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映画 ブレインストーム ネタバレ感想 クリストファーウォーケンが死の記憶を追体験

ブレインストーム
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ブレインストーム

他人の知覚や記憶を体験できる装置を開発した研究チームが、軍の介入を受けて研究を奪われるのを阻止する話かと思いきや、主人公がその装置を使って、同僚の死の記憶を追体験をすることに比重が置かれる珍作SF。ネタバレあり。

―1983年製作 米 106分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:人間の思考、記憶、感覚を伝導するマシーンをめぐるSFサスペンス。撮影途中の81年11月29日に、出演者の一人ナタリー・ウッドが急死したため製作続行か中止かでもめダグラス・トランブル監督(製作も)の熱意で完成された作品。エグゼクティヴ・プロデューサーはジョエル・L・フリードマン。ブルース・ジョエル・ルービンの原案に基づいて、ロバート・スティッツェルとフィリップ・フランク・メッシーナが脚色。撮影はリチャード・ユーリシッチ、音楽はジェームズ・ホーナーが担当。特殊ヴィジュアル効果はエンターテインメント・イフェクツ・グループ(EEG)が手掛けている。出演はクリストファー・ウォーケン、ナタリー・ウッド、ルイーズ・フレッチャー、クリフ・ロバートソンなど。通常場面は35ミリ・パナビジョン、幻覚場面は70ミリ・スーパー・パナビジョンで撮影。メトロカラー、ビスタサイズ。日本版字幕は戸田奈津子。1983年作品。(KINENOTE)

あらすじ:ノース・カロライナ州のエヴァンス電子研究所は、科学技術の最先端をいく複合未来産業であった。そこでは画期的な実験が行なわれていた。女性科学者リリアン・レナルズ博士(ルイーズ・フレッチャー)をチーフにした研究で、1人の人間の記憶・知覚を他人に伝達するマシーンを開発しようというのだ。レナルズの良き片腕であるマイケル・ブレイス(クリストファー・ウォーケン)がヘルメット型のマシーンをかぶり、実験を続けている。この知覚伝達はブレインストームと名付けられていた。ブレインストーム開発プロジェクトが会社のオーナー、アレックス・ターソン(クリフ・ロバートソン)の支持でスタートしたのが、ほぼ10年前。研究は完成に近づきつつあった。レナルズ、ブレイス、そして研究助手ゴーディのチームに、デザイナーとしてカレン(ナタリー・ウッド)が参加。カレンはブレイスの妻だが、2人の仲は冷えきっていた。研究の完成を聞いたターソンは、重役会を招集して、マシーンを披露する。この研究に軍部が介入して来た。人間の脳から直接、攻撃を指令することが可能になるわけだから、軍部が目をつけるのも当然。しかし、レナルズはこの研究の軍事転用に強く反対する。そんな折、研究仲間のハルが、グラマー美女にかこまれたブレインストームのテープをかけ、心臓麻痺をおこしかけた。心労がつのっていたレナルズは夜、1人で研究中に心臓発作に襲われ、必死でブレインストームのマシーンをかけて、死亡するまでを記録する。彼女の死を契機に、軍は直接、研究室に乗り込み、軍事転用のための研究を始めた。この間にブレイス夫妻の関係は好転していた。マイケルは退職したハルの協力を得て、研究室の設備を離れたホテルから遠隔操作、軍事用ブレインストームのヘルメットや機械が破壊されていく。軍部は必死にマイケルを追う。彼は妻の待つライト兄弟記念博物館へ行き、2人は抱きあうのだった。(KINENOTE)

監督:ダグラス・トランブル
出演:クリストファー・ウォーケン/ナタリー・ウッド/ルイーズ・フレッチャー/クリフ・ロバートソン

ネタバレ感想

驚異の知覚伝導装置

アマゾンレンタルの説明で「驚異の”知覚伝導装置=ブレインストーム”人類はついに未知の世界へ旅立つ。」なんて書かれていたので興味を惹かれて感想。知覚伝導装置だよ、すごいじゃん。冒頭ではその通り、クリストファーウォーケン扮するマイケルが実験体となって、同僚が体験している食事を、自分自身も体験しているシーンが描かれる。ついでに、同僚が悪ふざけして、動物実験用のチンパンジーとマイケルの知覚をつないでて、それにも成功してた。

これはすごい。つまり、今でいうVRみたいなもんでしょ、この装置。しかも、実際に食べたものの味が感じられるんだから、リアルな世界でのVRよりも先を行ってる。それだけでなく、この装置はある人間の体験をビデオみたいにダビングしておけば、リアルタイムでなくても、その記憶媒体にアクセスすれば、それを体験できる。

そうなんである、この装置、知覚だけでなく人間の記憶も追体験が可能なのだ。つまり他人の思い出すらも、ダビングをしておけば自分が体験できるのである。たぶんそうであるなら、他人の夢ですら体験できるんじゃないかと思っちゃう。すごくね?

