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映画 生きちゃった ネタバレ感想 タイトルに意味はあるのか

生きちゃった
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生きちゃった

コミュニケーション不全の人間たちが、相手に自分の本音を話さないで生き続けているうちに、あれよあれよという間に負の連鎖にはまり込んで不幸になっていくヒューマンドラマ。ネタバレあり。

―2020年公開 日 91分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:石井裕也自身によるオリジナル脚本を「静かな雨」の仲野太賀主演で映画化。妻と5歳の娘と共に平凡に暮らしている厚久。ある日、厚久が会社を早退して家に帰ると、妻が見知らぬ男と情事に耽っていた。突然の出来事に厚久は怒ることも悲しむこともできず……。共演は「ロマンス」の大島優子、「愛がなんだ」の若葉竜也。KINENOTE)

あらすじ:山田厚久(仲野太賀)は、幼馴染だった妻(大島優子)と5歳の娘の3人暮らし。平凡だがそれなりの生活を送っている。だがある日、厚久が会社を早退して家に帰ると、妻が見知らぬ男と情事に耽っていた。あまりにも急なことで、厚久は怒ることも悲しむこともできず、ただ感情に蓋をするしかなかった。その日を境に厚久と妻は、2人の幼馴染である武田(若葉竜也)を巻き込みながら、想像もしなかった未来に飲み込まれていく……。(KINENOTE)

監督・脚本:石井裕也
出演:仲野太賀 /大島優子/若葉竜也/毎熊克哉/北村有起哉/原日出子/鶴見辰吾/嶋田久作

ネタバレ感想

レンタルで鑑賞。存在は知ってたけど、どんな内容なのか全く知らずに見てみたら、こんな話だったのかと。なんか、登場人物の誰にも感情移入ができず、イライラしちゃう内容だった。

この映画が描いているのは、自分の本音というか、気持ちをうまく他人に表現できない人間が、どのような苦しみを経て人生を不幸にしていくのかということのようだ。

主人公の厚久は10代のころから仲のよかった奈津美と結婚。一児を授かって3人で暮らしている。二人には武田という男友達がいて、3人は故郷を出て、都内か川崎市あたりだと思われる土地に移り住んでいる。厚久と奈津美の生活は楽ではなく、そこから脱するために厚久は武田と英語や中国語などを学びつつ、起業することを目指している。

しかし、厚久と奈津美にはほとんどコミュニケーションがない。彼女が厚久の母親に嫌味を言われてても厚久は知らぬふり。ともかく、なんも喋らないのだ。彼の両親もそんな感じの人間で、厚久の兄貴は職を失って大麻を吸うような暮らしをしているし、人と全く喋らない。

て、考えると、この両親による息子たちの育て方が悪かったんだろうなと想像できるんだが、それも描かれない。自分の心情を厚久は吐露しようとしないので、鑑賞者は彼の心情などを想像しつつ観る必要があるんだけども、ともかくとっかかりがなく、彼が何を考えてるか理解できない。できる人もいるかもだが、俺には無理だった。

そんな感じの厚久が、まずは奈津美の浮気現場を目撃。しかし何も言えず。逆に奈津美から三行半たたきつけられて、離婚されることに。もくもくと養育費を払い続ける厚久。いっぽうの奈津美は昔は武田のことが好きだったらしいが、なぜ厚久と結婚したのかよくわからん。

結婚後、厚久が別の女を家にあげていたことがあって、そのことで厚久は自分に愛情がないと思っていた。そういうのもあるし、厚久がなんだかよくわからん奴であることが不満で浮気し、離婚するに至ったようだ。ようするに、愛に飢えていたということか。

ともかく、離婚後の奈津美は浮気相手と再婚したっぽい。その相手もヒモみたいなやつで、働かない。であるから自分が働くしかないんだけども、ある日、厚久の兄が訪ねてきて、このヒモを殺してしまうのだ。どういうことなのか。兄は兄で、弟を思っての行動だったんだろうが、やることが極端すぎ。

んで、奈津美は再婚相手が借金背負ってたことを知り、図らずも風俗で働かざるを得なくなる。子どもは実家に預けた。そうやって稼いでいたら、ある日、風俗嬢を殺すのが趣味らしいイカレた客をとってしまい、殺されてまうのであった。

厚久は彼女の葬式に出たが、彼女の母親から二度と面出すなと追い返されちゃう。娘とも会えない。でも、一応会いたいという気持ちはあるようだ。なので後日、武田に説得された彼は、娘に会いに行くのであった。それで物語はおしまい。

ほんとになんなんだろうか。ラストで厚久はそれなりの成長を見せたわけだが、彼のそれまでの人生にまったく共感ができないので、さっぱり楽しめなかった。まぁしかし、仮にこういうコミュニケーション不全の人が増えているんだとしらた、それはそれで恐ろしくはある。

確かにいろいろ考えるに、俺だって本音を隠して人とコミュニケーションをしていることはあるだろう。それは認める。だがしかし、なんでもかんでも本音を押し隠していく生き方なんて、したいとも思わないし、できない。

厚久は本音を押し隠して生きているというよりは、自分の思いをうまく言葉にできない人間だったらしい。とはいえ、なんでそうなっちまったのかよくわからんし、そこから独力で乗り越えられない彼にはやっぱりイライラする。要するにこいつ、自己肯定感が低いんだろうと思われる。

自己愛も薄い。人間なんて、己可愛さで生きてる部分もあると思うので、仮に言葉にできないモヤモヤがあったとしても、感情で自己表現しちゃうもんではないか。

厚久はそうしたことがうまくできない男であり、そうした存在が”何となく生きちゃった”結果、本当に”生きちゃってただけ”になってた。だからこれからは、”生きちゃおう”と頑張るラストだったんかも。とはいえ、繰り返しになるけども最後のシーンの厚久が感情を吐露して行動を始めた数ミリの成長に対してもなんの感慨もわかず、作品の背景に込めていることも何となく感じられはするものの、物語としてはまったく楽しめない代物であった。

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