アメリカン・アニマルズ
―2019年公開 米=英 116分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2004年にケンダッキー州の大学図書館で中流階級の若者たちが犯した実在の窃盗事件を映画化。つまらない日常に風穴を開けたいと願うウォーレンとスペンサーは、大学図書館に保管されている1200万ドル相当の貴重な本を盗み出すことを思いつくが……。出演は「デッドプール2」のエヴァン・ピーターズ、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のバリー・コーガン。メガホンをとったのは、これが長編映画初監督となるバート・レイトン。本人たちが出演するドキュメンタリーとドラマのハイブリッド形式で物語が進行する。(KINENOTE)
あらすじ:廃棄された食べ物を盗むことで最小限のリスクを楽しむ……。誰よりも自由を求めるウォーレン(エヴァン・ピーターズ)とスペシャルなことを経験したいと願うスペンサー(バリー・コーガン)は、そんなどうしようもない毎日を送っていた。下らない日常に風穴を開けたい、特別な人間になりたいと願う2人は、大学図書館に貯蔵される貴重な本を盗み出す計画を思いつく。手に入れば1200万ドル。こうして仲間を集め始める2人。目をつけたのは、FBIを目指す秀才エリック(ジャレッド・アブラハムソン)と、実業家として成功したチャズ(ブレイク・ジェナー)。彼らは互いを「レザボア・ドッグス」に倣って“ミスター・ピンク”、“ミスター・ブラック”などと呼び合う。そして迎えた強盗作戦決行日。特殊メイクを施して老人の姿に扮した4人は、図書館に足を踏み入れるが……。(KINENOTE)
監督・脚本:バート・レイトン
出演:エヴァン・ピーターズ/バリー・コーガン/ブレイク・ジェナー/ジャレッド・アブラハムソン
ネタバレ感想
冒頭の説明によると、「実話を基にした物語ではなく、真実の物語」ということだ。どうやら、劇中に出てくるドキュメンタリーぽいインタビューシーンの登場人物たちは実在の人みたい。
つまり、この作品の元になる人物、犯罪を働いたやつらが作品内に出演しているのだ。いくら刑期を終えたからって、そんなふうにしゃしゃり出てくるって頭おかしくないかと思うんだけど、どうやらそういうネジが飛んじゃっている人たちのようだ。
彼らは一見すると普通の人なんだけど、物語を追って彼らの言動を観ていくに、やっぱりどこかおかしい。大して度胸もないくせに何であんな穴だらけの窃盗計画を実行に移せたのか、理解に苦しむ。
主人公のスペンサーは犯罪を犯すことにビビッて数回にわたり計画を中止にしようとするのに、なぜか結局は盗みに参加する。そんで、刑期を終えたあとのインタビューを観ていると、こいつは本当に計画中止したかったんだろうかと思えてくるほどに悪びれた感じがなくて、なんだかよくわからん男だ。
ともかく盗みを働こうとした4人はそれぞれがバカで、たいした度胸もなく、さほどお互いのことを信頼しているようにも見えない浅い関係で、こんなんでは計画が成功するとは思えないんだけど、本人たちはそれなりに何とかなるように思っているところが痛い。
そもそも、希少価値のある書籍を盗んだところで、それを売るルートがよくわかってない人間なんだから、そっちをきちんと固めなきゃだめだろ。けっきょく、アムステルダムの売人みたいな奴らとウォーレンが本当に会っていたのかすら不明で、犯行後はそれとは関係ない業者のところに本を持ち込み、スペンサーは自分の携帯電話の番号を何の疑問もなく教えちゃうとか、脳みそ腐ってるとしか思えない。
スペンサーは人生に何か刺激的なことが起こるのをずっと待っていて、それがいつまで経ってもこないので、犯罪を犯すことで何かを変えようとしちゃっている時点で、短絡的なアホだということがよくわかる。刺激が欲しけりゃ自分で事を起こせや。
犯罪にビビりながらもそれにすがってけっきょくはお縄を頂戴してしまうという、何ともアホすぎる奴が、こうしてイケシャアシャアと映画に出演しているんだから、彼はある意味刺激的な何かを得て、目標を達成したと言えなくもない。そう考えると何とも世の中の不条理を感じるが、ともかく、バカは死ななきゃ治らないってことですな。しかし人間、バカになったほうが、ある意味楽しめるのである。
スペンサー役のバリー・コーガンて、ものすごく人生がつまらなそうな表情をしている役者で、そこはすごいはまり役だなと思った(笑)。『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の役柄もすげぇムカつく奴だったなぁ(誉め言葉です)。
コメント