作中ではこうした装置の開発が成功したために、研究費も上がっていったようなんで、このVRゴーグルみたいなんが、デカいヘルメットみたいのから、ヘッドホンより小さいものに進化しちゃう。すごいのが、プロトタイプのときからこの装置は、VRゴーグルみたく視覚を頼りにしないで、他人と同じ体験ができちゃうのだ。つまり、直接に被験者の脳に働きかけて、他人の感じているそれを、自分も感じることができる装置なのだ。すごいよね?

装置争奪戦かと思わせて、マイケルとカレンのロマンス話に

まぁそんな優れた装置であるから、軍がこの装置を軍事的に利用したいと思うのは当然だろうし、金に目のくらんだ有象無象が介入したがるのもありそうな話で、実際にこの物語は、そうした輩から主人公たちが抗う話なのかなぁと思わせるような展開になる。

その一方で、マイケルは奥さんのカレンとの関係が冷え切っていて、その関係を何とか取り戻すためにこの装置を使って、過去、二人が熱々な関係だった頃の思い出を共有することで愛を復活させるというエピソードが盛り込まれる。この辺から自分の思うのとは違う展開になっていっちゃった感じ。

というか、このシーンのおかしいのは、マイケルがカレンと楽しく付き合っていた頃の映像が、第三者の目線で映像化されていることだ。これはおかしい。マイケルの体験としての記憶なんだから、普通は自分の目から開けた世界として描かれるべきなのに、そうではないんだからね。

まぁでも、その辺の野暮なツッコミはいいとして、この出来事以降は、軍VS開発者の装置争奪戦みたいなのが描かれないわけではないんだけども、どっちかといえば話の比重は、マイケルとカレンの愛情物語になってっちゃうのだ。

死を体験するマイケル

そのもう一つのきっかけになるのが、開発者のリーダーであるリリアンが持病によって死んじまうエピソード。彼女は発作に苦しみながら装置を作動させ、なんと、自分の体験を記録した後に絶命してまうのである。

そんな形見を受け取ったマイケルはその記録を体験しないわけにはいかない。であるからそれを体験する。しかし、彼女が死を体験しているわけだから、それと同じ体験をしたら彼も死んでしまうわけで、であるから、装置のいくつかの回路を切ることによって、痛みを感じずにリリアンの死を体験することになったマイケル。それは死に際に観るという走馬灯のようなものでもあり(作品内では、各記憶の断片が泡のようになっている表現だったが)、臨死体験のようなものでもあった。

しかし、途中で軍の奴らの邪魔が入って装置が使えなくなったマイケルは、しかし研究者としての熱ゆえに、その体験の続きがどうしてもしたくなり、仲を取り戻したカレンの力も得て、なんとか装置を使ってリリアンの記憶を最後まで体験しようと試みるのである。

ラストってあの作品と同じじゃね?

この時点ですでに俺の予想とは全然異なる目的で主人公は動いているわけだが、よく考えたらそれは俺のした予想であって、もしかしたら製作者たちは最初からその展開を意図してたと言えなくもない。いずれにしても、軍の奴らがバカすぎて、ツッコミどころ満載ではあるのだが(笑)。

ともかく、何とかリリアンの死を最後のほうまで体験したマイケル。その行きつく先は、何やら宇宙の創成みたいなイメージ。あまりにもそちらの世界に入り込み過ぎて戻ってこれなくなりそうなマイケルであったが、カレンの呼びかけによって、リアルな世界にカムバック。二人は抱き合い、その絆を確かめ合うのだった――。

て、このラストってあれじゃんね。『アルタードステーツ未知への挑戦』と同じじゃね(笑)? 俺はあっちの作品のほうが好きだけど、これはこれで、なかなか楽しめる作品ではありました。

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