21ブリッジ
自分の正義に基づいた行動をするためには犯罪者を射殺することも厭わないアンドレ刑事が、コカイン強奪犯が警官を大量射殺した事件を調べることに。捜査の過程で強奪犯よりも大きな犯罪者の影がちらつき始める。果たしてアンドレは真相を究明できるのか。ネタバレあり。
―2021年公開 中=米 99分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2020年8月に亡くなったチャドウィック・ボーズマンが製作&主演を兼任したクライムアクション。ニューヨーク。大量のコカインを奪った2人組が、警察官8人を殺害して逃走。殺人課のアンドレ刑事は、麻薬取締班のフランキーと共に捜査を開始するが……。共演は「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラー、「セッション」のJ・K・シモンズ。監督は『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのブライアン・カーク。「アベンジャーズ/エンドゲーム」で監督を務めたジョー&アンソニーのルッソ兄弟が製作を担当する。(KINENOTE)
あらすじ:ニューヨーク市警殺人課所属のアンドレ・デイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)は、同じ警官だった亡き父への想いを胸に、多忙な日々を過ごしていた。そんな折、真夜中に大量のコカインを奪って逃げた犯人2人組が、警察官8人を殺害する凶悪事件が発生。マッケナ署長(J・K・シモンズ)の指令により、アンドレは麻薬取締班のフランキー刑事(シエナ・ミラー)と組んで捜査を開始。やがて、マンハッタン島に架かる21の橋を全て封鎖し、追い詰める作戦に出る。夜明けまでに犯人の居場所を突き止め、逮捕しなければならない。だが、アンドレは追跡を進めるうち、表向きの事件とはまったく別の陰謀が存在することに気が付く。果たして、その真実とは……。(KINENOTE)
監督:ブライアン・カーク
出演:チャドウィック・ボーズマン/シエナ・ミラー/テイラー・キッチュ/J・K・シモンズ/ステファン・ジェームズ/キース・デイヴィッド
ネタバレ感想
シリアスで緊張感ある追いかけっこは楽しめる
昨年レンタルで鑑賞したんだけども、あまりにも眠くて内容をまったく覚えてなかったので、再鑑賞。初見時は何が何だかさっぱりわからなかったんだが、ちゃんと観てみたら実に分かりやすい内容。
そしてそれなりに楽しめた。最終的に黒幕が警察側だったってのはありがちな展開で別に面白くもないし、最初から最後まで警察側の人間が怪しさ爆発な行動ばっかしているので、さして驚きはない。
それでも楽しめたのは、刑事と犯人の追いかけっこがシリアスで緊張感があるから。これは尺が短いのと、犯人を捕まえるまでにタイムリミットがあるため、刑事が休む暇なく疾走せざるを得ない状況にあるのと、追われる犯人もできるだけ早く目的を達成して高飛びしないといけないから。
後者の目標はけっこう早めに不可能になっちゃうため、犯人側はとにかく逃げ続けるだけなんだけども、この事件には犯人たちよりも大きな悪が存在することが匂ってくるので、この犯人はどちらかというと、割を食ってしまった可哀そうな人間に思えてくるのであり、それを何とか助けよう(生かしてムショ送りにする)とする刑事の奮闘に、より感情移入できるために、これらの一連の展開にスリリングさが生まれているのだと思われる。
組織ぐるみで金を稼ぐ警官
ということで、この作品では警察側の人間が組織ぐるみでコカイン売買に着手していることが判明する。何でかっていうと、ニューヨークの警官は安月給のため生活が苦しいらしく、しかし街を守るために一生懸命頑張っているんだから、少しくらい副業してもいいだろうみたいな考えで(だいぶ俺目線のフィルターかかった見方だが)、署長以下がチームでコカインビジネスに参加していたのである。
で、アンドレ刑事とバディを組んでた麻薬取締の女性刑事も、彼の監視役にすぎなかったのだ。しかもこの人、犯人を射殺しちゃうからね。娘のためなら人殺しも辞さないこの対応は、正義のためには犯人射殺も辞さないアンドレと比較しても、けっこうな鬼畜。
終盤でアンドレ刑事は事の真相とそれを暴くアイテムを入れたことで、署長宅を訪れて、真相を本人の口から話させる。そしたら警官たちが襲ってくるんだけどもアンドレはそいつらを全員返り討ちにしてまう。裏切り女刑事以外はすべて射殺してのけるのであった。このシーンはアンドレが強すぎて、アクション的には楽しめるものの、行き過ぎ感あり。さすがに一人であの状況で勝つのは難しんじゃないかと思っちゃう。
橋を封鎖したことの影響が感じられない
ついでに、そもそも証拠を握ってるのなら、署長宅を訪れる必要なんてないと思うんだが、彼はわざわざ危険をおかしてそれをしちゃっているのは、単に彼らを自らの手で抹殺したいと思ったからなんじゃないかと邪推しちゃう。悪を殺すにためらいのない人だからね。
あと、この作品は21のブリッジの交通を封鎖して犯人を封じ込め、その制限時間の中で犯人を突き止めるという作戦が描かれるわけだが、制限時間については物語中に意味を発揮している反面、橋を封鎖したことによる影響ってのがあまり感じられないのである。タイトルにもなっている部分が物語内で感じられないってのはけっこう作品としては致命的な感じもする。
まぁでも、再鑑賞してちゃんと見ておいてよかったなと思えるくらいには、楽しめる作品ではあった。
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