オーヴァーヒート 最後の制裁/チャイナ・ヒート 極悪強盗団vs特別捜査隊
1990年代の中国で強盗殺人を繰り返してた犯罪グループとそれを追う公安警察の戦いを描いた実話をもとにした作品。今ほどに発展してない中国の地方都市の雰囲気が良いものの、ダニエルウーの髪型は何とかならんかったのか(笑)。ネタバレあり。
―2020年製作 中=香 95分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:公安局のジョンは地方都市の警察署に異動となるが、デパートを襲った武装グループに拉致される。解放されたジョンにとって現地での初仕事は犯罪特捜隊を率いて、逃亡したグループを追うことだった。グループは6人組で、以前から同じ手口の犯行を繰り返し、金品を奪ったり、そのために人殺しまでしたりしていた。グループは大胆不敵にも以後、数カ月のサイクルで大事件を起こし続けるが、警察は捕まえられず……。(amazon)
監督・脚本:ラウ・ホー・レオン
出演:ワン・チエンユエン/ダニエル・ウー/ジェシー・リー/ミシェル・ワイ/ワン・チャオベイ
ネタバレ感想
レンタルで鑑賞。中国で実際に起きた犯罪を基にした物語らしい。ラスト、中国映画にありがちな、お上や権力が頑張って人民のために頑張っておるのだ自慢がこの作品にもあって、そこが萎えるんだけども、今作は香港との合作ってことで、大陸臭は多少抑えてあったような気もしなくもない。
でもまぁ、権力の威信を背景に滲ませないと作品が出しづらい環境ってのは嫌なもんですな。
物語は実話をもとにしたとはいえ、マイケルマンの大傑作『ヒート』のオマージュが色濃く感じられる作品であった。あと、ラストバトルはクローネンバーグ監督の『イースタンプロミス』のサウナバトルかなぁ。あのバトルは全裸でやりあってたような記憶があるが、今作では一応、腰にバスタオルを巻いてた(笑)。
で、ヒートのオマージュと感じられるのは、ダニエルウー演じる強盗チームのボスと、公安刑事のオッサンが二人とも切れ者で、そのやり取りなんかも恐らく同作の影響があるんだろう。
が、ヒートほどに二人の男のライバル関係やお互いの存在を認め合うような描写はなく、周辺の登場人物含めてその背景をもっと描けていたら、今作もかなり面白くなったのではなかろうか。
序盤こそ上記のような展開を予想させてけっこうおもしろいし、物語への期待が湧いた。特にうどんを食うシーンなんかはかなりいい。ところが、そこから犯罪チームのほうが金がないからヤマを叩かざるを得なくなって勝手に焦って自滅してった感があって、なんか物足りない。
しかも、そうしたチームを10年も追い続けちゃってる公安が切れ者刑事がいるのに、むしろダメさを感じさせちゃって、もったいないなぁ。
ダニエルウー演じるボスはなぜか前髪が少なくて眉毛も薄くてなんだか変なんだけど、元がカッコイイからそれなりに様になっている。情け容赦なく人を殺して金品を奪っていく強盗たちが見せる銃撃戦なんかはけっこういいんだけど、何か物足りなさがあるのも確か。
ただ、今ほどには発展していない中国の地方都市の街並みは日本の昭和を観るような懐かしさがあって、ノスタルジィ感じさせてくれた部分はよかったなぁ。
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