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映画 プラットフォーム ネタバレ感想 子どもは実在したか

プラットフォーム
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プラットフォーム

―2021年公開 西 94分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:2019年トロント国際映画祭ミッドナイトマッドネス部門観客賞を受賞したスリラー。ゴレンが目を覚ますと、部屋の真ん中に穴が開いた建物にいた。食事は上の階層からプラットフォームと呼ばれる台座に乗って運ばれてくる。彼は生きてここから出られるのか? 2019年シッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀作品賞を含む4冠、2020年ゴヤ賞特殊効果賞受賞。出演は、「ミリオネア・ドッグ」のイバン・マサゲ、「オール・アバウト・マイ・マザー」のアントニア・サン・フアン。(KINENOTE)

あらすじ:ある日、目覚めたゴレン(イバン・マサゲ)は、部屋の真ん中に穴が開いた階層が遥か下の方にまで伸びる塔のような建物の48階層にいた。そこでは、上の階層から順に食事が“プラットフォーム”と呼ばれる巨大な台座に乗って運ばれてくる。食事は上からの残飯を摂るしかない。同じ階層にいた、この建物のベテランの老人トリマカシ(ゾリオン・エギレオール)から、1ヶ月ごとに階層が入れ替わる、何でも1つだけ建物内に持ち込める、食事が摂れるのはプラットフォームが自分の階層にある間だけというここでのルールを聞かされる。1ヶ月後、ゴレンが目を覚ますと、171階層でベッドに縛り付けられて、身動きが取れなくなっていた……。(KINENOTE)

監督:ガルダー・ガステル=ウルティア
出演:イバン・マサゲ/アントニア・サン・フアン/ゾリオン・エギレオール/エミリオ・ブワレ/アレクサンドラ・マサンカイ

ネタバレ感想

『CUBE』みたいな雰囲気の格差拡大風刺作品

公開時に観たかったんだけど、上映館が少なくて都合が合わなかった作品。ネットフリックスで配信されてたので鑑賞した。事前情報で、資本主義社会における格差拡大を風刺しているような内容っていうのは知ってたが、こうして鑑賞してみるにさらにいろいろと奥行きを感じられる作品であった。

原題は『穴』。まさしく一番底から最上階まで穴が続いているわけで、そこを行き来する食事を運ぶエレベーター的な台座が『プラットフォーム』なわけだ。タテに延々と続くこの施設で物語が続いていくのを見ると、『CUBE』なんかを思い出しますな。そして、内容的には結構似たような部分もあると感じる。

ということで、考察でも何でもないネタバレ含む感想を下記から。

ドン・キホーテと聖書

この作品の主人公のゴレンはこの建物に持ち込みできるアイテムにセルバンテスの著書、『ドン・キホーテ』を選んでいて、作中でもたびたび読まれている。そして、もう一つ気になるのが、聖書の言葉の引用。「私を食う」「お前を食う」とか何だとか、ゴチャゴチャセリフがあった、あれだ。俺は前者についてはある程度ストーリーを知ってはいるものの未読だし、聖書の知識はほとんどないので、あれらについて詳細を語ることはできない。あと、建物の階数など数字的な意味もいろいろあるらしいが、その辺もよくわからん。

でも、この作品はそんなんよくわからなくても、そこそこなグロゴア描写に耐性がある人なら楽しめるんではなかろうか。特に、先述した『CUBE』が楽しめた人なんかにはおススメできる。

階層によって人の行動が変わる

主人公のゴレン、彼が48階で出会うトリマカシ。その次に会うミハル。そして管理者側だった女(名前忘れた)。そして6階で出会うバハラット(確かそんな名前)。それぞれの人間に特徴があって、各人がこの施設内でする行動は当然、三者三様だし、その時々に置かれた階層によって、さまざまに変わるのだ。そうした描写によって、社会における階層ごとの格差の存在(いわゆる上級国民などという表現がそれにあたる)と、それぞれの置かれた位置で人間の価値観が大きく変わることを見事に示している。

それはゴレンを見ててもよくわかる。彼は最初、けっこうまともな、道徳心の高い人間に見える。常識的だ。しかし、階が変わって殺されそうになったり、人肉食ったり、他の階の人間のままならなさを知ったり、下の階の奴らを説得するために、食事にクソをかけられたくなかったら言うことを聞けと脅したり、管理者の女の犬がミハルに食われたり、ドン・キホーテを飽きるほど読んだだろう後に、事情があってそれを食すなど、軸はさほど変わっていないように見えて、その置かれた立場ごとで、なかなかに鬼畜なことも平然としているのだ(できるようになったとも言えるが)。

