ブラッド・パンチ タイムループの呪い
ドラッグで一攫千金を狙う男、ラッセル。その彼女、スカイラーに誘われたインテリ薬中の主人公、ミルトンは、2人の仲間となって、ドラッグを精製することに。ラッセルの奇人ぶりに惑わされながらも事を進めていくミルトンだったが、ある日を境に、同じ火曜日を繰り返すようになってしまい、ループから脱出すべくジタバタすることに。ネタバレあり。
―2014年製作 米 104分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:薬物治療のリハビリ施設で出会った女にそそのかされ、その女の彼氏と覚醒剤の精製を行うことになった科学工学専攻の元大学生。3人は時間のループに陥り、何度も …(amazon)
監督:マデレイン・パクソン
出演:マイロ・コーソーン/オリビア・テネット/アリ・ボーイランド
ネタバレ感想
タイムループとか、時間移動関連の作品はけっこう好き。アマゾンプライムで見つけて、タイトルに魅かれて鑑賞することにした。で、最初から期待しないで観てたんだけど、そのおかげもあって、けっこう楽しめた。
もちろん、ツッコミたい部分はたくさんある。あるけども、全体通してのストーリー展開はよかったなと思う。
タイムループが始まるまでのくだりが結構長く、ここで挫折する人もいるかもしらんが、ラッセルの気持ちいいくらいのイカれ加減が、個人的にはけっこう楽しめた。どうやらスカイラーは幼い頃からラッセルに目をつけられてて付き合うことになり、さほど好いてはいないようだが、彼から逃れられない生活をしているのが見て取れる。
そこへミルトンが現れて、三角関係が始まるわけだが、その辺の関係性をきっちり説明してから、ループ地獄が始まるのだ。
で、ループ地獄が始まって以降は、ミルトンとスカイラーが協力してループから抜け出そうとジタバタする展開が描かれる。その中で、ラッセルだけが邪魔ものとして殺され続ける(笑)。
この作品で、ちょっと奇抜なのは、同じ時を繰り返しているのに、なぜかラッセルの死体だけは増えていくのだ。
こういう死体が増えていくとか、前のループの時の物体が残り続ける作品って他にあったっけ? あったようななかったような気がするけども、物語的には楽しめる工夫だ。
しかし、なぜループ前の物体が次のループに残ることができるかの説明がないのは、ちょっとね。まぁそんなことを説明できるわけもないんだから、ほっとくしかないというのはわかるんだけども。
ついでに言うと、このループの中では、殺されてしまう人間だけが、記憶が失われるみたい。つまり、ミルトンとスカイラーはループし続けていることを自覚できるが、ラッセルはできない。
とにかく、ミルトンはあまりにもラッセルを殺しまくっているので、そのうち殺しに慣れてきた感が出てくるあたりの、クズっぷりが恐ろしい。スカイラーはスカイラーで、何考えてるかわかんない奴で、そもそもミルトンはこの女のどこに一目ぼれする要素があったのかと思っちゃう。
なんか、ブスとは言わないけども、ノオミラパスを少し若返らせて、その後2~3発ぶん殴ってみたような感じで、目を引くほどの美女じゃないからね(ゴメン)。
まぁそんで、このタイムループはどうやら、先住民が住んでいた土地に関係があることがわかってきて、2人はいろんな脱出方法を試みるけどもうまくいかない。その後、スカイラーとラッセルによって、ミルトンも繰り返し殺されていたことが判明する。
スカイラーは、ラッセルとではループを抜けられないと判断し、ラッセルを見限ってミルトンと協力する道を選んだのである。この展開はけっこう驚いたな。驚いたのはスカイラーのクズっぷりではなく、ミルトンがすでに繰り返し殺されてたってところ。
でまぁ、いろいろあって、このループから脱出できるのは、最後の一人になったときということがわかる。そこんところで、ループを自覚してるラッセルも加わり、じゃあ誰が生き残るべきなのかという3人会談が開かれる。ここで、一番まともに見えるのが、あれほどイカレている奴に見えていたラッセル。では、生き残るのが誰かを何で選ぶかというと、彼の大好きなロシアンルーレットでだ。なかなか平等である。
ラッセルは、なぜか自分が率先して最初にハジキの引き金を弾いてくれるというサービスをしてくれちゃう、しかも、そいつが見事的中して絶命(笑)。バカをとおりこして可愛げすら感じちゃう最期である。
んで、そん次がミルトンの選択ってことで、なぜかこの人、スカイラーのために自分の顎をショットガンで撃ち抜いちゃうんである。マジか、そんなに惚れてたの? この選択もけっこうぶっ飛んでいる。
散々スカイラーのビッチぶりを見せられておきながら、これができるミルトンはかなりの男だとは思うものの、ここに至るまでの展開を考えるとこの選択に説得力をあまり感じられないのも確かである。
ということで、ループから抜け出せそうになったスカイラーだが、そうは問屋が卸さない。ラッセルの取引相手だった奴、2名がこのループ騒ぎに加わることになり、スカイラーはまたしてもループの中に入っていくことを匂わせて、物語はおしまい。
このオチはいいよね。こんなビッチだけ生きこっちゃってハッピーエンドになるよりは。
ということで、話の展開自体は結構楽しめるタイムループもの。ただ、一番の疑問は冒頭の、ミルトンが自分自身を撮影した映像をミルトン自身に見せるあのくだりだ。あれって何の意味があったんだろうか?
指まで切っちゃってるし。冒頭の掴みの部分で出てくるシーンだから、重要なんだろうけど、あれがなくても物語自体は成り立ってると思うんだが。
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