アンタッチャブル
―1987年公開 米 120分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:1930年代のシカゴを舞台にアメリカ支配を企む暗黒街の男アル・カポネと彼に立ち向かう若き財務官の戦いを描く。製作はアート・リンソン、監督は「ボディ・ダブル」のブライアン・デ・パルマ、脚本はデイヴィッド・マメット、撮影はスティーブン・H・ブラム、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はジェリー・グリーンバーグとビル・パンコウ、美術はウィリアム・A・エリオットが担当。出演はケヴィン・コスナー、ショーン・コネリーほか。(KINENOTE)
あらすじ:1930年、9月。エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)が、財務省から、ここシカゴに特別調査官として派遣されてきた。禁酒法下のシカゴでは密造酒ともぐり酒場は実に10億ドル市場といわれ、ギャングたちの縄張り争いは次第にエスカレートし、マシンガンや手榴弾が市民の生活を脅やかしていた。中でもアル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)のやり方はすさまじく、シカゴのボスとして君臨していた。カポネ逮捕の使命感に燃えるネスは、しかし警察の上層部にも通じているカポネがそう簡単には手に落ちないことを実感する。彼には部下が必要だった。そんな彼に、初老の警官ジミー・マローン(ショーン・コネリー)が協力することになる。多くの修羅場をくぐってきたマローンから、ネスは多くのことを学んだ。家族を愛するネスにとって、独身の仲間は好もしかった。家族を危険にさらされるのはネスには耐えられないことだ。やがて、警察学校からの優秀な若者ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)がスカウトされてやってくる。さらに本省からは、ネスの部下としてオスカー・ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)が派遣されてくる。巨大なシンジケートをかかえるカポネと、ネスら4人との対決が始まった。最初の摘発は郵便局だ。彼ら4人が散弾銃を片手に摘発し、翌日の新聞では、初めての大量逮捕を大きく取り上げ、彼らは“アンタッチャブル”(手出しのできぬ奴ら)という異名を馳せる。だが、そのことは、カポネの怒りを買い、カポネの右腕と呼ばれる殺し屋フランク・ニティ(ビリー・ドラゴ)がネスの身辺に現われる。妻キャサリン(パトリシア・クラークソン)と愛娘の安全を苦慮したネスは家族を直ちに脱出させた。アンタッチャブルの捜査は続き、ネスは、シンジケートの帳簿を手に入れる。それこそカポネに致命的なダメージを与える証拠となるものだった。しかし肝心の部分は判読出来ない暗号になっていた。彼らの執拗な捜査に怒るカポネはアンタッチャブルを抹殺することを命令する。告訴の準備が行なわれている間、エレベーターの中でウォレスと証人が殺された。やがて帳簿係をマローンがつきとめるが、その直後、マローンが殺された。深夜の駅。ついに証人が現われた。しかしその直後、激しい銃撃戦が展開され、彼は死んだ。シカゴ最大の贈賄事件に発展したこの裁判の判決の日。カポネはなぜか余裕たっぷりだ。賠審員全員がカポネに買収されていたのだ。愕然とするネス。しかし、最後まで彼は諦めない。ジョージはネスに殺し屋のニティがマローンを殺したのだと告げ、彼の持ち物からその証拠を見つける。裁判所のらせん階段の上に逃げるニティ。ついにニティを倒したネスは、さらに裁判長に、買収されている賠審員たちを全員変えることを希望する。受け入れない裁判長を、うまい口実を使って可能にさせるネス。怒ったカポネは、そこでネスと真っ向から対決することになる。ネスはカポネに断言する。「勝負は最後まで分からない」。事務所に戻ったネスは、ジョージと共にすべてが終わったことを実感するのだった。(KINENOTE)
監督:ブライアン・デ・パルマ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ケヴィン・コスナー/ショーン・コネリー/チャールズ・マーティン・スミス/アンディ・ガルシア/ロバート・デ・ニーロ/ビリー・ドラゴ
