レヴェナント 蘇えりし者
西部開拓時代のアメリカで狩猟をしている一団の一人、グラス氏はネイティブアメリカンの襲撃に備えて斥候として森に出たところ、グリズリーに襲われて瀕死の重傷を負う。仲間は、彼の息子を殺害し、グラスをその場に置き去りに。いったいどうなってまうのかという話。ネタバレあり。
―2016年公開 米 157分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:レオナルド・ディカプリオと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が初タッグを組み、実話を基にした小説を映画化。荒野に取り残された男が復讐のため、過酷なサバイバルに挑む。ゴールデングローブ賞作品賞、監督賞、主演男優賞受賞。撮影監督は、「ゼロ・グラビティ」のエマニュエル・ルベツキ。音楽は、「ラストエンペラー」の坂本龍一。(KINENOTE)
あらすじ:アメリカ西部の未開拓な荒野。狩猟中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、狩猟チームメンバーの一人、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に見捨てられ置き去りにされたばかりか、最愛の息子を殺されてしまう。グラスはフィッツジェラルドに復讐を果たすため、厳しい冬の寒さに耐え、交戦中の部族の熾烈な襲撃を交わし、約300キロにわたる過酷な旅に出る……。(KINENOTE)
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
音楽:坂本龍一/アルヴァ・ノト
出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハーディ/ドーナル・グリーソン/ウィル・ポールター/フォレスト・グッドラック
ネタバレ感想
まず、フィッツジェラルドを演じているのがトム・ハーディだと最後までわからなかった(笑)。どこに出てるんだよとか思ってたらかなりの主要人物だったのである。ほんとに気付かなかった…。
で、この作品は開拓時代のアメリカが舞台になっている。ディカプリオ演じるグラス氏らは各地で狩猟をしながら動物の毛皮を都市に送る仕事をしているらしい。で、そこには土地の先住民であるネイティブたちもいたりする。グラスたちはその先住民と戦闘を繰り広げながら、土地を支配する役目を担っているようにも思われる。
白人たちはネイティブたちを人とも思わぬような扱いをして搾取しているので、ネイティブたちも容赦なく反撃をしてくるし、そもそも彼らにとっての白人は侵略者なわけだから、戦わないわけにはいかないのだ。グラスは土地の女性と結婚して息子をもうけているので、それなりに原住民に理解のある人間として描かれる。そのほかの白人はそういう対象としてネイティブを観ていない。
他にも土地にはフランス人らも介入してきてるらしく、ネイティブたちからしてみれば、どっちも白人なわけで、ともかく彼らは全員、自分らの土地を脅かす侵略者なのである。俺はこの作品を鑑賞してて思ったのは、やっぱり大航海時代以降の白人の傍若無人ぶりが今の世の中をつくっていて、その爪痕が今もなお残り続けている時代に生きているんだということだ。
というのはあまり本編と関係ないといえばないんだけども、そういう部分も感じられるのがこの映画の良さかもしれない。物語の軸になるグラス氏の復讐劇。その道程はかなり過酷なものだったのはわかるけども、その辺は個人的にさほど印象に残らなかったなぁ。グリズリーに襲われるシーンはなかなか悲惨だったけども。熊ってあんなにしつこく襲ってくるもんなんかね。よく死なないもんだなと思った。にしても、どうやって撮影したんだろうか、あのシーン。熊さんはCGなんだと思うけど。
美しい自然描写の中で這いつくばってフィッツジェラルドを追うグラスを演じたディカプリオの演技は本当にすごいと思ったけど、俺は『ブラッド・ダイヤモンド』とか『ウルフオブウォールストリート』のほうが作品としては好きだな。今作も楽しめるんだけど、ちょっと尺が長すぎると感じた。物語にさほど起伏がないのでそう感じたんだろうと思う。
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