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映画 ゴーストランドの惨劇 ネタバレ感想 大男と女装男VS姉妹と母

ゴーストランドの惨劇
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ゴーストランドの惨劇

―2019年公開 仏=加 91分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「トールマン」のパスカル・ロジェがジェラルメ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを含む三冠に輝いたホラー。僻地の家にシングルマザーと双子の娘が越してきた夜、家に押し入ってきた暴漢を母が娘たちの前でメッタ刺しにする。それから16年後……。出演は、「スカイライン 征服」のクリスタル・リード、ドラマ『マードック・ミステリー~刑事マードックの捜査ファイル~』のアナスタシア・フィリップス、「海賊じいちゃんの贈りもの」のエミリア・ジョーンズ、「デッドプール」のテイラー・ヒックソン、シンガーソングライターのミレーヌ・ファルメール。(KINENOTE)

あらすじ:シングルマザーのポリーン(ミレーヌ・ファルメール)は人里離れた叔母の家を相続し、双子の娘とともに移り住む。姉のヴェラ(テイラー・ヒックソン)は奔放で現代的な少女だが、妹のベス(エミリア・ジョーンズ)はラヴクラフトを崇拝する内向的な少女だった。新居に到着した夜、2人の暴漢が家に押し入ってくる。しかし、娘たちを守ろうとするポリーンは、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しにする。それから16年後、ベス(クリスタル・リード)は家を離れ、小説家として成功していた。一方ヴェラ(アナスタシア・フィリップス)は精神を病み、今もあの家で母と暮らしていた。ベスが久しぶりに実家を訪れると、母は迎え入れるが、地下室に閉じこもっていたヴェラは衝撃的な言葉を呟く……(KINENOTE)

監督・脚本:パスカル・ロジェ
出演:クリスタル・リード/アナスタシア・フィリップス/エミリア・ジョーンズ/テイラー・ヒックソン/ロブ・アーチャー/ミレーヌ・ファルメール

ネタバレ感想

パスカルロジェ監督作品

今作のパスカルロジェ監督は『マーターズ』って作品が有名で、今作同様に、女性が酷い目に遭う話だったような。もう内容覚えてない。同監督で個人的に印象に残ってるのは、このブログにも投稿した『トールマン』のほう。途中で大きなネタバレがあってからは、当初の予想とは異なるストーリー展開になっていくのは、本作と似たような感じ。

てなことで、公開時から気になってはいたが、スルーし続けている間に、アマゾンプライムで配信されていたのでようやく鑑賞した。暴力描写、特に女性がその対象になっているのを見るのが苦手な人には受け入れるのが難しい作品だと思うが、そこが乗り越えられれば、本作もなかなかに楽しめる。

惨劇は唐突に始まる

まず冒頭、ラブクラフト好きで小説家を夢見るべスと、妹(ベス)に対して意地悪なヴェラ、その母親が、遠い親戚のオバサン(故人)の家に引っ越すシーンから物語は始まる。この一家が引っ越し先にたどり着いて、ある程度の荷造りを終えて就寝するまでの間に、3人の関係がだいたいわかるようになっている。そんで、途中で出会ったキャンディカーや、立ち寄り先の雑貨屋の店主などとの関わりも、後の展開につながってくるのだ。

んで、引っ越し最初の夜に、惨劇が唐突に始まる。いきなり、巨大な男が母親に襲い掛かってくるのである。この登場シーンはマジでビビる。そこからはベスがギャアギャア泣きわめきながら逃げ惑うシーンと、侵入者と母親が格闘するシーンが続く。

で、その際のベスの悲鳴がけっこうウザくていらつく(笑)。わめいてねーで戦うなり逃げるなりしろや、と思うんだが、そんなことできるキャラではないのがベスであって、それは仕方ない。

二人とも男(笑)

ともかく、この最初の惨劇シーンのママンはかなりの奮闘ぶりで、強い(笑)。なので、キャンディカーの不審者二名をぶち殺してしまうのである。すごいね。

ところで、この不審者のうちの一人は、大男の母親なんだろうなと思ってたら、ラストのほうでわかるんだけど、実は男なんである(笑)。それがわかったときはマジかよ、と思いました。

