ファム・ファタール
―2003年公開 115分 米―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:宝石強盗に関与したひとりの女の奇妙な運命を描くサスペンス。監督・脚本は「ミッション・トゥ・マーズ」のブライアン・デ・パルマ。撮影は「キス・オブ・ザ・ドラゴン」のティエリー・アルボガスト。音楽は「スネーク・アイズ」の坂本龍一。美術も「スネーク・アイズ」のアン・プリチャード。編集はデ・パルマ作品の常連ビル・パンコウ。衣裳は「YAMAKASI ヤマカシ」のオリヴィエ・ベリオ。出演は「X―メン」シリーズのレベッカ=ローミン・ステイモス、「スパイキッズ」シリーズのアントニオ・バンデラス、「ウォーク・トゥ・リメンバー」のピーター・コヨーテ、「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」のエリック・エブアニー、「TAXi」シリーズのエドュアルド・モントート、これが映画デビューのリエ・ラスムッセン、「メルシー・ラ・ヴィ」のティエリー・フレモン、「ペイバック」のグレッグ・ヘンリーほか。(KINENOTE)
あらすじ:カンヌ国際映画祭の会場で、1000万ドルの宝石が盗まれる。実行犯のロール(レベッカ・ローミン・ステイモス)は仲間を裏切って逃走。その途中で気を失ったロールは、見知らぬ家のベッドで目覚める。彼女は別の女性、リリー(レベッカ・ローミン・ステイモス、二役)に間違えられていたのだ。まもなく帰宅したリリーが、ロールの存在を知らないまま拳銃自殺。ロールはリリーに成り済まして単身アメリカへ飛んだ。7年後、ロールはアメリカ大使夫人としてパリに舞い戻る。決して人前に出ず過去を隠していたが、カメラマンのニコラス(アントニオ・バンデラス)にスクープ写真を撮られてしまってから態度を変える。ロールは素性を探ろうと接近してきたニコラスを誘惑。ニコラスは彼女の罠に落ち、ロールは完全勝利を収めたかに見えた。だがすべては、見知らぬ家のバスタブにつかったままロールが見ていた夢だった。目覚めたロールは、リリーの自殺を止める。そして本当の7年後、ロールの行動によって未来が変わり、彼女はニコラスと出会って恋におちるのだった。(KINENOTE)
監督・脚本/ブライアン・デ・パルマ
音楽:坂本龍一
出演:レベッカ・ローミン・ステイモス/アントニオ・バンデラス
ネタバレ感想
この作品、冒頭の犯罪シーンがとても豪華で楽しめて、初見の時は一気に物語に引き込まれた。俺はデパルマ映画だと『カリートの道』『スカーフェイス』『アンタッチャブル』なんかが好きで、どっちかというとデパルマの覗き見変態的な内容の作品にはさほど思い入れがない。だけど、この映画はけっこう好きなんである。面白い。
音楽は坂本龍一が手がけていて、冒頭の曲はラヴェルの『ボレロ』に似ているんだけど、というか俺にはそうとしか聞こえてなかったんだけど、調べたところによるとどうやら、坂本氏がデパルマの命を受けて、それっぽい曲をつくったということらしい。知らんかったし、別物だとは気付いてなかった(笑)。
ということでその冒頭の展開から物語は他人との人生取り替え物語になると思いきや、ファムファタールによる、男を手玉に取るストーリーへと展開していく。こまごま説明するのは面倒くさいしややこしいので、端折ります。
そして、終盤の展開はオイオイオイ、夢オチなんかい…と思うものの、ラストはしっかりまとめてくれるし、消化不良感はない。要するにデパルマ監督は、人生の選択について、別の可能性があったとして、そちらを選択するとどうなるかという可能世界的なものを映像的に見せてくれたということか。単なるそれだけの話ではあるものの、なかなか複雑な展開を自身の手で脚本にできるんだから、やっぱスゴイ監督だなと思う。
この作品の評判はさほどよくないみたいだけど、同監督の味が出てる作品として先に挙げたもの以外では『ファントムオブパラダイス』並みに魅せてくれる話だと思う。ただ、最後のドライバーは気の毒だよな。彼はいずれにしても、誰かを死に至らしめてしまうわけだから。
そう考えると、善人だろうが悪人だろうが、運命は残酷なんだと言っているようにも感じられる。2週目のほうのバンデラスなんて、ただの脇役だしね(笑)。
あとは何と言ってももう、レベッカ・ローミン・ステイモスがエロいところだ。それに尽きる。もちろん、冒頭での彼女のお相手役も美人だ。にしても、あの攻め手で篭絡されなかった場合、ダイヤ強奪は実現しないんではないかと突っ込みたくなるんだけど、その辺もしっかりと後で納得させてもらえるわけで、繰り返しなるが、デパルマはすごい監督だし、この映画は面白い!
最後に余談。好きな作品なので今回はDVDを購入してブログで紹介しようと思ってたのに、アマゾンで買い間違えて、韓国映画の『ファムファタール』が家に届いた。愕然として、そっちのはまだ観てないし、あんまり観たくない。どうしよう(笑)。本作は結局レンタルで鑑賞している。
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