カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇
宇宙から謎の隕石が降ってきて、その中には異星からやってきた知的生命体のような存在がいたようで、田舎町のさらにド田舎に住んでいたニコケイ扮するガードナー一家に災厄をもたらす話。謎の「色」の干渉によって、壊れていくニコケイが最高(笑)。ネタバレあり。
―2020年公開 馬=葡=米 111分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:H・P・ラヴクラフト原作、ニコラス・ケイジ主演によるSFドラマ。田舎に移住し理想の生活を始めたガードナー家。だがある日、前庭に隕石が落下。以来、一家は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との闘いに明け暮れ、日々の暮らしは極彩色の悪夢へと変わってゆく。共演は「マギー」のジョエリー・リチャードソン、「ビッグ・アイズ」のマデリン・アーサー。監督は「ハードウェア」のリチャード・スタンリー。(KINENOTE)
あらすじ:大都会の喧騒を逃れ、静かな田舎に移り住み始めたガードナー家。それは、ネイサン(ニコラス・ケイジ)と妻テレサ(ジョエリー・リチャードソン)にとって、夢にまで見た子どもたちとの理想の生活であった。そんなある日、前庭に隕石が落下。以来、一家は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との闘いに明け暮れ、穏やかな田舎暮らしは極彩色の悪夢へと変わってゆく……。(KINNENOTE)
監督・脚本:リチャード・スタンリー
出演:ニコラス・ケイジ/ジョエリー・リチャードソン/マデリン・アーサー
ネタバレ感想
原作はラヴクラフト
ニコラスケイジが好きなので、ネットフリックスで見つけて鑑賞。彼の最近の主演作ではけっこう楽しませてくれる作品ではないか。
原作はラヴクラフトのものらしい。彼の作品は読んだことないけども、影響を受けたり原作に使用されたりしてる映画作品はたくさんあるよね。
ダメ親父なニコケイとヘンテコ家族
ガードナー一家は芸術家を目指していたニコケイ=ネイサンと、投資のアドバイザーみたいのをやってる妻のテレサ、そして長男でアルパカを飼育するネイサンの仕事を手伝うベニー、魔術みたいのを信じてる長女のラヴィニア、次男で幼いジャックからなる5人家族。
5人はテレサがガンを患ったこともあって、ネイサンの父が住んでいた実家に戻り、父の遺産である農場でアルカパを飼育して暮らしを立てている。テレサもテレワークで投資アドバイザーみたいのをしてるところをみると、多くの収入はテレサだよりなのかも。
ネイサンは父の農場を譲り受けたと言っても、アルカパを育て始めたのは彼の案によるものらしい。なぜアルカパなのかは謎。ちなみにこいつは、絵描きを目指してたらしいが、目が出なかったようで、父からは虐待をされていたような発言がある。
で、彼はけっこうなダメ親父で、料理は作れないし、長女からはバカにされてるし、まぁともかくパッとしない男だ。それでも家族を愛してはいるようで、終盤にかけてはある意味で家族のためにいろいろな決断をするわけだが、それも結局は徒労に終わる。
長女のラヴィニアは母のガンが治癒するように魔術でお祈りしちゃうような娘で、これはこれでイッちゃってる感あるし、ベニーは葉っぱを吸ってらりっちゃったりしてることも多いようで、ともかくヘンテコな家族だ。
謎の「色」は生物を変異させる アルパカもクトゥルフ的な生命体に
そんな一家が、隕石騒ぎによって悲惨な目に遭うわけだが、この騒ぎの原因が宇宙から来た「色」なのである。どうも奴らには意志があるようで、ガードナー家の周辺の大地に潜り込み、湧き出る水に侵入し、井戸水や生活用水を使用したガードナー一家に異変をもたらすようになるのだ。
それによってネイサンは腕にウロコみたいのが生えてくる。他の人たちにはさほど変化がないのはなぜなのかよくわからんが、ともかく「色」はそうやって周囲の生命を変異させていくのである。
であるから、飼い馬も狂って逃げちゃうし、ガードナー一家の愛犬であるサム(賢そうで可愛い)は可哀そうに「色」に取り込まれてどっか行っちゃうし、近くにいたカマキリはすごく強そうな形に変化するし、ガードナー家の食い扶持であるアルカパは、複数が合体して気持ち悪い一つの生き物にクトゥルフ化しちゃうし、こいつが出した紫のビームでテレサとジャックが合体して一つのキモイ生き物になっちゃったり、ともかくいろいろなことが起こって、ベニーはサムの声が井戸から聞こえたような気がして、やめておけばいいのに助けに行ったら「色」に取り込まれちゃう。
ラヴィニアはいろいろあって、精神を「色」に侵されちゃったようで、違う生き物になっちゃうし、ネイサンはいろいろあって、一家を助けに来た保安官に射殺されちゃうことに。つまり一家全滅。
この一連の事件を知っているのは、保安官亡き今、ダム建設のために市長に依頼されて水質調査に来ていた水文学者のワードのみ。彼はダム建設でガードナー一家の住む地が湖の底に沈んでいくことを歓迎し、それは現実のものとなった。しかし、彼はそのダムの「水は飲まない」と断言する。そして完成したダムから周囲を眺めるワードのそばを、あの変異したカマキリが飛んでいるのであった。
ニコケイ扮するガードナーが最高(笑)
この話の面白ポイントは、まずはニコケイ扮するガードナーのキャラだろう。ぶっ壊れる前からニコケイの演技によって楽しめるわけだが、「色」による変異に自分も含む一家が侵食される中で、言動が支離滅裂になっていって、その一部始終が笑えるし楽しませてくれる。
ついでに言うと、「色」の存在がグロいしキモいし、ここも見どころ。何となく、ジョン・カーペンター大先生の『遊星からの物体X』のクリーチャーを思わせるし、生物が変異しちゃうところなんて『アナイアレイション全滅領域』なんかを思わせる感じだった。前者も原作はラブクラフトの影響があるっぽいし、後者もそうなんではなかろうか。
てなことで、滅茶苦茶な感想ではあるが、上記2作も含めてどれも面白いので、おすすめ。
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