殺人鬼(1983)
チャールズブロンソン扮する刑事、ケスラーが、性的倒錯者の変態全裸殺人鬼を捕まえて罪に問うために奮闘するスリラー。ブロンソンは相変わらずカッコよく、全裸で殺人を犯す殺人犯の姿がシュール(笑)。ネタバレあり。
―1983年製作 米 103分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:J・リー・トンプソン監督、チャールズ・ブロンソン主演のサイコスリラー。猟奇殺人事件の捜査線に浮上した異常者から証拠が掴めず、焦るケスラー刑事は、証拠の捏造を企むのだが……。(KINENOTE)
あらすじ:森の中で全裸の男女が惨殺される猟奇殺人事件が起こった。事件を担当するベテラン刑事レオ・ケスラーは捜査線上に浮かび上がったウォーレンをマークする。彼は執拗に女性をつけ、全裸になって殺人を犯す性格異常者なのであった。そして、決定的な証拠がつかめず焦るケスラーは証拠の捏造を企むのだが……。その一方でウォーレンは逮捕されないでいるのをいいことに、あろうことかケスラーの一人娘ローリーに狙いをつけていた―─。(Amazon)
監督:J・リー・トンプソン
出演:チャールズ・ブロンソン/リサ・アイルバッハー
ネタバレ感想
全裸の変態男、ウォーレン
チャールズブロンソンの作品の中ではあまり有名作でないと思われる。自分も存在を全然知らなくて未見だったので、DVD購入して鑑賞。Jリートンプソン監督とはいろんな作品でコンビ組んでて、その中の一作ですな。
性倒錯者のウォーレンは女性好きで、気に入った相手に声をかけるのはおてのもの。身だしなみには気を付けてるし(ちとナルシストっぽい)、空手をやってるので体格もよく、そんなに不細工ではないが、なんだか変な性格らしく、もてない。
同僚の女にアプローチしたんだけども、しつこかったせいか水をぶっかけられちまって、彼女に恨みを持っている。で、その怒りでウォーレンは彼女の殺害を計画。映画館でナンパをしてアリバイをつくり、便所から抜け出して、振られた女が恋人とあいびきしている現場に乗り込み、全裸で彼女を追いかけまわして殺害する。
全裸にするのは衣服に血痕がつかないためという理由があるにしても、このシーンはかなり滑稽。ラストの展開ではおよそ15分以上はこいつ、全裸で犯行に及んでいて、あろうことか町中を全裸奪取して標的を追いかけまわすのだ。マジで変態。
ウォーレンはどうしてそういう性格になったか知らんけども、ナイフを女性の体に刺すことでしか性的快感を得られないようで、どうも物語の前から幾人か女性を殺害しているみたい。それらの殺人を警察にバレずにいて普通に会社員として働けてた奴なのに、チャールズブロンソン扮するケスラーに追い詰められて、やけっぱちになって彼の娘のローリーを殺害するために、彼女の同居人たち3名を葬ったのち、上述の町中全裸奪取をするのである。
いずれにしても、彼は通常のセックスを嫌悪してるみたいで、誘いに乗った女が性的関係を結ぼうとすると、激怒するのだ。プライドが高く、ナルシスト。そらもてないわな。
自身の正義のために、法を超えた決断をするケスラー
こういう男に対峙することになるケスラーは、悪行を許せない性格なのか、ウォーレンを嵌めてムショ送りにしようと頑張るんだけども、その不正が発覚して刑事をクビになり、それでも独自にウォーレンを追い詰めて、最終的には彼を射殺する。
なぜ射殺するかというと、ウォーレンは自分が狂っていないことを知っていたが、一度ケスラーに起訴されて裁判になりかけたときに、弁護士から「精神異常者認定されればムショ送りにはならない」と入れ知恵されたからだ。
ケスラーに追い詰められたウォーレンは、本当はそうではないのに、自分が精神異常を主張すればムショには入れられない、残念だな、糞オヤジ! ってな感じにケスラーを挑発する。ケスラーはその時点ですでに刑事をクビになっているし、自分の正義を貫くために法律くそくらえで、ウォーレンを射殺するのだ。そして劇終。
この作品は犯人がウォーレンであるのは最初からわかりきっているので、彼を有罪とするためにケスラーとその相棒が奮闘する物語と思わせておいて、中盤あたりでケスラーが証拠を偽造することでその展開が変わる。
ここからは不正を厭わずに行動したケスラーがどのような結末を迎えるに至るのかに物語の焦点が変わっていき、ラストは後味が良いとは言えない終わり方。でも、その辺にこの作品の面白みがあり、娘のために、自身の信じる正義のために法を超えた活動をするケスラーはかっこいいのであり、それを演じたブロンソン大先生は大正義なのである。
あと、相棒役もけっこうイイ味出してて、バディームービー感があるところもよかったな。
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