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映画 CUBE ネタバレ感想 結末まで面白い 立方体は何を意味するか

CUBE
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CUBE

気付いたら立方体が組み合わさった空間に閉じ込められていた男女6名が、ジタバタしながら脱出を図るスリラー。立方体の仕掛けてくる死のトラップを回避しなければならない緊張感と、そこで助け合ったり反目しあったりする緊迫した人間模様、さらには謎の施設の存在理由に社会風刺的な寓意を込めていると思われる良作。ネタバレあり。

―1998年公開 加 91分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:謎の立方体空間から脱出を図る男女の姿を描いた異色サスペンス。監督は「JM」に絵コンテライターとして参加した経歴を持つカナダの新鋭ヴィンチェンゾ・ナタリで、自らの短編『Elevated』(日本未公開)をベースに長編劇映画デビューとなる本作を撮り上げた。立方体空間の造形は、CGを「ミミック」「スポーン」のC.O.R.E.デジタル・ピクチャーズ、特殊効果監督をボブ・マンローとジョン・マリエラ、美術をダイアナ・マグナスがそれぞれ担当。脚本はナタリ、アンドレ・ビジェリック、グレイム・マンソンの共同。製作はメーラ・メーとベティ・オァー。製作総指揮はコリン・ブラントン。撮影はデレク・ロジャース。音楽は「私は人魚の歌を聞いた」のマーク・コーヴェン。編集はジョン・サンダース。出演は『ジャッジメント』(V)のモーリス・ディーン・ホワイト、『プロムナイト4』(V)のニコール・デボアー、「スキャナーズ2」のデイヴィッド・ヒューレット、「クラッシュ」のニッキー・ガーダグニーほか。(KINENOTE)

あらすじ:ある日突然、立方体の部屋の集合体である異空間に、理由も不明なまま閉じ込められた人々。警察官のクエンティン(モーリス・ディーン・ホワイト)をリーダーに、数学を専攻する少女レヴン(ニコール・デボアー)、中年の女医ハロウェイ(ニッキー・ガーダグニー)、この建造物の実体を知らされぬまま外壁だけを設計させられたというワース(デイヴィッド・ヒューレット)らが脱出を図る。彼らは各部屋の面ごとに6つあるハッチを通って移動しながら出口を探すが、まず有名な刑務所脱獄犯レン(ウェイン・ロブソン)が仕掛けられたトラップの餌食に。途中、精神障害者の青年カザン(アンドリュー・ミラー)が加わり、レヴンが安全な部屋を確認する法則を発見。彼らはようやく外壁まで到達するが出口はない。焦燥の中、クエンティンは仲たがいしたハロウェイをひそかに始末、レヴンだけを連れて行こうとしてワースと争う。さらに、いつの間にか彼らは出発地点の部屋に戻ってしまっていた。戦慄する彼らだが、ここでようやく部屋の謎が解ける。元々いた場所は立方体の中に存在する巨大な船橋を一定の時間ごとに移動しており、そこに戻ることができれば、出口が見つかるはずなのだ。その法則を解く因数の数は計算機なしには解けないはずだったが、なんと実は天才的な計算能力を持っていたカザンのおかげで一同はいよいよ脱出を開始。凶暴さを増すクエンティンを置き去りにしてようやく太陽射す出口にたどりついた3人。だがそこでレヴンは追いついたクエンティンに殺され、ワースはカザンだけを脱出させてクエンティンを道連れに果てた。光の中、カザンは歩み出す……。(KINENOTE)

監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:モーリス・ディーン・ホワイト/ニコール・デ・ボアー/ニッキー・ガダーニ/デイヴィッド・ヒューレット/アンドリューミラー/ウェイン・ロブソン/ジュリアン・リッチングス

ネタバレ感想

スリルあるトラップ回避と緊迫した人間模様

忘れた頃に鑑賞すると、結末を覚えてても楽しめる作品。筋を追っていくだけでもスリルがあるし、内容に社会風刺的な寓意が込められているように感じられるところもよい。

スリルの部分で言えば、まずは立方体にしかけられたトラップの数々。いずれも殺傷能力が高く、回避行動をするには咄嗟の機転と判断力を要するものが多く、劇中では警官のクエンティンが一度、それに成功したくらい。