ネタバレ感想
超適当なあらすじ
ブライアンデパルマ監督の犯罪暴力組織摘発作品。禁酒法時代のシカゴを舞台に実在した財務省の捜査官、エリオットネス(ケビンコスナー)の活躍が描かれる。彼が摘発対象にしているのは、マフィアのボス、アルカポネ(ロバートデニーロ)。絶大な権力をふるうカポネは、警察や政治家などの権力者やメディアともズブズブな関係。まさに暗黒街の顔役。表の世界にすら影響力を持っているのだ。
であるから、派遣されてきたネスが意気揚々とお酒の密売を抑えようとしても、警察の上層部にもカポネの犬がいるために、情報が筒抜け。現場にいったときには酒が合法な商品にすり替えられてしまってるのだ。
悔しくて地団駄踏むネスだが、1人ではどうしようもない。もう1人、ネスの補佐として派遣されてきたウォレスは経理畑の人間なので、他にも仲間が必要だ。そんな時にネスは、シカゴ警察でただ一人、汚職にまみれずに正義を貫いているがために、街のパトロールという閑職に追いやられているベテラン巡査のマローンと出会う。
マローンはベテランだけあって、カポネの組織についても詳しいし、捜査のコツも心得ている。彼を何とか説得したネスは、彼の助言で汚職にまみれていず、かつ優秀そうな新人警官のジョージ(アンディガルシア)をチームに迎え入れた。
スーツをまとった4人は、アンタッチャブルとしてカポネたちの組織に喧嘩を売るのであった。果たしてどうなってしまうのかーーというのが超適当なあらすじ。
デパルマ的変態性は薄め
デパルマ監督と言えば、『ファントムオブパラダイス』とか『ミッドナイトクロス』とか、その他いろいろ、変態的な作品が多い印象だが、この作品はけっこうその辺の変態作家性が抑えられている感じ。同監督には『スカーフェイス』とか『カリートの道』などのギャングが出てくる作品があって、今作もどっちかというと、それらの系統に近いように思う。で、俺は犯罪・暴力映画好きなので、デパルマのこの三作はけっこう好きなのだ。
キャストが豪華
まず、キャストが豪華だ。当時は無名だったみたいだが、ケビンコスナーが主人公。彼を支えるベテランが、当時は落ち目だったらしいが、今作で評価を高めたというショーンコネリー。さらにカポネを演じたのは飛ぶ鳥を落とす勢いだったと思われるロバートデニーロ。さらにはアンディガルシアまで出てくるからね。
しかも、この作品のアンディガルシアはクールでかっこいい。有名な駅の階段でのアクションシーンはマジですごい。あんな体勢から敵を射殺するなんて、かなり無理があるんだけどもカッコいいもんはかっこいいのだ。個人的に、好きな三大ガルシアがいて、ひとつが今作、もう一つが『ゴッドファーザー3』のヴィンセント、最後が『ブラックレイン』でマイケルダグラスの相棒を演じてた時。それ以外のガルシアは知らん(笑)。
オススメしやすいデパルマ作品
てなことで、最初から最後までこの作品は面白いんだが、これがどこまで史実に近いのかっていうと、大分怪しい感じ。原作はネスが金に困ってたときに自伝的作品ってことにして出版したそうだが、それからしてフィクション的な部分がけっこうあって、かなり話が盛られてたらしい。
で、その原作を基にさらなる脚色をされているのが本作だと思われる。何でかというに、娯楽としては楽しめるけども、捜査の仕方がだいぶ雑に感じるからねぇ(笑)。
他にも、さっき紹介した階段のシーンはデパルマの創作ってことだし、もともとは電車の車上だかで戦闘が起こるらしかったのを、予算の都合であの階段で撮影することになったんだそうだ。そういえば、『カリートの道』でも駅構内での戦闘シーンがあったことを考えるに、あれは今作のシーンでの成功によって、デパルマが味を占めたということだろうか(笑)。
あと、ラストのほうでネスが、ビリードラゴ演じる殺し屋をやっつけるシーンについては少し強引さを感じた。ネスはあれだけ正義を貫いてきたのに、仲間を殺された憎さが勝って結局は相手を殺しちゃうのはいかがなもんか。あそこにはツッコミを入れたくなる。
とはいえ、娯楽的に楽しめる作品なので、デパルマが好きでない人にもオススメしやすいデパルマ作品の一つでありまする。
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