[リミット]
生きたまま棺桶に入れられて地中に埋められちゃった男が、ジタバタしながら脱出を試みるシチュエーションスリラー。ネタバレあり。
―2010年公開 西 95分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:理由もわからず突然、土中の箱に閉じ込められた男が、死へのタイムリミットが迫る中、わずかな道具を頼りに脱出を試みるシチュエーションスリラー。主演は「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のライアン・レイノルズ。スペインの新鋭監督ロドリゴ・コルテスが、ほぼ全編暗闇の中で展開する異色のドラマを作り上げた。(KINENOTE)
あらすじ:イラクで働くアメリカ人トラック運転手のポール・コンロイ(ライアン・レイノルズ)は、突然何者かに襲われる。しばらく意識を失っていた彼が目を覚ましたのは、閉ざされた箱の中だった。しかもその箱は、土に埋められているらしい。容易には脱出不可能な状況の下、箱の中に残された空気で生命を維持できるのは、わずか90分程度であることに気付く。手元にあるものは、充電切れ間近の見慣れない携帯電話に加えてライター、ナイフ、ペン、酒。死は毎秒ごとに忍び寄ってくる……。果たしてポールは脱出できるのか?そして、彼がそこに埋められた理由とは……?(KINENOTE)
監督:ロドリゴ・コルテス
出演:ライアン・レイノルズ
ネタバレ感想
90分くらいの尺がすべて棺桶内のシーンで進んでいくため、物語展開に派手さはない。主役を演じたライアンレイノルズのワンマンショーみたいなもんなので、彼が演技うまくないとダメなんだと思うが、その辺はさすがだ。退屈させられずに鑑賞はできる。
終始棺桶内での出来事が描かれるわけだから、やれることなんてたくさんはなくて、基本的にはレイノルズ演じるコンロン氏が、方々に電話をかけて救出を要請するだけの話だ。そこに、蛇が忍び込んできたり爆撃が起こったりするちょっとした事件が挿入されてくる。それでもラストまで興味を惹かれて観られるのは、コンロン氏がこの棺桶内からどうやって脱出するのかというシチュエーションにある。
閉鎖空間の中でジタバタする主人公に最後まで感情移入し、彼や電話の送話口の向こうにいる相手の言動にイライラしたり、ときにはハラハラしたりしてる間に上記したような出来事が起こる。そして迎えるラスト。いろいろありながらもコンロン氏に感情移入し、彼の脱出を心待ちにしていたら、なんと、彼は救出されないのである。生き埋めご臨終のバッドエンドなのだ。おおぉ、酷い。気の毒すぎる、畜生。
何だかんだ言って救出されるだろと思って鑑賞していたので、このラストを選んだ作り手は性格悪いなと思わなくもない。または、地中に埋められてたと思わせてて実はそうではなかったんです。というどんでん返しかなとも想像したんだけど、そんなこともなくて、地中生き埋めご臨終エンドという。
じゃあそんなまでして何を描いたかというと、海外進出したアメリカ企業の銭ゲバ鬼畜ブラック会社ぶりとか、FBIだの人質救出機関の使えなさとか、その辺を風刺した感じだろうか。あとは、民間人を的にするテロリストを非難しているとも考えられる。
上記のようなことを描いているのだとしたら、なかなか社会派って感じの内容で、それはそれで示唆的ではあるものの、じゃあ激賞できる内容かって言われたらそんなことはない普通な作品。こういうシチュエーション系の作品ってアイデア勝負みたいな感じなところあるから、登場人物への感情移入度が作品の良しあしを左右するように思う。
その意味ではライアンレイノルズはすごいなとは思った。しかしまぁ、携帯の電池は最初50パーセントくらい残量があったと思うけど、けっこう持ったよなぁ(笑)。鑑賞者をハラハラさせるためにワザと少なめな設定にしたんだろうけども、最後までしっかりつながり続けるんなら、別にあんな少なくしなくてもいいような。しかも、最後なんて雀の涙しか残ってないのに、かなり何本も電話かけてるからね。ついでに、電波が通じたり通じなかったりも都合がよすぎ。
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