いずれにせよ、登場人物はどいつも悪い奴ではなさそうで、かといっていい奴でもない。おかれた環境によってどうにでも変わってしまうのだ。その中で、ブレ度が少ないのがミハルだろう。

バハラットとミハル

バハラットも、なぜこの施設にいたのかなどは語られないが、最後まで芯のしっかりした人間であるように見える。最初の登場時は命惜しさに上の階に行きたがってるだけの奴かなと思ったけど、ゴレンの説得に応じて最下層行きを同意して以降は、目的のために迷わずゴレンと共闘してて、なかなかすごい。かなり過激な人殺しもしてるんだが、意志がしっかりしてるように見える。しかし、それは最初にいたのが6階だったことによることも大きいのかもしれない。なぜなら、環境がいい場所にいると、人間には考える余裕が出てくるであろうからだ。

ミハルは、いろいろと謎が多い。そもそも管理者側の女の話によれば、女優になることを希望してこの施設に入ってきたらしいんだが、どのくらいの期間、施設内にいたかはよくわからん。そんで、どうやら精神がおかしくなっているようにも見える。管理者女によれば、彼女が探している子どもは施設に入りようがないらしい。16歳以下は入れない規則があるから。であるから、ミハルがいう子どもなどいないとゴレンに告げる。しかし、ラストの展開で判明するように、子どもは最下層にいたのだ。

子どもは本当に存在したのか

これはどういうことか。何通りか考えられて、子どもの存在は、暴力を受けすぎて意識が朦朧としているゴレンとバハラットの幻覚だったというもの。もしくは、ゴレン一人の幻覚か。もう一つは、施設内でミハルが生んだ子どもであるというもの。さらに、ミハルではない誰かが生んだものとも考えられなくもない。

個人的にはミハルの子どもじゃないかなと思って鑑賞していた。自分の子どもでなかったら、あんな精神崩壊してるような状態でも下層を目指し続けられるかなと思ったから。彼女は女優を目指してたってだけあって、美人。あんな血まみれ状態でも顔立ちがいいのは分かるし、作中でもレイプされてるようなシーンがあった。

であるから、あの子どもは彼女が施設で生んで、一番最下層に隠しながら、階層が変わるごとに自力で下に降り続け、彼女が飯を与えていたーーとか考えたんだけど、書いてて無理なことに気付いた。そういえば、食べ物は下の階に持ち込めないんだもんね。じゃあ育てるのが無理と考えると、あの子どもは妄想か幻覚だったってことだろうか。それとも、ミハルではない誰かの子ども?

※「食べ物は下の階に持ち込めないのではなく、リフトから降ろしてとっておくことができない」の間違いです。そういうコメントをいただきました。ありがとうございました。

「子供のためにミハルが必死に最下層まで食べ物を残そうとするために人を殺してった」という解釈ができないかというコメントいただきました。ありがとうございます。確かに、そう考えるとミハルの子どもという説に説得力が出そう。俺はぜんぜん思いつかなかった(笑)。

ともかく、細部についてはよくわからんとこも多いし、いろいろな解釈ができそうだけども、なんというか、管理する側もされる側もままならぬ存在でありますなぁと鬱々とした気分になってしまう内容ではあるし、ラスト、管理者側にメッセージが伝わったかどうかはかなり微妙だが、話自体は面白いです。

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コメント

  1. みと より:

    ~あの子どもは彼女が施設で生んで、一番最下層に隠しながら、階層が変わるごとに自力で下に降り続け、彼女が飯を与えていた~

    いかようにも主人公を切り替えて物語を考えられるこの映画
    謎の女ミハルについてのこの考え方面白いなと思いました

    食べ物は下の階層に持ち込めないんじゃなくてリフトから降ろしてとっておくことができないんじゃないでしょうか?
    聖なるパンナコッタ運んでますし…

    記事にする側も読む側も悶々とした内容になっちゃいましたね。

    • hanori より:

      「食べ物は下の階層に持ち込めないんじゃなくてリフトから降ろしてとっておくことができないんじゃないでしょうか?」確かにそうでした! ご指摘を受けて記事内に訂正を入れさせていただきました。閲覧ありがとうございます!

  2. えび より:

    あの子供はミハルの子で、子供のためにミハルが必死に最下層まで食べ物を残そうとするために人を殺してったとは考えられないですかね、、難しい、、

    • hanori より:

      「子供のためにミハルが必死に最下層まで食べ物を残そうとするために人を殺してった」…確かに、そう解釈するとミハルがなぜ下層を目指しつつ、人殺しをしてたのかが納得できますね! 本文内にも引用させてください。コメントありがとうございました!

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