バーティカル・リミット
標高8000mのK2で遭難した妹のために奮闘する男の話。いろいろと突っ込みどころ満載だが、そこを笑いながら見られれば勢いで楽しませてくれる娯楽作品。ネタバレあり。
―2000年公開 米 124分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:高山で決死の救出作戦に挑む男の姿を描いたアクション大作。監督・製作は「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル。撮影は「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のデヴィッド・タッターソル。音楽は「ダイナソー」のジェームス・ニュートン・ハワード。出演は「プロポーズ」のクリス・オドネル、「Uー571」のビル・パクストン、「エンド・オブ・デイズ」のロビン・タニー、「目撃」のスコット・グレン、「007/ゴールデンアイ」のイザベラ・スコルプコほか。(KINENOTE)
あらすじ:3年前、ピーター(クリス・オドネル)はロッククライミング中の事故で、自分と妹のアニー(ロビン・タニー)を救うため、父親の命綱を切った。現在、その苦悩から逃れようとするピーターは、山を拒否し、写真家として荒野に身を置いていた。一方アニーは登山家になり、世界一高い山頂に挑むという父親の夢を追っている。しかし彼女は登山中、標高8000メートルの氷に閉ざされたクレパスに閉じ込められてしまった。そこでピーターは、ベテラン登山家のスキップ(ロバート・テイラー)と看護婦で登山家のモニク(イザベラ・スコルプコ)、ポーターのカリーム(アレクサンダー・シディグ)ほか、計6名で救出部隊を結成。3組に別れ、それぞれが岩を吹き飛ばすためのニトログリセリンを持って、世界第二位の高峰であり、最も恐れられている山、K2の遭難地点を目指すことになった。タイム・リミットは22時間。彼らは決死の作業の末、ついにアニーを救出するのだった。(KINENOTE)
監督:マーティン・キャンベル
出演:クリス・オドネル/ビル・パクストン/ロビン・トゥーニー/スコット・グレン/イザベラ・スコルプコ/ニコラス・リー
ネタバレ感想
何度か鑑賞したことがあるのを、観たのを忘れてたので改めて鑑賞。まぁ観たのを忘れても仕方ないなぁって感じに突っ込みどころ満載。まぁでも、娯楽としてはけっこうハラハラさせるのでなかなか楽しめる。
であるから、酷いなぁと思うシーンや突っ込み部分自体を楽しむ作品だなぁと思うのである。
どこが酷いかっていうと、まずニトログリセリンの扱い。主人公のピーターは妹を助けるために、軍からこのニトロを借り出して、クレバスに落ちた妹ら遭難者たちを助けるために、雪崩でふさがれたクレバスのふたをニトロで吹っ飛ばすという作戦を採用するのだ。
まず、軍のニトロの保管がテキトーすぎて、持ち出す前から液体漏れ起こしてるし、軍の拠点も温度変化のせいで爆発しちゃってるからね(笑)。さらに持ち出したニトロは3つに分かれたチームがそれぞれ保有して遭難ポイントに向かうわけだが、ポイントに運ぶ前に二つは爆破しちゃうのだ。もちろん3つ目はクレバスのふたを破壊するために持ち込めて作戦は一応成功する。
――するんだけども、あんだけの爆発起こしたら雪崩起きないのかなぁ。おかしくない? しかも、ニトロを使わなくてもダイナマイトとかなかったのかね? 雪山の素人の俺から見ても、あの作戦は荒唐無稽すぎるように見えちゃう。
ついでにこの登山チーム、酸素ボンベなしで走ったり跳ねたりしてるんだが、超人かよ。いくら登山のプロでもあんな高山でそんな動きができるんだろーか?
というか、プロの割にはザックを下ろして給水した際に滑落したりとか、なんかプロには見えないことしちゃってる奴もいるし、なんともメチャクチャ。まぁでも、そこが面白いんだよなぁ。バカバカしくて。
そもそもバカバカしい娯楽にしようとしなきゃ、ニトロ使うなんて発想はでてこないわけで、であるからやっぱり、この辺も含めて楽しむべき作品なのだ。
というか、ピーターが妹を助けたい気持ちはわかるけども、自分はそのプロジェクトに関わってないのに、ベースキャンプに乗り込んできて勝手し放題。妹を助けるためにチームを募ったりするなど、そんなテメェ勝手なことがまかりとおっちゃうところがまたアホらしい。
まぁでも、救出チームが編成できなきゃ話が進まないわけだから、そんなことを言ってもしかたない。とはいえですよ。遭難者は3人。この3人を助けるため、けっきょく編成チームの大半は死んじまってるわけで、さらに犠牲者増えちゃってるのよ。これは二次遭難が起きちゃってると言ってもいいんではなかろうか。
その癖にこの物語は、ピーターがアニーの救出に無事に成功し、救出劇で知り合ったエロいお姉ちゃんと恋仲になるだろうことを示唆するチューをしてハッピーエンド。おいおいおい。お前のエゴで犠牲者増えてるから。山の人間としてその辺はきちんと自覚してほしいもんですなぁ(笑)。
繰り返しになるけども、こういうバカバカしさがこの映画の面白さなのは確かなので、これはこれでいいのである。
ちなみに俺は低山登山が好きで、いろいろな山に登ってて、そんな低山ですら遭難しかけたことがある。確かなんかの記事でその話もしたことがあるが、ここまでの高山へのあこがれはないものの、最近は少しずつ登りたい山の標高が高くなってる。であるからして、こういうバカ映画を観つつも、どんな山でも危険と隣り合わせなのだということだけは自覚しつつ、準備その他を怠らないようにしなければならぬと心に誓うのであった。どうでもいい話だが。
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