知的障害の子を持つ母が、自分の子の欲望を満たすために少女たちを監禁してるのかと思ったら、母じゃなくて女装した男だからね。どういう歪んだ精神の持ち主なんだよ(笑)。兄弟だったんかな? その辺はよくわからない。

ともかく、話はそこから16年後に移るわけだが、ともかくこの冒頭の惨劇シーンの描写はかなり恐ろしい。

誰の妄想を観ているのか

そっから16年後の話は、ベスはかなり幸福に暮らしているんだが、姉のヴェラは惨劇から立ち直れずに精神がイッちゃってて、母親が彼女の世話をしてる。んで、いい暮らししてたベスなんだけど、いろいろあってしばらく実家に戻ることにしたのだ。

帰ってみたら、ヴェラのイキっぷりがなかなかひどく、何とか立ち直らせたいんだが母親に任せるしかなく、自分だけいい思いをしていることに後ろめたさもありーーみたいな展開が続く。この辺の描写を観ていると、ベスが後ろめたさを感じるのは当然であって、ベスのことが少々うざくなってくる。

でも、なんかおかしいなと思うシーンが散見されて、特に、ヴェラが姿の見えない相手にひっぱたかれてるのか、なんなのかしている描写には非常な違和感がある。ヴェラの妄想の中では不審者が生きているようなので、それの攻撃を受けているのかなと思うんだけど、なんか変。んで、その少し後に判明するのが、実はその16年後の話は、ベスの妄想だったということだ。

なんと、母親は女装男のほうとの戦闘に敗れ、無残にもあの晩に殺されていたのである。そして、ベスとベラは不審者2名に監禁されて、遊び道具にされ続けていたのだ。で、その現実を受け入れることができないベスは、妄想の中に逃げ込んで、幸せな16年後を生きているふりをしていたのである。

しかし、その妄想の中でもどうしても、現実の世界の干渉が起き続けていて、それは主に現実のほうのヴェラが彼女を呼び戻そうとしていたらしいが、ともかくそういう訳で、ベスは過酷な現実に戻ってくるのである。

現実は過酷だ

現実に戻ってからのベスは、自分ひとりで逃げるチャンスもあったものの、それはせず、ヴェラと一緒に脱出するように奮闘する。相変わらず悲鳴が少しウザいが(笑)。

で、見事脱出に成功し、警察の保護を受けられるかと思いきや、女装男がキャンディカーで追いかけてきてて、警官2名を射殺。姉妹はまたしても家に連れ戻されてしまうのである。

せっかく逃げたと思ったのに捕まってしまったベスは絶望し、またしても妄想の世界に逃げ込む(笑)。妄想の世界には母親も生きているし、みんながチヤホヤしてくれて嬉しい。でも、幸せそうなヴェラはいないのだ。現れたとしても、現実のヴェラと同じく、傷だらけでボロボロ。

そんなヴェラを見てベスは、今度は自らの意志で現実の世界に戻ることを決意するのだ。最終的に警官の助けもあって、不審者2名を退治した姉妹は、ようやく悪夢のような現実から逃れたのであった。

母親の霊に小説を書きなさいーーと励まされたベスは、母の激励に頷くのであった。おしまい。

驚きながらも楽しめる良作

ということで、ハラハラドキドキのホラー展開の中に、物語世界に視点の転換を起こして驚きをもたらしつつ、最後は一応のハッピーエンド? で終わる構成がまずすごい。

そして、その話が面白いところもすごい。おそらく、2回目を鑑賞すれば、細かいところに伏線がかなりあるんだろうなと思わせる内容であった。

そして、この作品は姉妹愛的なものを描きつつ、気の弱いふさぎ込みがちなベスが、勇気とともに現実に立ち向かうという成長物語にもなっている。とは言え、あれだけのトラウマ体験をした姉妹が、この先も幸せに生きられるかどうかは、わからんのだが。

てなわけで、繰り返し鑑賞したいとは思わないけども、面白い作品でした。短いところも良い!

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