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映画『君の名前で僕を呼んで』ネタバレ感想 エリオの青春物語

君の名前で僕を呼んで
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君の名前で僕を呼んで

冒頭から中盤まで、80年代のイタリアで悠々自適な生活をする教授一家の羨ましい生活に引き込まれる。読書して飯を食って、泳ぎたいときに泳ぐ。自然に囲まれたエリオたちの暮らしに羨望を感じる。しかし、それ以降、彼の想いが成就されてからは少しだるい。でも、ラストの親父の言葉は、同性愛者だけでなく誰にも当てはまる内容になってて、そこがいい。ネタバレあり。

―2018年公開 伊・仏・伯・米 132分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:数々のメディアから絶賛されたアンドレ・アシマンの同名小説を映画化。1983年の夏。両親と一緒に北イタリアのヴィラで過ごしていた17歳のエリオは、大学教授の父の研究を手伝う大学院生、オリヴァーと出会う。やがて2人は惹かれ合うようになるが……。主演のティモシー・シャラメ(「インターステラー」)は、数々の映画賞を受賞し、本作で一躍注目の存在に。共演のアーミー・ハマー(「コードネーム U.N.C.L.E.」)もゴールデン・グローブ賞候補になるなど、高い評価を受けた。メガホンを取ったのは、「胸騒ぎのシチリア」のルカ・グァダニーノ。「眺めのいい部屋」のジェームズ・アイヴォリーが脚本を執筆している。(KINENOTE

あらすじ:1983年の夏。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、例年のように両親と一緒に北イタリアを訪れ、母が相続した歴史あるヴィラで過ごしていた。父パールマン(マイケル・スタールバーグ)は、アメリカで教鞭を取るギリシア=ローマの美術史学専門の大学教授で、母のアネラ(アミラ・カサール)は翻訳家。自然に恵まれた環境の中で、エリオに高い教養に身に付けさせたいという両親の考えにより、クラシック音楽を編曲したり、ピアノやギターを演奏したり、読書をしたり……。その一方で、時には夜遊びをしたり、近くに住むフランス人のマルシア(エステール・ガレル)とふざけ合ったりするのが、エリオの夏の過ごし方だった。そんな彼の前に、アメリカからやってきた24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)が現れる。エリオの父は毎年、研究を手伝ってくれるインターンをヴィラに連れてくるのだが、オリヴァーはそのインターンだった。エリオの隣の部屋に泊まることになったオリヴァーは、これまでのインターンよりも知的で、振る舞いも自信に溢れているように見えた。そしてある日、マルシアやキアラ(ヴィクトワール・デュボワ)らと共にバレーボールをしている最中、冗談半分のようにオリヴァーがエリオの裸の肩に触れる。これを機に、互いの存在を意識するようになる2人。時に意地悪をしたかと思えば、互いに気を引こうとしてキアラやマルシアを誘ってみたり……。エリオとオリヴァーの間には、まるで不思議な磁石があるように、引きつけ合ったり、反発したりを繰り返した。そして、ある王女に熱烈な恋をした騎士の物語をアネラが読んでくれたことをきっかけに、ついにエリオはオリヴァーに自分の想いを打ち明ける。オリヴァーも同じ気持ちを抱いていた。まばゆい夏の光の中で、激しく恋に落ちる2人。しかし、夏の終わりと共に、オリヴァーの去る日が近づいていた……。(KINENOTE

監督:ルカ・グァダニーノ
脚本:ジェームズ・アイヴォリー
原作:アンドレ・アシマン:(『君の名前で僕を呼んで』)
出演:ティモシー・シャラメ/アーミー・ハマー

ネタバレ感想

ともかく中盤までの、エリオの貴族的な暮らしが羨ましい。いいねぇ。知識人の両親から教育を受けているので、彼には芸術的な素養があり、楽器も扱える。そんな彼が、多感な青春時代を過ごしていたら、ギリシア彫刻みたいなアメリカ人の登場によってホモセクシャルな性愛を体験することに。

中盤以降のエリオとオリヴァーのネチョネチョシーンは正直、キモイ。もう少し短い尺でやってもらいたいと思った。でも、あの尺の長さがあってこそ、ラスト近くでエリオの親父の述べる内容に感銘を受ける――という意味では、必要な長さなのかもとは思う。

それでも、やっぱりもう少し短くてもよかったのでは。それは、俺が同性愛者ではないからそう思うのかも知らん。個人的には、男同士の友情の中にも、ああした情愛を孕んでいる可能性があることは否定しない。それでも、実際に体験したいとは思わないし、できればそういうシーンは女性同士の絡みで観たいと思う人間なので、やっぱり中盤以降のシーンはきつかった。

この映画においての個人的好感度の高いポイントは、先にも述べた、エリオの親父が少し長めに自己の想いを述べるラスト近くのシーンだ。あの言は、親父自身が同性愛者であり、それを体験したエリオを羨望の想いも込めて肯定しつつ、同性愛者に対してだけでなく、すべての人間を肯定するような内容であったように思う。

ある程度の人生経験を経た人間が、若者に対して何かを言っているシーンに思える。少なくとも俺はそういうように理解した。だから、この映画はできるだけ若い人たちが鑑賞しておくと、より感銘を受ける内容だったのではないかと。

俺が中年だから何も得るものがなかったとか言いたいのではない。ただ、若さがあるうちに、世間の常識なんぞとは関係ない場で、自身が存在するからこそ得られる様々なことを享受できたほうが、人生面白いだろうなと思う。そしてそれを享受する年代は、若ければ若いほどいいーーということを言いたいだけだ。

本作のエリオの親父は自分が同性愛者であることを息子に告白していて、それを踏まえてのああいう言葉であったけども、そんな狭い解釈で理解するにはもったいないくらいに、万人に通じることをあの親父は言っていると思った。

貴族的生活ができるってそういうことでもあるんだな。つまり、余裕があるんだ。だから、自分のことだけでなく、他人のことも考えられる。

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