コンティニュー
元軍人が謎の殺し屋集団と戦うタイムループアクション。ゲーム的な設定でコミカルな展開もありつつ、スッキリ劇終を迎える楽しめる作品です。ネタバレあり。
―2021年公開 米 100分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:フランク・グリロ&メル・ギブソン&ナオミ・ワッツ共演のSFアクション。元特殊部隊のロイはある日突然、謎の殺し屋集団に襲われる。だが、何度殺されても生き返り、同じ1日を繰り返す死のループに陥った彼は、元妻の協力を得て、その真相に迫っていく。監督は「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」のジョー・カーナハン。(KINENOTE)
あらすじ:元デルタフォース特殊部隊員のロイは、ある朝、目覚めた瞬間、謎の殺し屋の襲撃を受け、殺される。だが、それは一度では終わらなかった。銃で撃たれ、爆弾で吹き飛ばされ、首を切られ、刃物で刺され……。何度殺されても生き返り、同じ1日を繰り返す死のループに陥ったのだ。そこから抜け出そうと、何度もトライ&エラーを重ねる中、科学者である元妻(ナオミ・ワッツ)から、タイムループの鍵を握る極秘計画“オシリス”の手掛かりを得る。真実を暴き、追われる身となった元妻を救うため、ロイは攻勢に転じ、今度は自ら殺し屋集団を追い詰めていく。やがて、計画の責任者である軍属科学者ヴェンター大佐(メル・ギブソン)に迫っていくが……。果たしてロイは、タイムループを抜け出し、明日に辿り着くことができるのか……?(KINENOTE)
監督:ジョー・カーナハン
出演:フランク・グリロ/メル・ギブソ/ナオミ・ワッツ/ミシェル・ヨー
ネタバレ感想
ゲーム的設定のタイムループ作品
公開時に上映館が少なくって見に行けなかったをレンタルで鑑賞。もともとタイムループとか時間移動系の作品が好きなので気になってたわけだが、このタイムループ作品は、既存の作品と比べてみても、ちょっとした工夫があって楽しめる。
どういう工夫かっていうと、作品の進み方が非常にテレビゲーム的であることだ。作品内でも『ストリートファイター』などの過去作について言及があるので、作り手が意識的にそういう内容にしているのだと思われる。
どの辺がテレビゲーム的かというと、この作品でフランクグリロ演じるロイは、いわゆる「死にゲー」の主人公みたいなもんだ。死にゲーってのは内容が難しすぎて、ゲームオーバーになりまくるゲームのこと。
例えばアクション作品の中にそういうのが多くて、主人公は敵の攻撃やトラップに何度も何度も対応することで、回避のパターンを覚えていき、ステージを進めていくという類のものだ。
これはゲームのプレイヤーがゲームオーバーを繰り返していく中でスキルを高めることで、クリアを目指すタイプのゲームで、この作品においては、その視点がプレイヤーではなく、ゲームの主人公そのものになっているのだ。て考えると、タイムループ作品って本当にゲーム的だなぁと思わされたし、親和性が高いんだということに、初めて気づいた。
というか、考えてみれば、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』もゲーム的だな(笑)。でも、こっちのほうがよりそのように感じたってのが個人的な感想。
ロイはゲームを繰り返すことで成長する
ロイは自分の世界の中で、自分でプレイヤーとなってスキルを高めては元妻のジェマと息子のジョーの命を救ってラスボスのヴェンター大佐(メルギブソン)を倒すべく敵地に乗り込むべく奮闘する。
そんで、この設定を可能にしているのが、ジェマの開発したタイムループ装置、オシリス・スピンドルである。この装置はどういう仕組みか知らんけども、遺伝子をインプットされた本人はある時点から、多次元宇宙に入り込み、その世界で死ぬたびに、最初の時点へと生前の記憶を残したまま生き返って、ふたたび同じ日を繰り返すことになるのである。これによって、ロイは自らがゲームのプレイヤーになったような感覚で、日常をプレイすることになる。
そんなわけで、ロイは物語冒頭から百数十回はゲームを繰り返してることが判明していて、そこからさらに100回程度のプレイを重ねることで、ラストの展開に進んでいく。そして、その中で、元妻や息子との関係を深めるとともに、自分自身も父親として、旦那として、男として成長をしつつ、元軍人としての能力も高めていくのだ。
ラストは死ねない現実世界での戦い
しかし、このゲームは何度もコンティニューを繰り返していると世界が崩壊してしまうらしい(確かそういう設定だったと思う)。それを止めることができるのは、ロイがオシリス・スピンドルの中に自らが入っていく必要があるのだ。
それによって、ロイのループはリセットされて、スタート時の朝にもう一度戻る。もしくは、存在が消える可能性もあるらしい。
仮にリセット後にこれまでのループと同じ場に戻ったなら、そこから先の世界ではもしロイが死ねば、ロイにとって本当の死が訪れることになるので、彼は一度のミスもなくミッションをコンプリートしないといけなくなるだろう。
物語では、ロイがその世界に向かうために装置に入り込むところで劇終を迎える。であるから、あの後どうなっちまうのかは、よくわからない。まぁでも、自信ありそうだから、きちんとハッピーエンドでクリアしそうな感じではあった。
だが、リセットしあとに、ロイの主観的世界がどこに戻るのかとか、その定義が良くわからん本作においては、解釈のしようは他にもありそうな感じ。
ミシェル・ヨーとメルギブの扱いが少し残念
ということで、上記のような設定の中で、アクションもあり、ユーモアもありみたいな感じで、けっこう楽しめる作品であった。劇場で観れたらもっと集中できてよかっただろうなぁと思うと残念。
ただ、ミシェル・ヨーをわざわざ起用してるのに、その修行シーンのフランクグリロの体術がショボすぎてちょっと萎えちゃう(笑)。あと、メルギブソンが悪役なのはいいとして、戦闘力がさして高くなくて、ラスボスとしての存在感が大したことないのは残念。
その他の殺し屋たちも、結局はガトリングガンで一層されちゃうワープルートが確立されちゃったのは、いかにもゲーム的だなって感じ。まぁでも、なかなか楽しめる内容なので、この手の作品が好きな人にはお勧め。
本当はタイムループ作品を紹介するときは作品を基に私的な疑問も書いてるんだけど、今回はその話はなし。興味がある方はリンクなどをたどってみてください。
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