そして、立方体に集められた人間たちの繰り広げるドラマ部分もおもしろい。それぞれに立方体脱出のためのカギになるような能力を持っている人間たちで(警官はそうでもないが)、その力を駆使して謎の立方体空間で脱出を図ろうとジタバタするその様がよい。

しかも、それぞれの人間がそれぞれの価値観や偏見の目、利己心で動くことにより、人間の醜さを描写しているところもよい。特にクエンティンの表向きの善性とその裏にあるクズ人間ぶりは、彼の職業である警官というキャラにもよく表れている。

主に繰り広げられる人間同士の対立は、このクエンティンと女医のホロウェイのものだが、障害を抱えるカザンに対する数学少女のレヴンの反応なども、そこはかとなくクズ性が感じられる。

立方体空間は何を意味しているのか

物語の中盤くらいで、ワースという厭世的な男が立方体空間の外壁設計を担当したことが判明するくだりで、少しだけ舞台となる建物に言及されるシーンがある。

それによると、この施設は誰が何の目的で建設したのかわからぬ代物で、ワースも単に注文を受けてその設計にかかわっただけで、それが何の施設かも知らずに仕事をしていたとのこと。

つまり、外壁だけでなく、内装というか登場人物たちがジタバタしていた立方体空間の建設をしていた人たちも、それが何だかよくわかってなくて仕事を受けていたのであり、大元の発注者が誰なのかが不明なのだ。

そして、この物語中でそれが明かされることはない。このことは、社会システムのことを風刺しているのだと思われる。どの人間も社会の一員として、なんだかよくわからない歯車になって動いているだけで、その全体がどこへ向かっているのかイマイチわからずに生きているーーというような。

もう少し具体的に言うなら、資本主義のシステムにのっかって経済活動、消費活動をしていることも、誰の意志がどう働いているのかわからないくらいに複雑化しているし、そこに関わる人々も縦割りになっているようで、横にも広大な範囲にわたって広がっているために、一つの部分に対してどこまで追っていけば全体像が見えてくるのか、その所在を探ることが難しくなっているーーというようなことか。

単純に考えるなら、その全体は権力が握っているのだと想像しうるが、しかしその権力を握る権力者も一人ではなく、さまざまな利害関係の中で多数の人間がうごめいているし、しかもそいつらの存在を明るみにすることはできない。

なんとも抽象的な説明しかできていないが、世の中というのはそういう風に動いていると個人的には考えていて、それが実感としてもあるので、この作品における立方体空間というのは、SF的で非現実的な建設物であるのは当然としても、その目に見えぬ権力の存在を示すことで社会風刺をしているように見られる点は、やはり素晴らしいと思うのである。

ラストに脱出するのは誰か

そんなこんなでジタバタしつつ、最後にその空間を脱することができたのは、障害者のカザンであった。彼が出ていく外の世界がどうなってるのかはわからんが、その光が満ちた世界で彼が生きていくことに、希望があるのかどうかは、よくわからない。

ある意味で彼は、差別的に扱われていた立方体空間の中で生きたほうが、周りの庇護を受けられていた部分もあるのであり、外の世界はもしかすると、彼にとってはより過酷なのかもしれない。

続編もある

ちなみに、この作品は続編というかシリーズ化されてて、確か3作目まである。俺は2作目までは鑑賞した。2作目は立方体空間の設定が今作とは異なってて、その工夫された面が俺はとても好きだが、物語自体は大したことない。さらにその続きは未鑑賞。

この立方体が誰の手によるもので、何の目的で建てられたのかが気になる人は、続編も当然見たくなるだろうね。俺は上述したような意味しか込められてないと思ってるので、その辺はあまり気にはならない。

にしても、今作の監督であるビンチェンゾ・ナタリ氏はこれ以外はあんまりパッとした作品を撮ってないよね。この作品がすごすぎるのか。

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