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映画 3-4×10月 ネタバレ感想 便所の中の白昼夢

3-4×10月
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3-4×10月

草野球チームに所属する男がヤクザとイザコザを起こし、周囲を巻き込みながら破滅に向かっていく。後の『ソナチネ』に続くような類似性が観られる、北野武監督のバイオレンス作品。ネタバレあり。

―1990年公開 日 96分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:ふとしたことから巻き起こった草野球チームと暴力団との抗争を描く。脚本・監督は「その男、凶暴につき」の北野武。撮影は「cfガール」の柳島克己がそれぞれ担当。(KINENOTE)

あらすじ:ガソリンスタンドに勤めている雅樹は、野球チーム“イーグルス”に所属している。試合が終わってガソリンスタンドに戻った雅樹は、暴力団大友組組員・金井の車の洗車を押し付けられるが、トロい雅樹はウロウロするばかり。逆上した金井に殴られた雅樹は、負けじと殴り返そうとするが軽くいなされてしまう。さらに金井は「骨が折れた!」と騒ぎ出し、ガソリンスタンドをゆするのだった。そんな時、元大友組組員のスナック“イーグル”のマスター・隆志は、雅樹とガソリンスタンドを救うために立ち上がる決心をするが、逆にやられてしまう。そして対立は、大友組とイーグルスの抗争に発展する。雅樹は拳銃を手に入れる為、イーグルスの仲間・和男と共に沖縄へ向かう。そこでふとしたことから出会った二人のチンピラヤクザ上原と玉城と行動を共にする雅樹らは、上原に金を渡して拳銃の入手を頼み込む。こうして拳銃を手に入れた雅樹と和男は東京に戻るが、隆志は行方不明。結局、和男と朗、それに雅樹の三人は、拳銃を片手に大友組の様子を探りに行くが、和男と朗がメタメタにやられてしまう。一人逃げ延びた雅樹は、ガソリンスタンドからタンクローリーを盗み、恋人・サヤカと共に大友組の事務所に突っ込んでいく。だが、それはすべて雅樹の夢だった。そして雅樹はまたエースで3番の野球に帰っていく。(KINENOTE)

監督・脚本:北野武
製作:奥山和由
出演:小野昌彦/石田ゆり子/井口薫仁/飯塚実/芦川誠/小沢仁志/青木隆彦/鈴木浩/松尾憲造/井手博士/芹沢名人/井川比佐志/ベンガル/渡嘉敷勝男/ビートたけし/豊川悦司

ネタバレ感想

レンタルで鑑賞。北野作品はすべて鑑賞していて、本作の初見はかなり以前、20代の頃に見た。その当時は特に印象に残るような内容でもなかったのか、個人的にはわけがわかんない作品ーーという印象のまま放置されてたんだけども、後の北野作品のいろいろに通じる内容だし、特にわけのわからないこともなく、当時の俺はこの作品の何を見ていたんだろうかと思わないでもない(笑)。

まぁしかし、その辺はこのブログでたまに「この映画ちゃんと観たの?」とコメントで指摘されるくらいに目が節穴な人間なので仕方ないし、他人には関係のないことだ。

ということで、本作はこの作品の次の次に撮られた『ソナチネ』と似たような話。主人公がヤナギユーレイかビートたけしかってとこが違うくらいで、自殺願望的な死を迎えようとするところなんかは、ほぼ同じ。というか、その他の作品とも通底しているとこが散見される。

ヤナギユーレイ扮する主人公は若いながらも何というか、空っぽのような人間に俺には見えて、特に将来への希望もなく、無為に無気力に生きているように見える。

組織には馴染めないようで、草野球チームでも何だか浮いた存在。バイト先のガソリンスタンドでも同じく。そして、ラストを観るに、そんな彼が便所の中で夢想した、理想の生き方と死に様が表現された白昼夢だったみたい。

これって話を夢オチにしなければ、やっていることはある意味で『ソナチネ』と一緒だなぁって思っちゃう。多少描かれているテーマは違うのかもしれんが、ともかく夢オチにしちゃったことで、テーマ性みたいのが消えちゃっているような感じがするのだ。

なぜなら、主人公が夢想ではなく、現実にそのように振る舞い、死んでいったーーというオチにすることで現れてくるような破滅願望や、人に対する愛情や友情みたいな美的部分や人間心理の奥深さが、ダメ人間が仮設トイレで夢想した単なる妄想でしたってなっちゃうことで、奥行きが薄まっちゃってるように感じるから。

とは言っても、若き日の石田ゆり子が見れたり、たけしの暴力が服を着たような存在感のあるヤクザぶりなどはかなりヨロシクて、たけしの部下である渡嘉敷勝男との絡み(文字通り穴を掘られちゃいそうになる絡みもあるw)なんかも、ぶっ飛んでて笑える。

たけしの演じるヤクザの暴力の塊的存在感と、だがしかし、主人公らに見せる優しさのギャップなどは、なんというか、監督自身の人間性を感じさせる。

あと、たけし演じるこのヤクザが、愛人に対して理不尽な対応をするところ、特に執拗に頭を叩くシーンなどは観ていて本当に嫌さがあって、おっかない。

この作品においては、石田ゆり子以外の女性に対する扱いがぞんざい過ぎて、ある意味そこが笑いにつながるシーンもあるんだけども、現代においては受け入れられない部分かもしらんですなぁ。

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