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映画 将軍の娘エリザベスキャンベル ネタバレ感想

将軍の娘 エリザベスキャンベル
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将軍の娘 エリザベスキャンベル

陸軍基地で女性大尉が殺された。事件の捜査を命じられた捜査部のポールが真相に迫っていくと、そこには男根主義的社会の闇が隠されていた。今の社会状況にもなぞらえられそうな、かなりキツめの真相が暴かれるトラボルタ主演作。ネタバレあり。

―1999年公開 米 117分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:エリート女性軍人の変死事件の捜査に乗り出した捜査官が巻き込まれる陰謀劇を描いたサスペンス。ネルソン・デミルの同名小説の映画化。監督は「コン・エアー」のサイモン・ウェスト。脚本は「目撃」のウィリアム・ゴールドマンと新鋭クリストファー・バートリーニ。撮影は「評決のとき」のピーター・メンジーズJr.。音楽は「ハイロー・カントリー」のカーター・バーウェル。出演は「フェイス/オフ」のジョン・トラヴォルタ、「12モンキーズ」のマデリーン・ストウ、「ベイブ都会へ行く」のジェームズ・クロムウェル、「ヴァンパイア 最期の聖戦」のジェームズ・ウッズほか。

あらすじ:ジョージア州陸軍マッカラム基地。陸軍CID(犯罪捜査部)のポール(ジョン・トラヴォルタ)は、基地内で全裸死体で発見された女性大尉エリザベス・キャンベル(レスリー・ステファンソン)の事件の捜査にあたる。彼女は時期副大統領候補の有力者キャンベル将軍(ジェームズ・クロムウェル)のひとり娘。レイプの痕跡はなかったが、頬にはなぜか涙の跡が。ポールは元恋人でレイプ専門の捜査官サラ(マデリーン・ストウ)とコンビを組まされて捜査を進めるうち、残されたビデオテープから才色兼備だったエリザベスが実は基地内のほとんどの男と寝ていたという隠された事実を知る。だが、サラが何者かに襲撃を受け、容疑者と目された彼女の上司のムーア大佐(ジェームズ・ウッズ)も自殺を遂げ、捜査にも圧力を加えられるなど、事態は不可解な展開をみせる。かくしてポールはエリザベスが殺された真の秘密を探るべく、背後にひそむ陰謀に立ち向かうのだった。(KINENNOTE)

監督:サイモン・ウェスト
出演:ジョン・トラヴォルタ/マデリーン・ストウ/ジェームズ・クロムウェル/ティモシー・ハットン/レスリー・ステファンソン/ジェームズ・ウッズ

ネタバレ感想

キャストが豪華。レイプ事件を巡る内容がキツイ

まったく存在を知らなかったのを、ネットフリックスで見つけて鑑賞。トラボルタが主演だし、マデリーンストウなんて懐かしい女優さんも出ていたので。しかも、ティモシーハットンやジェームズウッズもいて、なかなか豪華なキャストだ。

前知識がない状態で観たので最初のうちは、冒頭のアクションシーンみたいなのがたくさん展開されるアクション映画だと思ってたんだけど、そういうんではなく、女性大尉を巡る性犯罪のお話でなかなかキツイ内容だった。

なぜか真犯人はド派手に爆死するんだが、そういう冒頭のアクション展開やこの爆破はもう少し抑えめにしてシリアス展開がずっと続く内容にしてたら、実は作品としての評価はもっと上がってるんじゃないかと思わなくもない。

いずれにしても、内容はかなりキツイ。男根主義、マチズモの象徴とも言える軍隊内部で起きたレイプ事件を巡るお話。殺された女性大尉を殺した犯人を捜査官のポール(トラボルタ)とサラ(マデリーンストウ)が捜すというのが大筋で、その真相を追っていくうちに、事件の背後に権力者の隠蔽工作が働いていることがわかってくる。

黒幕がクズすぎ

というか、冒頭から将軍が何らかの形で事件の黒幕的存在として関わってくるんだろうなーと思ってたら、やっぱりそうだった(笑)。こういう根拠もない予想が何となく当たっちゃうのは、映画の見過ぎなんかもねぇ。ただ、実際の殺人犯は別にいるので、その辺は物語の妙ではある。

だがしかし、本当の意味で女性大尉エリザベス=自分の娘を殺しちゃってるのは、将軍だったのだ。権力者は自らの出世や名誉、そして自身が人生を捧げた組織を守るために、実の娘を裏切り続けていたのである。この裏切りはジェームズウッズが演じていたゲイの士官が指摘したように、殺されたエリザベス大尉にとっては、レイプよりも殺しよりも酷い仕打ちだったのである。

このレイプの有様がフィクションとはいえ、かなりひどい。しかも、彼女をレイプしたグループは、彼女が士官学校の成績が優秀なことに嫉妬したから襲ったというんで、クズ中のクズだ。そんなクズどもに何とかリベンジしたいと思うのは当然で、というか、それを行動に移すのは本当に勇気がいることなんだろうと思われるが、彼女はそれを実行する前、傷が癒える前に実の親父からその行為を止められちゃうのだ。悲惨すぎだろ。役柄とは別に、この役を演じた女優さんは、裸やら死体やらSMシーンやら、普通の状態を演じているほうが少なくて、よくもまぁ、この役を引き受けたもんだ。えらい。

マチズモの恐ろしさ

この作品は軍隊という規律が大事な組織の中で、戦場で血を分けた仲間たちという絆をバックボーンにしたマチズモの恐ろしさを描いている。確かに戦場で血を分けた戦友たちは強い絆で結ばれることだろう。必ずしもそうとは言えないが、そうした内容を描いた作品はたくさんあるし、実際戦場に行ったら、大義名分なんかよりも、生死を共にする仲間たちのために戦い、死んでいくということもあるんだと想像はできる。だが、この作品の舞台は戦場ではなく基地であるのであって、死地とは異なる常識=世間のルールで動くべきと思われるのに、実際はそうではないのだ。

この作品によってはじめて知ったのは、アメリカ陸軍の中にはCID(犯罪捜査部)っていうのがあること。もしかしたら他の作品でも出てきたのを俺が忘れているだけかも知らんが、ともかくそういうのがあるのだ。こいつらはある意味、軍隊内の警察なわけだ。しかもこの作品によれば、基地内で起きた事件であるからして、地元警察の介入をある程度拒む権力があるようで、FBIの介入なども36時間後にできるらしい。

他の捜査機関に介入されずに捜査できるならポールたちはけっこう楽できるのかなと思いきや、そうではない。軍隊の警察である前に、軍人であることを求められたポールは、この事件を「軍人として処理せよ」と圧力をかけられ続ける。しかし、ポールは「クソ野郎を挙げろ」と将軍の命令を受けたので、それを遂行するのだ。「クソ野郎はあなただった」という皮肉をもって。普通だったらこれ、できないよね。権力に屈しちゃう。そして、この作品はそうした権力の組織的隠蔽体質を、男根主義的なものの中に含まれる醜悪な一面として描いているのだ。

であるから、ほとんどの登場人物の男がクズ野郎で、だがしかし、それは登場人物たちのクズ性を描写しながら、鑑賞している俺のような男のクズ性も指摘しているのである。これは90年代の作品であるが、今現在を生きるオス全員が、自分自身のクズ性を指摘されているかもしれぬものだと考えられる力を秘めている。単なる、閉鎖的な軍隊内で起きた悲劇の話ではない。

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