ボヘミアン・ラプソディ
誰もが一回は耳にしたことのある名曲を出し続けたロック・バンド、クイーンのメンバー、フレディ・マーキュリーの生涯を題材にした作品。作品そのものは事実に基づいていない部分もあるらしい。内容に特筆すべき部分はないけども、クイーンの曲が素晴らしいということがよくわかる、貴重な映画体験ができる作品。ネタバレあり。
―2018年公開 米 135分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ブライアン・シンガーがメガホンを取り、伝説のロックバンド“クイーン”のリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生き様を描く音楽ドラマ。既存の音楽を打ち破り、世界中で愛されるエンターテイナーとなったフレディ。その活躍の裏にあったものとは。フレディ役を熱演したのは、『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』でエミー賞を受賞したラミ・マレック。(KINENOTE)
あらすじ:レディ・ガガが“史上最高の天才エンターテイナー”と讃え、ケイティー・ペリーが“今も最も影響を受けている”と語るミュージシャン。それが伝説のバンド“クイーン”のリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーだ。その名を知らずとも、『ボヘミアン・ラプソディ』、『伝説のチャンピオン』、『ウィ・ウィル・ロック・ユー』といった名曲をほんのワンフレーズ耳にしただけで、たちまち誰もが心浮き立ち、歌い出さずにはいられない。いかにしてフレディは、世間の常識や既成概念に逆らい、従来の音楽を打ち破り、世界中から愛されるエンターテイナーとなったのか?なぜ愛と孤独、プレッシャーに引き裂かれたのか?そして、崩壊寸前に陥ったバンドを立て直し、永遠のレガシーを確立できた理由とは……?20 世紀最大のチャリティコンサート“ライブ・エイド”で、音楽史に残る史上最高のパフォーマンスを披露した彼らの華やかな活躍の裏には、誰も知らない物語があった……。(INENOTE)
ネタバレ感想
俺はクイーンに思い入れがあるわけではない。ないけども、いくつかの曲は知っていて、この作品を鑑賞したことで、やっぱりこのバンドの曲は素晴らしいんだなと再認識した次第。
鑑賞前は、バンドの内実や主人公のフレディ・マーキュリーがいかなる人物かは全然知らなかった。本作は事実を忠実に再現できているわけではないらしいので、ノンフィクションとしてとらえていいのかはよくわからんが、フレディの人生の浮き沈み加減は他のアーティストのそれと似通っているような感じがした。
作品を鑑賞したうえで言えるのは、フレディは天才的な才能を発揮できるアーティストとしての素養を十分に備えていて、常に、そのたびごとに妥協のない作品を、本気で、全力で創作し続けていたということだ。
そして、彼の能力を認め、その力を信じながらも、構成員の一人として自分の意見もきちんと発してくれる各メンバーがいたからこそ、このバンドは素晴らしい曲を世に出し続けることができたということだろう。
フレディはメンバーのことを、家族のように思いながらも、その家族を自らの視野の狭さで捨ててしまい、しかし、その存在のかけがえのなさに気付いて復帰を遂げるまでが描かれる本作品は、それぞれが固有の代えがきかない存在であるがゆえに、孤独に勝てない弱さや、自己愛により他人に不寛容になってしまいがちな人間の弱い心を垣間見せるシーンが随所に観られる。
なぜクイーンの曲が聴衆の心をつかみ、前を向くを与えるのか。それはフレディの創出するものが、彼がそうせざるを生きていけないくらいに苛烈な思いで吐き出した血の表現だからだろう。
クイーンの曲は、真に血の通った、魂のこもった作品だからこそ上っ面ではない感動を人に与えるのだ。そして、その曲に踊り狂った人間の人生すらも変えるのである。人の心に届く普遍性があるのだ。
以下は単なる個人的雑談
ということで、立川シネマシティの極音だか極爆だか忘れたけど、でかい音で上映される回で鑑賞できたのは、とてもいい映画体験でした。
俺はあんまりライブとかに興味がなくて、コンサートに足を運んだことあるのはクラシック音楽くらいなんだけど、何でみんなが好きなアーティストのライブにのめり込むのか、中年になった今になってなんとなくわかったのである。
本来は誘った女性と2人で本作を観に行くはずだったんだけど、いろいろあって来なくなった彼女の席をキャンセルしたところ、ものの数分でその席は埋まってしまったくらいにこの作品は人気があるようだ。
本来隣にいるはずだった人がいなくて一人で鑑賞することになったので、余計に本作の曲が身に染みる部分も(笑)。人生てのは不条理なもんで、己の望むようになんて行かないけども、それでもこの作品のフレディのように、いずれは自らの意志で決断して人生を転がしていかないと、いつまでたっても同じようなところで停滞してて、何も先に進めなくなってしまうんだろう。
だから、戦う前に戦(いくさ)に敗れたような状態になって悲しかったけども、それはそれ。この先どう転がるかなんてわからない。
また前に進むことで、これまで俺が蔑ろにしてきた人たちのために何かができるわけではないが、いずれはこのブログのテーマである”人生を半分降りる”生活にこぎつけたいと思うのである。
その原動力を得られる鑑賞体験でした。まずは尻拭いばかりで物事が進まない今の仕事にいい加減ウンザリしてきたし責任持てなくなってきたので、辞めて生きられる道筋があるか、仕事をちゃんとしながらも、別の道もちゃんと考える! なければまたどうするか考える。他人にしてみれば本当にどうでもいい話だね(笑)。
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