ヤング≒アダルト
―2012年公開 米 94分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「JUNO/ジュノ」の監督・脚本コンビ、ジェイソン・ライトマンとディアブロ・コーディが再びタッグを組んだヒューマンドラマ。仕事も恋愛もうまくいかない30代女性が、妻子のいる元恋人と復縁しようとする様を描く。出演は「ザ・ロード」のシャーリーズ・セロン、「インシディアス」のパトリック・ウィルソン、「レミーのおいしいレストラン」のパットン・オズワルト。(KINENOTE)
あらすじ:37歳になるメイビス(シャーリーズ・セロン)は自称作家だが、現在はゴーストライターとして“ヤングアダルト”(少女向け小説)を執筆中。バツイチで恋人ナシ、心の友はアルコールと愛犬という彼女はある日、一通のメールを受け取り、故郷へ帰ることに。昔の恋人バディ(パトリック・ウィルソン)と再会するメイビス。いつまでも大人になれない、そんな規格外の彼女が大騒動を巻き起こした果てに見つける“真実”とは……。(KINENOTE)
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:シャーリーズ・セロン/パトリック・ウィルソン/パットン・オズワルト/J・K・シモンズ/エリザベス・リーサー/コレット・ウォルフ
ネタバレ感想
37歳で作家(ゴーストライター)のシャーリーズセロン演じるメイビスが、元恋人に復縁を迫るために故郷に帰っていろいろの騒動を起こすドタバタ作品。コメディぽく見るにはクライマックスのメイビスの言動が辛いんだけども、なかなか考えさせてくれる内容だ。
メイビスがクライマックスで暴言を吐くシーンは本当に痛々しく、鑑賞してるこっちまで悲しくなってくる。なんでそうなってまうんだろうかと、彼女の言動を見ていていたたまれなくなるのだ。でもまぁ、あのシーンがないとこの映画は成り立たないし、あの苦痛と恥をかく経験を経ないと彼女はあのまま10代のメンタルで生きざるを得なくなっていただろう。
何で彼女がああいう人になってしまったのかというと、やっぱり美人でスクールカースト上位な青春を生きていたところが大きいと思う。しかも、社会人になってからも、ライター(ゴーストだけど)としてそれなりに有名作品を生み出していたこともあって、田舎の人気者から都会でもそれなりに知られたような感じになって、承認欲求が満たされ続けたことで、自省をする意識や謙虚になる姿勢が持てないまま大人になってしまったのだと思われる。
であるから、37歳になった現在は、自分の人生がうまく行ってないことを自覚しているのに、プライドだけは高いままなので、自身の力で道を切り開けなくなっていたようだ。そこで思いついた起死回生の逆転プランが、元恋人を妻子から奪って自分のものにしてやろうという、トチ狂っているとしか思えない行動。それは過去の自分の地位を取り戻すため、要するに今の自分のプライドを保つための思惑だったように考えられる。
しかしそれは、当たり前のことだがうまく行かない。上述したクライマックスのシーンで、彼女は周囲の人間から自分の立たされている現実を突きつけられる。その後、帰郷をきっかけに交流するようになった同級生のオタク親父と体を重ねることで自分を慰める(慰めになったのかどうかはよくわからんが)。そして、翌日にオタク親父の妹に自分を称賛されることで自信を取り戻し、故郷を離れて元の生活に戻ることを決心するのだ。
自分の心境を自身の創作物の最終回に託した彼女が、この先どう生きていくのか俺にはよくわからんかったが、ある部分では成長したんだろうと思わせる多少の希望もあって、なかなかいい作品だったなと劇終を迎えられた。
この作品のすごいのは、メイビスは自分が変わらなければいけないことを宣言しながらも、オタク親父の妹からの共感を受けて、自分はこれまで通りでよいと、ありのままの自分を肯定して生きていくこと決めたようにも感じられるところだ。つまり、何も変わる必要はないと決心したようにも見えたのだ。
あと、この作品がいいところは、少ししか登場しないのでさほど存在感がないけども、犬がとてもかわいい。そして、主役を演じたのがシャーリーズセロンでなければ、この作品は楽しめなかったような気もするところだ。パジャマみたいな恰好だろうと、化粧が崩れてようと美人なシャーリーズセロンであるから、メイビスのうざい性格もある程度は許せちゃうのだ。あれが、中途半端な美人女優だったら、観ていてイライラしてきて途中で観るのが嫌になってしまっていたかもしれない。そういう意味では、本当に存在感のあるいい女優さんなんでしょうな。
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