エンド・オブ・ウォッチ
犯罪多発地区のロサンゼルス市警で働く警官の姿を描いた物語。こんな街の治安を守らなきゃならんて、どう考えてもブラックと言わざるを得ない職場環境だ。日本ってまだまだいい国だなと思っちゃう。ネタバレあり。
―2013年公開 米 109分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:常に死と隣り合わせの任務に就くロス市警パトロール警官たちの姿を、生々しいダイアローグとライヴ感に満ちた演出で描くポリスアクション。監督は「フェイク シティ ある男のルール」のデヴィッド・エアー。出演は「ゾディアック」のジェイク・ギレンホール、「ワールド・トレード・センター」のマイケル・ペーニャ、「マイレージ、マイライフ」のアナ・ケンドリック。(KINENOTE)
あらすじ:ロサンゼルスの一角に位置する重犯罪多発地区サウス・セントラルを担当する白人巡査テイラー(ジェイク・ギレンホール)とメキシコ系巡査ザヴァラ(マイケル・ペーニャ)は、区内でも屈指の犯罪検挙率を誇る警官コンビだ。ある日、二人が日課のパトロール中、通報を受けてとある一軒家へ踏み込むが、二人は見てはならないメキシコ麻薬カルテルの秘密に触れてしまう。やがて組織からテイラーとザヴァラの密殺指令が出され、二人は待ち伏せしていたメキシカン・ギャングたちに襲撃される。嵐のように降り注ぐ銃弾をかいくぐり、テイラーとザヴァラは決死の反撃を開始するが……。(KINENOTE)
監督・脚本:デヴィッド・エアー
出演:ジェイク・ギレンホール/マイケル・ペーニャ/アナ・ケンドリック/ナタリー・マルティネス
ネタバレ感想
地味な内容だが、最後まで引き付けられる作品。フィクションなんだけども、ほぼ現実のロス市警の警官たちも、こういう過酷な環境で働いているんだろうなと思わされる。
劇中、主役のテイラーとサヴァラが語っているシーンの中で、「大卒相当の給与がもらえる」というようなセリフがある。つまり、高卒くらいの学歴でそれなりの給与をもらえるのが、ロス市警の仕事ということだ。にしても、大卒程度の給与がどのくらいの水準なのかわからないけども、かなり割に合わないと思っちゃう。
彼らの仕事は単純で、街中をパトカーでパトロールしてるだけ。そんで、犯罪が起きたら急行して場をおさめるわけだ。それだけだ。それだけなのに、それだけの簡単な仕事――では当然ない。おさめなきゃいけない犯罪のレベルが、激やばなのだ。
大量の麻薬を保管してる家だったり、人身売買のために捕まえた人々を閉じ込めてる家だったり、彼らが駆け付ける現場からは、組織ぐるみの犯罪を匂わせる証拠がわんさかと出てくる。
ちょっとした職質しようとしても、拳銃向けてくる奴がいるし、こんなん命がいくつあっても足らんだろ――と思うのに、この2人の警官はけっこう不良で、上司の命令とかあんま聞かないし、仕事中にビデオ回すなと言われてるのに撮影し続けてるし、適当なのだ。でも、現場に駆け付けるとしっかりと仕事をこなす、できる奴らだ。
できる奴らだからこそ、麻薬を保管している家を見つけちゃって、その麻薬が実はコロンビアのカルテルのもので、警察に摘発されたことで麻薬の売り上げを失ったカルテルの大物が激怒。なんと、LAの地元のギャングに、彼ら二人の殺害を命じる。
いろいろあって、彼らには多少信頼関係で結ばれた黒人ギャングがいる。そのギャングから「おまえたちは、命を狙われている」と教えてもらうけども、二人は「そんなの日常茶飯事」と言って、真剣に受け合わない。あの緊張感のなさには少し驚いたが、いちいちビビってたら仕事にならないんだろうか。
いずれにしても、ラストはかなり悲惨な結末であった。
この作品を観て思うのは、冒頭にも書いたように日本ってまだまだ平和なのかなってこと。アメリカのすべての街がこうじゃないにしても、恐ろしすぎだろ。そして、現場の警官の仕事が割に合わなさすぎる。
地元の犯罪者には憎まれてるし、自分たちが摘発した現場なのに、FBIがやってきて彼らを邪魔もの扱いしているシーンを見るに、単なる使い捨てみたいに見えちゃう。ほんと報われない仕事だなと思う。というか、まともに職務に励むと死の危険があるって考えると、汚職警官が出てくるのもうなずけるのである。
だって、頑張ると恨まれて殺されちゃうなら、犯罪者とある程度の関係を結んで、自分の懐に金が入ってくるほうが全然いい。この映画ではそういうことをしている警官は出てこないけども、現実としてはそういうことも起こっているんではあるまいか。
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