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映画 真夜中の虹 ネタバレ感想 カスリネンとミッコネン

真夜中の虹
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真夜中の虹

職を失くした炭鉱夫のカスリネンは、町を捨てて南に向かうことに。金がないのでその日暮らしをしている中で、恋人をつくったり、ムショに入れられたりジタバタしつつも、希望の地を目指して頑張る話。実にカウリスマキ的なカウリスマキ作品。ネタバレあり。

―1988年製作 芬 74分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:南への渇望を抱く主人公の放浪をロード・ムーヴィーの形を借りて描くハードボイルドロマン。製作・監督・脚本を兼ねるのは「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」のアキ・カウリスマキ。撮影はティモ・サルミネンが担当。出演はトゥロ・パヤラ、スサンナ・ハーヴィストほか。(KINENOTE)

あらすじ:家無く職無く、自殺した父のキャデラックでカスリネン(トゥロ・パヤラ)は一路南へ--。ヘルシンキへ向かう途中のドライヴ・インで有り金奪われて途方に暮れている時、婦人警官のイルメリ(スサンナ・ハーヴィスト)と出会い、彼女とその息子リキ(エートゥ・ヒルモカ)に奇妙な愛情を抱く。金に困りキャデラックまで売ってその日暮らしの中、偶然金を奪った相手を見つけ殴りかかるが、逆に警官に取り押えられ刑務所入り。が、同室のミッコネン(マッティ・ペロンパー)と共謀してまんまと脱獄に成功。キャデラックを奪い返し、イルメリとは簡易結婚式を挙げ、銀行強盗までして資金稼ぎをしながら国外脱出を企てる。しかし、メキシコ行きの夢も空しく相棒のミツコネンは闇屋に殺される。しかしカスリネンはあきらめない。ミッコネンの遺体を彼の遺言通りゴミ処理場に埋めると、虹の彼方、南を目指し、イルメリとリキを乗せた車でメキシコ行きの船、アリエル号へ向かうのだった。(KINENOTE)

監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ
出演:トゥロ・パヤラ/スサンナ・ハーヴィスト/マッティ・ペロンパー/エートゥ・ヒルモカ

ネタバレ感想

結末までの適当なあらすじ

主人公は元炭鉱夫のカスリネンという男。彼は親父とともに炭鉱で働いていたが、そこが廃坑になっちまって、職を失っちゃう。親父はカスリネンに自分の中古車をプレゼントして、自殺。なんとも無責任ではあるが、カスリネンはさほど悲しむ様子もなく(笑)、有り金をすべておろして南へ向かうことにするのであった。

でまぁ、有り金は暴漢に襲われて盗まれちまって、定職にもありつけず、日雇い労働者として働きつつ簡易宿泊所で寝泊まりしてたカスリネン。なぜか偶然に子持ちの女性イルメリと知り合い、なぜか意気投合し、しかも子どもにもソコソコ好かれてるっぽくて、その辺は雑な展開に見えなくもないが、彼の人生にそれなりの希望が見えてくる。

ところがある日、自分から金を奪ったチンピラを偶然みつけて、懲らしめるために襲い掛かったら、なぜか自分が逮捕されて、しかもムショ送りに(笑)。これは酷い。酷すぎる。盗人を懲らしめただけなのに、フィンランド恐ろしすぎ。あの辺の雑な展開もよくわからんが、ともかくムショで臭い飯を食うことになったカスリネン。

そこで同部屋になったのがミッコネン。こいつは本当か嘘かわからんが、殺人の罪でぶち込まれちゃってて、娑婆に出られる見込みがないらしく、何だか達観してる感じ。ところがけっこうイイ奴で、カスリネンとは気が合う。一方のカスリネンのもとにはイルメリが面会に来てくれてて、イルメリもまた、イイ奴ですな。

でも、カスリネン、ある日刑務官にバカにされたことに怒り、暴力をふるったせいで刑期が伸びちゃう(バカすぎ)。ところが、イルメリがくれた差し入れの中には、脱獄用のドーグが隠されていたのだ! そこでカスリネンはミッコネンと協力して脱獄を決行! あっさり作戦に成功し、呑気にもミッコネンを媒酌人としてイルメリと結婚! 今度は逃亡のための費用をかき集めねばならんくなった。

それで、裏社会の奴に偽造パスポートを手配してもらう代わりに、銀行を襲うミッションを請け負うことに。これまた実に杜撰かつ雑そうな強盗が成功裏に終わるのだ。やったね! で、金を組織に収めてパスポートを受け取るなどしようとしたら、揉め事になっちゃって、ミッコネンが撃たれちゃう。

カスリネンは何とか組織の奴らをぶっ殺して、金とパスポートを奪い、イルメリと合流。瀕死のミッコネンの望み通り彼を葬ると、イルメリとその息子と共に、メキシコ行きの船にのるべく、海に出るのであった。というのが適当なあらすじ。

アキ・カウリスマキ監督作品

レンタルで鑑賞。カウリスマキ監督の作品は、短い時間できちんとまとめられているところがよい。気軽に見られるからね。しかも、その内容も期待を裏切らないーー悪く言えばどれも一緒に感じなくもないが、そこがいいのである。

だいたいは、主人公は運が悪く金もなく、悲惨な目にばっかり遭うのに、起伏のない感情表現しかしないので、常に淡々と生きているような印象を与える。でも、そうした淡々とした日々の中から、主人公に何がしかの意志を感じさせられるのであって、言葉には出さないものの、その意志に従って、主人公はラストへの道を歩んでいくのである。

今作のあらすじ振り返ってみると、短い時間の中にいろいろな要素をぶっこみまくってて笑える。そりぁ展開も雑になるわなーと思うんだが、これでいいのである。実にカウリスマキ的内容で、満足できる。さすがカウリスマキ。

しかしまぁ、カスリネンは運は悪いし、行動に間抜けなところがあって、でも悪い奴ではないから憎めなくて、そこもやっぱりカウリスマキ作品の主人公ですな。

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