ウォー・ドッグス
戦争ビジネスで一攫千金を狙う、20代の若者の末路をコメディタッチで描く、実話をもとにした作品。戦争で財を築こうとする大手企業や権力者たちの糞加減がわかるし、アナデアルマスが相変わらず可愛い良作。ネタバレあり。
―2016年製作 米 114分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:大ヒットしたコメディ「ハングオーバー」のトッド・フィリップス監督による実話コメディ。20代の素人同然の2人の若者が、イラク戦争で兵器売買で大儲けしていくさまを描く。(KINENOTE)
あらすじ:デイヴィッドと高校時代の親友エフレイムの二人はペンタゴンの入札に参加し、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍に武器を納入する契約を勝ち取るのだが……。(KIENOTE)
監督・脚本:トッド・フィリップス
出演:ジョナ・ヒル/アナ・デ・アルマス/マイルズ・テラー/ブラッドリー・クーパー
ネタバレ感想
全然存在を知らなかったんだけど、ネットフリックスで見つけて鑑賞。監督誰かと思ったら、トッドフィリップスだって。この人は『ハングオーバー』シリーズとか『ジョーカー』を撮ってる。
なるほど、『ジョーカー』はともかくとして、今作でも『ハングオーバー』みたいなコメディチックな描写がけっこうあったし、なかなか多彩な監督だなぁと思わされた。要するにおもしろいのである。
武器商人を描いた作品と言えば、ニコラスケイジの『ロードオブウォー』ってのがあって、この作品もあれに劣らないくらいに面白い。どちらも実話を基にしているってところが恐ろしいんだけども、戦争の裏側でこういうビジネスが行われてるってのを知ると、本当に戦争ってのも金儲けのためのイベントみたいになってるんだなぁと思わされちゃう。
てなことで、二十歳そこそこで学もそんなにない兄ちゃん二人が、武器ビジネスの末端でジタバタしながら金儲けを企む。そして実際にある程度は成功するものの、悪事を摘発されちゃう話。ラストでこいつらの罪状はそんなに重くなかったことからもわかるように、政府とかのほうがいい加減というかメチャクチャな武器入札ビジネスをしてたことが判明する。
若者二人はそれなりに大金を稼いでたんだけど、彼らはせこい末端の取引で小銭を稼いでいるだけ。物語が進むにつれてそれが金額の大きなものになっていきはするものの、それでも大した取引ではない。だからこそ、彼らのような一般人もビジネスに参入できたんである。
この作品はアメリカのブッシュ政権がイラクに侵攻してる頃の話で、そもそもこの戦争もアメリカの言いがかりみたいなので始まったもの。だが、その裏の世界では、武器ビジネスで金儲けしている企業がたくさんいることがわかるのである。
で、これはこの時期に限った話ではなく、おそらく今でも、このようなビジネスは行われているのだ。戦争は一部の権力者や金持ちにとっては単なるビジネスなんである。
若者二人はその世界に足を踏み入れていく中で、ブラッドリークーパーの扮するヘンリーと知り合い、アルバニアが所有する武器庫にあるAKの弾薬を大量にさばく仕事をすることになる。
何でアメリカがAKの弾薬なんかほしいのか、というのがよくわからんかったんだけども、上の行にリンクしたWikipediaによると、特殊作戦や訓練で使ってたみたいだね。
でまぁ、主人公二人が仕切ることになったこのビジネスにヘンリーが大いに関わってきて、彼らはヘンリーに半ば騙されるような形でビジネスをすすめる。しかし、弾薬は中国製だったことが判明して、それを誤魔化すために梱包を変えるなどして対応するものの、それらがミスの始まりになっていくわけだ。
ラストで主人公のデイビットがヘンリーにする二つの質問。一つは、彼らのビジネスを手伝ってた運転手の行方を聞くものだったが、あれに答えないヘンリーは、答えないことで彼を殺したことを白状している。
おそらく、弾薬が中国製で梱包を偽って産地を変えようとした行為を、梱包会社の社長にチクったのが運転手だったんだろう。デイビットはそれに加担したと誤解されてヘンリーたちに脅されたんだと思われる。だがしかし、デイビットはFBIにもヘンリーのことをゲロしなかったので、それらの口止めと感謝の意を込めて、ヘンリーから金を差し出されたのだ。
しかしまぁともかく、こうした普通の市民が武器ビジネスに手を出せるってのが世の中のおかしなところだ。こういう社会の裏側を見せられると、戦争って絶対なくならねぇんだろうなと思ってまう。本当に、権力者ってウンチ野郎ばっかりだな。
ちなみに、デイビットの奥さん役を演じてたのがアナデアルマスだった。あんな可愛いくてエロい奥さんがいたら、人生どうなっちゃうんだろうね。想像もつかんわ(笑)。
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