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映画 チャッピー ネタバレ感想 魂を持つロボット

チャッピー
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チャッピー

『第9地区』のニールブロムカンプ監督のSF作品。AI搭載された戦闘用警察ロボットが自我に目覚め、自らの存在を懸けてジタバタする話。ネタバレあり。

―2015年公開 墨=米 120分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督が、近未来の南アフリカを舞台に、学習機能を備えた人工知能搭載ロボット“チャッピー”の成長と冒険を描くSFアクション。出演は「第9地区」のシャールト・コプリー、「スラムドッグ$ミリオネア」のデーヴ・パテル、「ザ・クリーナー 消された殺人」のホセ・パブロ・カンティージョ、「アバター」のシガニー・ウィーバー、「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマン。(KINENOTE)

あらすじ:2016年.犯罪多発都市、南アフリカ・ヨハネスブルグ。ロボット開発者のディオン(デーヴ・パテル)は、学習機能を備えたAI(人工知能)を搭載した世界でただ一体のロボットを極秘で製作。“チャッピー”と名付けられたそのロボットを起動させると、まるで子供のように純粋な状態であった。だが、チャッピーはディオンとともにストリートギャングにさらわれ、そのAIにはギャングによって生きるための術が叩き込まれていく。そんな中、加速度的に成長するAIは彼自身のバッテリーが残り5日間しかないことを知り、さらに死への恐怖をも感じるようになっていく。やがて、ただ生きることを目的としたチャッピーは人知を超えた行動を起こし始めるが……。(KINENOTE)

監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
出演:シャールト・コプリー/デーヴ・パテール/ニンジャ/ヨーランディ・ヴィザー/ホセ・パブロ・カンティージョ/ヒュー・ジャックマン/シガニー・ウィーバー

ネタバレ感想

娯楽要素も入れつつ、奥深さもある

内容的に目新しい話ではないけども、この監督が作品にすると一定の面白さのものになるのはさすが。しかも、単に娯楽的な話だけではなくいろいろな社会問題や哲学的な問いみたいなんを込めてくるところも、この人の優れたところですな。

今作ではまず、AI搭載のロボットが意識を持つようになる様が描かれる。んで、その存在を通して、子どもが成長していく環境にはどのようなものが必要なのか。意識を持つロボットと人間の存在的差異はどこにあるのか。人工知能を持つ存在が人間の力を超えていくのではないかという未来への警鐘--とかとか、SF的にはそんなに目新しくはないものの、その辺のテーマを感じさせつつ、ラストでは彼と関わる人間の成長も描いて感動を誘うようなシーンも盛り込み、しかもアクション的娯楽要素ある内容になっているのがすごいのである。

AI搭載ロボットに自己意識が芽生えると、どうなるか

ということで、チャッピーは自我に目覚めた際は人間の赤子のような知能しかないが、優れたAIを持つため、瞬く間に人間的な成長を遂げていく。

もともと記憶力と学習能力に優れているので、すぐに言葉をしゃべれるようになるし、それに伴い自らの意志で物事を判断できるようになるし、もともと人間以上の身体能力を持っているし、このまま成長していけば、シンギュラリティをおこして人間を凌駕するような存在になることが予想される。

これに警鐘を鳴らす形で、マニュピレートするタイプのロボットを開発していたのがヒュージャックマン演じる元軍人のエンジニア・ヴィンセントだ。彼はこの作品では悪役だし、やってることは汚いのだが、彼のロボットに対する考えというか立場は、チャッピーを開発したディオンよりは冷静だし、考え方によっては優れているように感じらなくもない。

ついでに、シガニ―ウィーバー演じる、ディオンやヴィンセントの雇い主もディオンが開発し、すでに運用している警察ロボットシリーズには、自らの意志で考える能力を付与することを許していないところを見るに、ヴィンセントと似たような考えの持ち主であって、会社の経営者としても、けっこうまともな経営判断があるように見える。

もちろんそれは、予算や利益を上げるための考慮をしたうえでの判断でもある。ヴィンセントの開発したロボット=ムースは高出力・高火力すぎてコストがかかりすぎるってのが不採用の理由だったし。

ムースはカッコいいロボットだ。

余談だけどもこのムースは、武器をたくさん搭載してて、カッコいい。空も飛べるしかなりの戦闘力。でもこれって、人間の暴力行為を鎮圧するには不向きだなって思った。小回り利くようでいてそれほどスピードがあるわけでもないし、というか、武器が人を殺すにはオーバーキルすぎるものばっかりだし、重量過多だよね。あれだったら、チャッピーみたいなタイプが採用されたのもわかる。でも、なかなかロマンを感じる、カッコいい兵器ではあったな。

ディオンはけっこう自分勝手な技術者

閑話休題。ロボットが人間の能力を越えちゃうかもっていう懸念についての話に戻ると、実はディオンはこの点を全く考慮に入れていない。一番自己本位な人間で、自らの知的好奇心などを重視したことによって、会社に無断でチャッピーを生み出すわけで、ある意味では迷惑な奴なのだ。こいつのこの好奇心がなければ、物語が展開していかないわけではあるが。

ディオンはロボットに自ら考える力を持たせたかったようだが、意識や自我を持たせることはあまり意図していなかったようだ。であるから、チャッピーが死を意識できる存在、つまり人間同等の存在になったことに驚いていた。そうなるとよくわからないのは、ディオンはいったい、チャッピーに何をもたらせたかったのかということだ。自ら考える力を得るためには、自我というのか、自己意識というのか、ともかくそんなもんが必要なはずなんだけどなぁ。

心と魂のある存在

てことで考えられるのは、ディオンの想像を超えてチャッピーにもたらされたものは、チャッピーの母親役を担ったギャングの女性が言うように、魂とか心なんだと思われる。ただ、心ってのは言葉を使って自我があれば、それが心みたいなもんだと感じるので、魂が一番適当ではありそうだ。

で、個人的にはこの魂が云々って話と、死を意識する存在という時点で、チャッピーはもはや、生物的には異なるとはいえ、存在としては人間と同じ何だと思う。容姿と身体的特徴以外は、ほぼ同じだ。

それはラストで、ディオンが肉体を離れて、チャッピーと同系のロボットになることでもわかる。

で、このラストで描かれる内容は、かなりすごい出来事だ。だって、ディオンもチャッピーも、バッテリーが維持されて身体が故障しなければ、永遠に生きられるわけだからね。チャッピーの母親役となる女性もロボットにされてたから、彼女もだ。

個人的には自分の肉体からロボットの肉体に移動した自分という存在は、“本当に自分なのか”というところが俺にとっては大きな疑問として残る部分なんだけど、それがどういう疑問なのかを説明するのは過去の別記事でけっこうしてきたので、興味がある方は下記のURLからどうぞ。

存在とかへの私的な疑問

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