勝手にふるえてろ
よくよく考えるとかなりウザいキャラでもある主人公だが、きちんと感情移入できる人物として描写しているのは、なかなかすごいと思う。それぞれの人間がそれぞれにクズな部分を有しながら、それでも関係を崩さずに日々を生きているという意味で、なかなかリアルな話でもある。ネタバレあり。
―2017年公開 日 117分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を、「ちはやふる」の松岡茉優主演で実写化したラブコメディ。中学時代の同級生イチを思い出しては胸をときめかせている24歳のOLヨシカ。同期のニに告白されるが彼との関係に馴染めない彼女は、今のイチに会おうとする。監督は「でーれーガールズ」の大九明子。恋愛経験がなく妄想に浸るヨシカを松岡茉優が、ヨシカの初恋の相手イチを音楽ユニットDISH//のメンバーで「君の膵臓をたべたい」などに出演する北村匠海が、会社の同期ニをロックバンド黒猫チェルシーのボーカリストで監督や俳優としても活躍する渡辺大知が演じる。(KINENOTE)
あらすじ:絶滅した動物をこよなく愛する24歳のOLヨシカは、10年もの間中学時代の同級生イチに片思い。イチとの過去を思い出しては胸をときめかせていた。これまでずっと彼氏がいなかった彼女は、突如会社の同期・ニから告白され、生まれて初めての経験に舞い上がる。しかしニとの関係にうまく馴染めず、ある出来事をきっかけに現在のイチに会おうと思い立ち、同級生の名前を騙って同窓会を計画。ついに憧れの人との再会の日が訪れるが……。(KINENOTE)
監督・脚本:大九明子
原作:綿矢りさ:(『勝手にふるえてろ』(文春文庫刊))
出演:松岡茉優/渡辺大知/石橋杏奈/北村匠海/古舘寛治/片桐はいり
ネタバレ感想
主人公は他者との交流を恐れていて、ほぼ妄想の中で生きているように見えるが、ああいうタイプの人は、けっこういると思う。俺だって中年になった今でも、自分の中で妄想をつくりあげて、いろいろと夢想をしている自分に気付き「うぁぁぁ何考えてんの俺、バカじゃないの」とか思うことはある(笑)。
自分がそんな人間だから、この物語の主人公は若い女性ではあるものの、なかなかリアルな存在に感じるし共感する部分もあって、なかなか楽しめた。
むしろ彼女の片思いの相手や、彼女にアプローチしてくる男のほうが、そんな奴いるかなぁって感じがするのは、原作者の綿矢りさ氏が女性だからだろうか。
そういえば、俺は原作者に仕事がらみで会ったことがあるのを思い出した。それも、まさにこの映画のプロモーション的な部分でだ。俺がニートをしていて、いろいろと物語を書いたりしていた頃に、美少女作家として華やかにデビューして芥川賞まで取っちゃった原作者は、それなりの歳を経た実物を目にしても、確かに美人ではあった――というのは単なる無駄話。
てなことで、原作者の作風も感じられるし、なかなか笑えるシーンもありつつ、人間心理の微妙な襞みたいなものも垣間見られて、良質なラブコメディとして楽しく観られる作品です。
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