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映画 キングオブコメディ ネタバレ感想 狂気の妄想芸人が迎えるラスト

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キング・オブ・コメディ

―1984年公開 米 109分―

解説:コメディアン志望の一青年の偏執狂的な売名作戦を描く風刺喜劇。製作はアーノン・ミルチャン。エグゼキュティヴ・プロデューサーはロバート・グリーンハット。監督は「レイジング・ブル」(80)のマーティン・スコセッシ。『ニューズウィーク』の映画批評家だったポール・D・ジンマーマンが脚本を執筆。撮影はフレッド・シュラー、音楽はロビー・ロバートソン、編集はスコセッシとの長年のコンビであるセルマ・スクーンメイカーが担当。出演はロバート・デ・ニーロ、ジェリー・ルイス、ダイアン・アボット、サンドラ・バーンハート、シェリー・ハックなど。日本版字幕は戸田奈津子。テクニカラー、ビスタサイズ。1983年作品。(KINENOTE)

あらすじ:TVのトーク・ショーの人気者ジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)が、収録を終えて劇場の楽屋口から出てくると、外はファンでいっぱい。ジェリーに熱狂的なファンの1人、マーシャ(サンドラ・バーンハート)が抱きつき、ぶ厚い唇を押しつける。彼女をふりほどいてリムジンに乗り込んだジェリーの後から、ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)も一緒に乗り込む。ルパートは自己紹介し「自分もジェリーのようなコメディアンになりたい」と話しかける。内心うんざりしながら、ジェリーはオフィスに電話してくれと言う。そんなジェリーの心情をまるで察しないルパートは、家へもどると、人気コメディアンになった自分を夢想する。とあるバーで、黒人の女バーテンダーのリタ(ダイアン・アボット)に話しかけるルパート。彼女は高校の同級生で、ルパートにとって憧れの存在だった。レストランに誘い、週末に友人ジェリーの別荘に行こうと言う。翌日、ルパートはジェリーのオフィスに電話するが、会議中ということで取り次いでもらえない。直接、オフィスに行き受付係と交渉し、やっと秘書のキャシー(シェリー・ハック)に会うことができた。キャシーに「漫談のテープを聞かせてもらえたら」と言われ、喜んで出てきたルパートにマーシャが喰ってかかる。しかし、ルパートは逃げるように歩き去る。ジェリーはデモ・テープを作って、キャシーに手渡す。翌日、キャシーからパンチが足りないと言われて、ルパートは反論、直接ジェリーに会おうとしてオフィスに入り込み、つまみ出される。週末、ルパートはリタをつれてジェリーの別荘へ行き、彼から「連絡してくれと言ったのは、追い払いたかったからだ」と聞き、耳を疑うルパート。ついに彼はマーシャと共同で、ジェリーを白昼、道路上から誘拐。オフィスに電話して、ジェリーの安全のためにルパートを今夜のTVに出せと脅迫する。TV局ではFBI、ジェリーの弁護士、局長らが会議を開くが名案はない。そのうちにルパートが現われた。代わりの司会者トニー・ランドール(本人)が、ルパート・パプキンを紹介し、ルパートは15分ほど漫談をしゃべった。終わるとFBIの捜査員とともにジェリーを隠しているマーシャの家へ行く。途中で、リタのいるバーに入り、そこのTVで自分の晴れ姿を見る。その頃、ジェリーはやっと自由になり、TV局へ急ぐ。ルパートは懲役6年を求刑された。服役中に回想録『一夜だけの王様』を執筆、この本はベストセラーになる。29カ月後に釈放されたルパートはTVに出演。ついに、彼は本物の喜劇の王様になった。(KINENOTE)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ/ジェリー・ルイス/ダイアン・アボット/サンドラ・バーンハード/トニー・ランドール/マーティン・スコセッシ

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ネタバレ感想

パプキンはトラヴィスに似てなくもない

マーティン・スコセッシ監督作、主演はロバート・デ・ニーロ。けっこう有名な作品だと思うんだけど、スコセッシが監督してたことすら知らずにいた。今回、アマゾンプライムで見つけて初鑑賞。なんか、同監督作『タクシー・ドライバー』のトラヴィスに似た感じのある主人公だなと思った。ただ、この作品の主役であるルパート・パプキンには、トラヴィス以上の狂気を感じなくもない。

デニーロの演技がキモ恐ろしくてすごい

若い頃のデニーロはこういう狂気じみた役どころをけっこうたくさん演じてると思うんだけど、ともかくなんというか、素がそもそも基地外なんじゃないかと思ってしまうほどに、狂気に満ちた演技を見せてくれて、そこが怖い。なんか、目が笑ってるのか笑ってないのかよくわからんし、あの口の動きとか他にもなんやかや、良い意味で、イッちゃってる演技に見えるのだ。本作では出だしからラストまで、そんな狂気に満ちたデニーロの演技を鑑賞できる。ともかく、何かキモいし、恐ろしいのだ。

