ナンバー23
ナンバー23という本を手に入れた男が、物語の主人公と自分に類似するところがあるのに気づき、読めば読むほど自分のことが書いてあると信じるようになっていき、虚構と現実の区別がつかなくなってくる話。ジムキャリーの怪演が光るものの、内容的には普通かな。ネタバレあり。
―2007年公開 米 99分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:小説の中の出来事が現実とリンクし始め、周囲では様々な事件が起こり始める。謎が謎を呼び、やがて衝撃の結末へと至るサスペンス・ミステリー作品。主演は「トゥルーマン・ショー」のジム・キャリー。ほか「サイドウェイ」のヴァージニア・マドセン、「アビエイター」のダニー・ヒューストンが脇を固めている。監督は「オペラ座の怪人」のジョエル・シューマッカー。(KINENOTE)
あらすじ:動物管理局に勤めるウォルター・スパロウ(ジム・キャリー)は、美しい妻と快活な息子に囲まれ、平穏な日々を送っていた。2月3日、彼の誕生日に妻アガサ(ヴァージニア・マドセン)は『ナンバー23』という本をプレゼントした。その本はゾッとするような殺人ミステリーだった。「この小説に登場する者はすべて想像上の人物であり、万が一、その生死に関わらず実在の人物によく似た者を見つけた場合、そこから先は読まないでください…」その本はそんなメッセージから始まっていた。仕事も忘れ、憑かれたように読みふけるウォルター。何より彼の興味を惹いたのは小説の主人公・フィンガリングの生い立ちが、自分のものと酷似していたことだった。その事実の符合が意味するものは一体何なのか?小説の中で刑事となったフィンガリングは、やがて「23」という数字の呪いにとり憑かれて行く。だが、物語は22章で未完のまま終了していた。そして気がつくと「23」の呪いは、現実のウォルターをも虜にしていたのだった。誕生日、運転免許証、社会保障番号など彼にまつわる情報、そして目にするもの全てに「23」が潜んでいる。ウォルターは本の中にヒントを見つけ出し、ある人物をつきとめた。しかしその人物は「スパロウには地獄が待っている、きっと…」と言葉を残して自殺してしまった。全ての鍵は『ナンバー23』の著者が握っている。その数字の呪いの謎とは一体何か? そしてウォルターとその物語を繋ぐ人物とは……!?(KINENOTE)
監督:ジョエル・シューマカー
出演:ジム・キャリー/ヴァージニア・マドセン/ローガン・ラーマン/ダニー・ヒューストン/ローナ・ミトラ/リン・コリンズ
ネタバレ感想
ジムキャリーの狂気
2007年の作品らしいが、まったく存在を知らなかったのをアマゾンのレンタルで見つけて鑑賞。ジムキャリー出演作って実は劇場で観たことがなくて、このブログで紹介した作品もほぼ後追いで観たか、地上波で観たことがあったかもしれないって感じのもの。要は、個人的にそんなに思い入れのある役者ではない。
ないんだけども、彼の演技って狂気じみたところがあって、今作でも彼のそうした怪しい役者ぶりが遺憾なく発揮されてるような印象を受けた。彼のもつ狂気と作品の胡散臭い雰囲気が見事にマッチしているとでも言おうか。これは当然褒めているのであって、ジムキャリーの役者としてのすごみを感じられる作品であるとは言えそう。
23エニグマは謎だ
ただねぇ、とはいえねぇ…。好みがわかれると思うんだけど、話の内容があまり面白くないんだな。もちろん個人的な感想なわけだけど。23という数字にまつわる謎というかなんというかは、23エニグマと呼ばれていて、作家のウィリアムバロウズによって言及されたりしてるらしい。
じゃあその謎って何のかっていうと、今作のオープニングでテンプル騎士団の総長が23人いたとか、マヤ暦による最後の日付が23日だとか、カエサルは23か所刺されて死んだーーとかとか、なんらかの出来事や謎には23という数字が絡んでて、何だか不吉! みたいなことのようだ。へぇ。そんな都市伝説みたいのがあるんだね。
適当なあらすじと結末紹介
で、今作の主人公は23という本の内容があまりにも自分の人生に類似することがあるので、だんだんその主人公が自分なんじゃないかって妄想し始めちゃって、では果たして真相はどうなのかーーってことを巡る話になっている。
リアル世界の主人公ウォルターと、それに類似した虚構内の主人公フィンガリングの両方をジムキャリーが演じてて、この後者の彼がなかなかカッコいいんである。そこもまた一つの見どころであるのは確かで、この虚構と現実が交差してどのような結末を迎えるのかという展開を楽しめる人は楽しめるだろう。俺は結末まで観て、なるほどとは思ったが、さしたる感銘は受けられなかった。なぜだかはわからん。
でその結末ってのは何かっていうと、ウォルターは小説内のことを実際に体験してて、ナンバー23なる書物も彼自身の創作によるものだったということ。その小説内の出来事はけっこうキツイことで、彼は自殺未遂を図ったのち、記憶を封印しちゃってたのである。でまぁ、彼はその小説内に起きた殺人事件について、記憶を取り戻したので警察に自首して、罪を償ったのちに家族と共に生きていくことを決意するーーてのが適当な結末の説明。
家族愛ゆえか、奥さんが地味に人の道外した言動
まぁそうやってみると、スッキリ話は結末に向かって導かれているなとは思う。けど、なんだか変だなぁと思っちゃうこともいっぱいあるんだよね。例えば、ナンバー23はウォルターの奥さんによってプレゼントされるんだけども、奥さんもあの作品を読んでいるわけで、もちろんウォルターの過去は知らないんだろうから、そこはいいとして、ではあの本を奥さんが発見できたのは偶然なのかってこと。その辺がようわからん。
あと、あの奥さん、ウォルターが真実を悟ってから、自分の家族を守りたいがために、ウォルターが自首しないことを説得するんだけども、それがまた何とも鬼畜。なぜなら、ウォルターの代わりに冤罪で捕まっている人がいて、ウォルターが自首すれば彼は釈放されるのは自明なことなのに、自分たちの家族生活を壊したくないがために、ウォルターの自首を止めようとしてるからね。それは駄目だろ。
とかまぁ、他にもツッコミどころはあるんだけども、ジムキャリーの演技は観る価値はあったなぁという感じ。他はどうでもいい。
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