ゾンビ・リミット
ゾンビ騒ぎが収束した後の世界。一度ゾンビウィルスみたいのに感染した人間は、ゾンビ化を抑えるワクチンを摂取し続ける必要があり、彼らはリターンドと呼ばれて差別を受けている。そのワクチンの在庫が僅かになってきたことで起こる騒動を描いた作品。ネタバレあり。
―2014年公開 西=加 98分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:48時間ゾンビ化を防ぐワクチンを巡り、自身のゾンビ化を防ぐため恋人と共に大量のワクチンを持ち逃げしたカップルの逃避行を描くホラー・サスペンス。監督は「エクソシズム」のマヌエル・カルバージョ。出演はエミリー・ハンプシャー、クリステン・ホールデン=リードほか。(KINENOTE)
あらすじ:若いカップル、ケイトとアレックスに悲劇が襲いかかる。アレックスがゾンビウイルスに感染してしまったのだ。政府が開発したワクチンを48時間毎に投与することにより、彼が完全にゾンビ化することを防げるのだが、ワクチンのストックは刻一刻と減っていく……。(KINENOTE)
監督:マヌエル・カルバージョ
出演:エミリー・ハンプシャー/クリステン・ホールデン=リード/ショーン・ドイル
ネタバレ感想
この作品はゾンビ後の世界を背景に繰り広げられるヒューマンドラマだ。なので、ゾンビから逃げ続ける血みどろゾンビ映画を期待して鑑賞すると、肩透かしを食うかも。
ケイトの恋人、アレックスはゾンビウィルスに感染している。そのため、ワクチンを恒常的に摂取する必要が。
だがしかし、なぜかわからんがそのワクチンの在庫が減少してしまっているのだ。ワクチンがなくなるとアレックスはゾンビになってまう。
なので、ケイトは病院勤めであることを最大限に活かし、アレックスのために病院に勤めてる薬剤師みたいなお姉ちゃんからワクチンを横流ししてもらっている。
しかし、それでもワクチンは減り続ける。それで、いろいろの騒動が起こるのだ。ケイトとアレックスは自分たちの未来のために利己的な行動もするんだけども、総じて考えるに、危機的状況にあっても常識的な振る舞いができる人たちなので、なかなか好感を持ってみられた。
ついでに、2人を手助けしてやる親友夫婦もなかなかいい人たち。なので俺は途中まで、リターンドに対する偏見や差別などが蔓延している世の中にあって、高潔な生き方をする主人公たちを描いたお話なのかと思っていた。だが、そうではなかった(笑)。
実は親友夫婦の奥さんもリターンドだったのである。で、途中でケイトとアレックスの所有するワクチンを盗んで、姿をくらましてまう。実はこいつら、ド畜生だったのだ。ひどすぎ。せめて半分くらいワクチン残してやれよと思わずにはいられない。
…というか、最初からアレックスと同じように自分がリターンドであることを告白していれば、ケイトとアレックスはこの2人に協力したと思うんだが。
そういうイイ人たちをダマくらかして、自分たちだけ助かっちゃおうという考えはクズ人間すぎ。
てなことで、ワクチンがなくなってしまったので、アレックスはゾンビ化する前に死ぬことを懇願。ケイトは泣く泣く彼を銃殺するのであった。
ところが物語はこれで終わらない。銃殺した直後、新たなワクチンが開発され、大量に世の中に流通することが判明する。打ちひしがれるケイト。
これって『ミスト』と似たようなオチだな…。いずれにせよ気の毒すぎるが、もう少し社会の動きにアンテナをはれなかったのかと思わぬでもない(笑)。
ラスト、自分たちを出し抜いた夫婦に対して復讐を誓っているような表情のケイトが映し出されて物語は終わる。あれ、夫婦を探し出してぶち殺しにいくよね? たぶんそういう終わり方だよね? いいぜ、やっちまいな!
てなことで、特段おもしろくもない哀しい話であったが、めちゃくちゃこき下ろしたくなるような悪い作品でもない。それは主人公たる2人の人間性がよく描かれていたからかもしれない。
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