パプキンの妄想癖

パプキンは34歳にもなって定職に就いている感じもなく、母親と二人暮らしらしい。で、毎日自分の部屋で、コメディ番組に出てくる芸人たちのトークの真似をしたり、自分が出演した気になったりして、セリフをしゃべっている。これが彼の唯一、芸を磨いている(?)と思われるシーンだ。それ以外は売れっ子芸人のジェリー本人および、彼の事務所に自分を売り込むことに熱中しているだけで、さして練習をしているシーンなどは描かれない。

彼が夜な夜な行う練習(?)は、よくよく見てみると、単なる妄想だ。思い通りに大成できない自分の夢を妄想に託した願望充足みたいな行為だ。はっきり言ってキモいんだけど、こういうことをしてしまう気持ちはよくわかる。俺も10代~20代の頃と比較すれば減ったものの、自分がひそかに成し遂げたいと思っているいろいろのことに対して、都合よく話を展開させて妄想していることがある。40も過ぎた中年なのに(笑)。

パプキンは頭おかしいとしか思えないんだけど、自分の力を信じている。彼は自分に才能があると信じている。裏付ける根拠は何もないのに、信じているのだ。これはすごい。34歳にもなって、夢を捨てず、しかも、自分の才能を信じている。これが同じく妄想癖があるとはいえ、俺とパプキンの違いだ。

俺は昔、小説家になりたいと思って、物語を書いていた頃があって、書いたものに一瞬自信を持ったりはしたけども、客観的に読み返したら酷い代物だなと思っちゃう人間だったので、自分に才能があるなんて思えなかった。ところが、パプキンはそうではない。ジェリーの事務所の人が、自分の芸を収録したテープを聞いて、ダメだしされても、ダメさを認めない。謙虚に話を聞くことができない。なぜなら、自分に自信があるからだ。他人の意見なんて関係ないのだ。なぜなら、自分が優れているのを、彼は知っているから。

何事においても彼の言動は自分中心に回っている。だから、高校時代の同級生の女性との関わりも、まともな付き合いにならない。彼の生活には他者がいないのだ。いるんだけども、社会性のないパプキンは、自分中心にしか物事を考えられない。

それは、ジェリーファンの女性、マーシャも同じ。彼女も、自分の行為を成就することにしか人生の目的がなく、その行為は多分に独りよがりであり、その向かうべき対象物であるジェリーの人権などは一顧だにしない。彼女も自分中心にしか物事を考えていないからだ。

パプキンとマーシャの願望の違い

マーシャとパプキンは、そういう意味では似たもの同士だ。同じ穴のムジナだ。だが、違いがある。それは大きな違いだ。マーシャの求めるべき対象は、ジェリーという生身の人間なのだ。いっぽう、パプキンの求めるのは、名声である。自分の才能を世間に認めさせることだ。ジェリーはその目的のために利用すべき対象にすぎない。マーシャはジェリーという人間と物事を共有したい。一緒に生きたい。つまり恋愛関係になりたいのだ。しかし、パプキンはそうではない。彼はジェリーを利用して、彼よりも上に行こうとしているのである。踏み台程度の存在なのだ。それくらい彼は、自分に自信を持っている。そして、目指すべき目的の違いが、パプキンとマーシャの願望充足度の結果にも違いをもたらす。

ラストは妄想なのか

ジェリーを誘拐した二人のうちマーシャは、ジェリーに去られてしまう(当たり前だが)。一方のパプキンは、逮捕されて懲役食らうものの、番組に出演はできたし、そこで己の実力は示せたし、ムショに入れられたことがより話題になり、時代の寵児になっていくのだ。ラストの彼は、文字通りのキングオブコメディになっている。

だけど、あのラストってどこまで本当なんだろうか。ムショ内で悶々としているパプキンの妄想かもしれない。どっちだか考える手がかりはないので、どっちでもいいんだろうね。

いずれにせよ、ジェリーは有名人なのでほとんどプライバシーのない生活を強いられていて、だからこそマーシャやパプキンのような輩が彼の目の前に現れることになるわけだ。それが有名税というのなら、パプキンのような強靭な自己肯定力がある奴のほうが、プライバシーのない生活に向いているのかもしらん(笑)。

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あらすじを観て興味を覚えて鑑賞。善悪について考えるに示唆的な内容でありそうな気がした。その通りの内容だったので、とても満足できた。アーサーがジョーカーになる過程を描くことで、人間は全員、全員が善人でも悪人でもあるのだということを示唆しているところが素晴らしい。ネタバレあり。
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キャシー・ベイツの演技力が、この作品の肝であります。あの表情の演技、じつにその場のアニーの感情を狂的に、巧く表していますな。特に殴られて、床に倒れふすまでのあの一瞬の表情、あの、目、そして血まみれの顔面、オドロオドロシく、狂的な中に、アニーが辿ってきた人生の寂しさ、哀しさが窺えますな。実に役者だと思いましたな。
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