーの自宅のPCがハッキングされていたことが発覚。ジェニファーは母と娘を安全な場所に避難させる。しかし、犯人の次なる標的はグリフィンであった。水槽の中で縛り付けられたグリフィンの映像がアップされ、アクセス数が上昇、やがて水槽が血に染まった。ジェニファーは、グリフィンが死の間際に残したあるヒントから犯人を追うが……。(KINENOTE)
監督:グレゴリー・ホブリット
出演:ダイアン・レイン
ネタバレ感想
ダイアンレインが好きなので鑑賞。先見の明がある設定
ダイアンレイン目当てで鑑賞。前にも他の作品の紹介で書いたけど、個人的には歳とってからの彼女がけっこう好き。今回の彼女はなんとなくイマイチな存在感だが、そこは作品そのものが彼女の魅力を引き出せてないってことだろうか。
そして、話自体も設定みたいなんはすごいんだが、話自体はそんなに面白くないんだよなぁ(笑)。2000年代に製作されたネットによる動画配信を利用した猟奇殺人のお話ーーて、考えるとなかなか先見の明がある内容。こういう動画配信を利用した殺人鬼が出てくる作品って、今でこそたくさん作られそうな感じがするけど。だって、YouTubeが全盛ともいえるくらい人気コンテンツの今、こういう犯罪って本当にありそうだもんな。
閲覧してる奴らも犯罪者
この作品の恐ろしいというか、風刺を感じるのは、殺人犯が遂行する殺しのライブ配信を閲覧する人が多ければ多いほど、被害者の死期が早まるというところ。FBIや警察はこのサイトを観ないように市民に呼び掛けるんだけども、全然効果がない。殺人ショーは回を追うごとにPVを増やしていっちゃうのだ。だから、ラストでダイアンレイン扮するジェニファーは犯人をやっつけたあとに、カメラに向かってFBIのバッチを見せるのだ。カメラの向こうで動画を観てた「おまんらのやってることも犯罪だぞ」ってな意味だろうか。
殺しがイチイチ凝ってて残酷
ともかく殺人犯の殺しの演出がイチイチ凝っててすごい。こんなんセッティングするの超面倒くさそうって思っちゃうのばかり。冒頭で猫を殺すのも許せんが、ともかく最初の犠牲者は、出血多量死させるしかけによってあの世へ旅立つ。その次は、コンクリートで下半身を拘束して、ライトの出力で火傷させて殺されちゃって、三途の川を渡った。その次は、硫酸入りの水槽で被害者を溶かし殺してあの世への送迎。最後のジェニファーに対してのものは逆さ吊りにしてその下に電動のこぎりみたいのを置くというーーマジ鬼畜すぎだろ。
意外にまとも? な犯人
こういう鬼畜の所業をする犯人だから、かなりサイコな動機がないのが動機みたいな愉快犯なんだろうなと思ってたら、実はちゃんと殺しに目的があるってところがなんだかなぁという感じ。じゃあどういう動機があったかというと、犯人の親父は妻の自殺から立ち直れず後追い自殺するんだけども、その自殺の一部始終を報道されたことに憤っての犯行だったのだ。
であるから、殺しの対象が報道に関わったものたちだったという。ある意味で親父の仇討ちなわけだが、そういう義憤に駆られた性格の人間が、ここまで酷い殺しとかできるもんかいね。だいぶ振り切れてサイコになってしまったということだろうか。
その後のジェニファー含むFBI捜査官殺しとその未遂の動機はなんだろうか。いきすぎた報道を取り締まらない権力への反発か。単なる自分を捕まえようとするやつらに対する挑戦なのか。その辺もなんだかアヤフヤなまま物語が終わっちゃう。
刑事とジェニファーの関係性が中途半端
ついでに言うと、地元警察の刑事とジェニファーの関りの描き方がなんとも中途半端。ジェニファーは過去に夫を亡くしてて云々ーーてくだりも物語に活かされてないし、刑事と一緒に事件を追う中で何らかの関係が築かれるのかなと思いきや、そんなことも起こらずに物語は終わってまう。
あと、こういう連続殺人ものにはありがちなんだが、だいたいが犯人が上手で、捜査する側は後追いのため、事件解決にほとんど力を発揮できてないパターンが多い。今回のも、犯人が殺しを続けてくれてるから真相にたどり着けてる感があって、その辺の捜査側の能力が低く見えちゃうのもなんとももったいない。
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