天才マックスの世界(1998)
解説:ラッシュモア校に通う少年マックスは、人並み外れた才能を持ちながらも落第を繰り返す落ちこぼれ。だがそんな彼が学園の美人教師に恋に落ちたことから奇想天外なドラマが始まって行く…。巨匠コッポラの甥っ子ジェイソン・シュワルツマンの存在感、一世一代の名演を見せるビル・マーレイ、登場人物の心象風景を音楽に託した斬新な演出、と見所満点の刺激的な一作だ。劇場未公開が惜しまれる、埋もれた傑作。是非一見をお勧めしたい。(all cinema ONLINE)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジェイソン・シュワルツマン/オリビア・ウィリアムズ/ビル・マーレイ
以下、ネタバレあり。この記事は2005年に書かれたものです。
暴走少年、マッドマックス現る!
15歳の少年マックス君。彼は天才? と呼べるのか知らないですけど、学校が生きがいなんですね。勉強がじゃなくて、学校です。学校の課外授業が好きなんです。なんと十数個のクラブを掛け持ちし、しかも新しいクラブまで創設するなど、超活動的。そっちばかり必死になっていて、勉強は全然ダメなんですね。
なんでこんなにクラブ活動ばっかりするのか、その意図はまったくわからないです。本人もわかっちゃあいないぽい。しかも性質が悪いことに、学校及び周囲にいろいろと迷惑をかけているのに、それに気付かず、我が道を突っ走る。そこが天才的といえば、ある意味天才的振る舞いではあります・・・。
どのくらい迷惑かと言うと、例えば新しく赴任してきた女性教師にマックス君は恋をするわけですが、それは一方的な片思い。先生は相手にしようとしてないのに、その先生のために行動力だけは人一倍あるマックス君は、先生が学校の科目からラテン語が消えるのを寂しく思っていたことを知り、自分はラテン語嫌いなくせして、PTAみたいなのに掛けあってラテン語を復活させます。
ラテン語の嫌いな生徒たちには顰蹙を買うマックス君ですが、それにはまったく気付かない。さらには校長に内緒で、野球場の一角に水族館を建てようとするのです。(ちなみに、片思いしてる先生の教室には魚を飼っている水槽がたくさんある)課外活動をいっぱいしているからといって、校内の敷地になぜ水族館が建てられるのか意味がわからないんですが、まあとにかくいろいろな伝手を頼って設計やら何やらをして、しかも現場では監督よろしく、偉そうに大人たちに指図するわけですよ。トンデモないガキですね。
振られた腹いせで、さらに大暴走!
この水族館建設に資金を出す人が、彼の友人の一人である会社経営者のオッサン(ビル・マーレイ)。このオッサン、マックス君と気の合う人なんですね。それでどんな大人なのかは、大体わかると思います。
けっきょくこの目論見は校長にばれて・・・ばれるのが当たり前なんだけど、マックス君は放校処分に。その後、まあいろいろありまして、彼は先生に振られるんですね。友だちのオッサンはマックスと先生の間を取り持とうとするんですが、いつの間にかオッサンも先生を好きになってしまう。しかも、先生もオッサンを愛し始める(笑)。
気付いたマックス君は大激怒。オッサンの奥さん、(奥さんも浮気してるんですけど)にチクってオッサンは離婚。しかも先生はオッサンとの不倫を学校にばらされてこちらも解雇。そうしたうえでストーカーのように先生に付き纏うマックス君。
マックス君にはダーク君という友だちがいて、この子がなかなか高感度の高い人物です。しかも母親が美人。で、「お前はダークの母親に気に入られるためにダークと友だちなんだろ」と同級生に言われたマックス君、「そんなバカな、俺はもうあの母親に手で抜かせた」と本当は童貞のくせしてスグばれる嘘をつき、その同級生にその嘘を吹聴されて、ダーク君との仲までおかしくなる。もうメチャクチャ(笑)。
こいつを凌駕するのは、恐竜小僧しかいない(笑)
というわけで、とにかく腹立たしい野郎なんです、マックス君が。こいつ以上にムカつく主人公は『恐竜小僧(ジュラシック・ボーイ)』のあいつしかいない(笑)。
しかも、最終的にはなぜかみんなが分かりあってしまって、和解し、落ち着く所に落ち着いて、マックスには彼女ができて、ハッピーエンド。これ、いったいなんなんですかね? コメディ映画なんだと思うけど、コミカルさはありながらコメディに徹するわけでもなく、お涙頂戴ヒューマン系であるわけでもなく、ナンセンスとでも言えばいいんですかね。
面白いは面白いんですよ、不思議なことに。しかし、やたらと腹が立つんですな。難しいこと考えずに、ゆったりした気持ちで観ればいいのかもしれないですけど、とにかく鑑賞後に妙な座りの悪さを感じる映画でした。でも、けなしているわけではないです。
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